ひさしぶりのキャンプ、の巻。
 待望の夏なのに、ほとんどどこへも出かけてはいません。一家で夏風邪にかかり、ひどく弱っていたからなのであります。毎日がピクニックというタイトルなのに私の寝込んだ話などしてもなーとは思いつつ、今回はその顛末を書くことにします。
 今月に入って、そうたろう(仮称、息子。1歳と4か月)は保育園の一時預かりにデビューすることになりました。
 息子誕生後、仕事で家を空けるときは、夫の手が空かない場合、子どもは母、時々はベビーシッターさんにも見てもらっていたのですが、このところ離乳が順調に進み、ごはんをぱくぱく食べて活動も活発化してきて、良かったね良かったね、ではそろそろ保育園も探してみようか、ということになったのです。
 ご近所の奥さんに相談してみたところ、「うちの子たちが通った園が、一時保育もやっているわよ」と耳寄りの情報。「保育士のみなさんは熱心で、良い方々よ」って薦めてくれました。なんとそこは嬉しいことに、家から歩いて行ける距離! お散歩時に前を通りがかるたび、子どもたちの楽しそうな声が聞こえてくるなーと思っていた園だったのです。
 早速夫と見学、申し込み。とんとん拍子で、息子は一時保育「りんご組」さんのメンバーになることができました。
 一時保育は最大で週三日までと決まりはあるのですが、これまで夫と時間配分をやりくりして仕事をしていたので、もう本当にありがたい、助かります。娘のときは2歳すぎまで主にベビーシッターさん、そのあと保育園の一時預かりも併用して、3歳で幼稚園入園という道のりだったので、息子はそれよりも少し早い保育園デビューとなりました。
 早速、通園用のスパッツとTシャツを3枚ずつ買いに行き、黒い油性サインペンで名前を書きました。80センチのちっちゃいTシャツにきゅっきゅと名前を書きながら、泣かないで行けるかな、ちゃんと給食食べられるかな、お昼寝みんなとできるかな、といろんなことを考えてしまいます。  今までうちにいて、家族とだけ過ごしてきた息子が、園で保育士さんやお友だちとどんな風に過ごすのか。娘の時にもうすでに経験していることではありますが、おかんにとっても「園デビュー」というのは、ちょっと切なく頼りない気持ちになるんですよね。子どもが2人だと、きっちり2回経験するんだということが初めてわかった。当たり前だけど忘れていたこと。
 どうか元気で楽しく過ごせますように、の願いをこめて、おむつにもひとつひとつ名前を書きました。
 さて初日。「おはようございます!」とちょっとどきどきして保育室に抱っこで入っていくと、くりくりしたおちびさんたちが一斉にこちらの方を見ました。なんと、その日は7人全員男の子。しかも息子とほぼ同じくらいの月齢だったのです。不良はいないか?
 息子、注目されて一瞬固まる。そろそろと床に降りると、私にきゅっとしがみついてきました。
 泣くかな? と思ったら、次の瞬間あれ、仲間の手にしているおもちゃに興味を持ったようす。数秒後、こちらが拍子抜けするほど、すいーっとあっち側に溶け込んでいきました。
 なーんだ。センチメンタルはおかんだけか。
 初日は慣らし保育ということで給食をいただいて、お昼寝前にお迎え。
 いつもどこへ行くにもちび(およそ9キロ)を担いで行動していたので、なんだか体が軽く感じる。まるでスキューバダイビングで重りをつけ忘れたみたいな感覚です。勝手が違って、心がふわふわと落ち着かないまま地下鉄で街に出ていくつかの用事を済ませ、まだ時間が余って、デパ地下でパンの行列に並び買い物までできました。いつもしないことをついしてしまった。
 さてお迎えです。そろそろっと保育室の戸を開けて中を覗くと、そうたろうは新参者のくせにお友だちの手を無理矢理握りに行っていた。急接近された子は「えっ、あの…あなた誰…」と、しゃべれたら言っていそうな顔です。不良はうちの子でした。
 保育士さんは「給食おかわりしてたくさん食べていましたよ」。慣らし保育だというのに、おかわり! 息子よ、あんた色々馴れ馴れしすぎではなかろうか?「たくさん食べる子は、大丈夫!」うれしいけど、はずかしいね。
 まあでも、よかった。ニコニコ笑顔で「そうたろうくん、またね!」と手を振って下さる保育士さんたちに、バイバイと返し、ご機嫌で家路に着きました。
 そのとき、そうたろうの目にはちょろりと黄色い目やにが。いつもは見ない色で、ん? と思ったものの、ひとまず指先でぬぐいました。

 さてその2日後。息子は火の玉みたいに熱くなりました。そして鼻水が滝のように。2回目の保育園も、翌日発熱、そして目やにがびっしり。
 風邪です。さっそくもらいました。
 集団生活に慣れるまではしょうがない、これはみんなが通る道。予想通りの展開でしたが、早すぎるなあ。
 防御していたはずの私もあっという間にうつってしまったのであります。あーあ。
 喉がつまったみたいに腫れて、痛い。息がしにくい。頭はガンガン。うー、と布団にうつぶせになっていると、学校から電話がかかってきた。
「あの、保健室ですが、ふうたろう(娘、7歳)さん、熱が38℃ありまして……」
 どうやら娘にもうつったようです。
 こうして、ウイルスは確実に宿主をみつけて入りこみ、広がっていったのであります。
 夫は、大慌てでマスクをつけ、二階の独り部屋に入って、逆隔離生活に。
「ぼくまで倒れては世話をする者がいなくなるからね」
 そう言いながら、子どもたちから離れて、たまりにたまっていた映画を次々と見始めるのでした。