|
|
|
|
|
|
上野先生に聞いてみたい事、番組の感想など何でもお寄せください。
〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
|
|
|
|
|
|
【2019年9月14日 放送分】 |
2019年9月14日 |
【巻】…10・2160
【歌】…庭草に村雨(むらさめ)ふりて 蟋蟀(こほろぎ)の鳴く声聞けば 秋づきにけり
【訳】…庭草に村雨が降ってコオロギが鳴く声を聴くと、秋らしくなってきたなあと思われる
【解】…村雨は、降ったり止んだりするムラのある雨からくる言葉で、いわゆる、にわか雨のことです。虫たちは、土砂降りの雨では鳴きませんが、にわか雨が降って適度に湿った環境は大好き。きっと、元気よく鳴いていたのでしょう。雨で気温が少し下がって、暑さにくたびれていた庭草が生き返り、コオロギの歌声が心地よく聴こえる・・「ああ秋だなあ」と作者が感じた瞬間を切り取った歌です。この感性は現代に至っても全く同じで、日本列島での長い歴史で培われてきた情操と言えるでしょう。ちなみに上野誠さんによると、外国文学では、虫が鳴いているのは、あまりよくないことの前兆を表したりするそうで、日本の文学を訳する時は、虫の声は秋の気配を示すと、わざわざ注釈を加えないといけないそうです。同じ現象でも国によって感じ方が、こんなに違うのですね。
|
|
|
|