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〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
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【2019年8月10日 放送分】 |
2019年8月10日 |
【巻】…3・438
【歌】…愛(うつく)しき人のまきてし しきたへのわが手枕(たまくら)をまく人あらめや
【訳】…愛しい愛しい人が枕にして寝たこの手枕をする人がまたとあろうか、あるはずもない
【解】…神亀(じんき)5年(西暦728年)、大伴旅人が亡き妻を偲んで作った歌三首のうちの一首。大伴旅人は、九州の大宰府に赴任した時、妻の大伴郎女を呼び寄せますが、郎女は大宰府で亡くなってしまいます。この歌は死別して数十日後に作ったものですが、夫婦で共寝をしていた時のことを思い出し、「この手枕は彼女以外にする人はいないのだ」と癒えない悲しみを吐露しています。残りの二首は、都に帰る時期が近くなって作ったものですが、三首目の440番の歌は、「都にある荒れたわが家に独りで寝たなら、旅寝にもましていっそうつらいことであろう」と、夫婦で長く生活した空間でより強い喪失感が待っていることへの、旅人の痛切な思いが伝わってきます。
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