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〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
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【2019年10月5日 放送分】 |
2019年10月5日 |
【巻】…8・1621
【歌】…わが宿の萩の花咲けり 見に来ませ いま二日ばかりあらば散りなむ
【訳】…私の家の萩の花が咲きました。見に来て下さいね、あと二日で散ってしまいますよ
【解】…作者は、大伴家持の恋人だったと言われている、巫部麻蘇娘子(かむなぎべのまそをとめ)。彼女は、山から採ってきた萩を自宅の庭に植えていたのでしょう。その萩の花が、あと二日ほどで散ってしまうから早く見に来て下さい、と詠んでいます。しかし、萩は花期が長い植物ですから、咲いてからすぐに散ってしまうことは、ほとんどありません。萩の花を理由にして「早く会いに来てくださいね」と恋人を誘っているのです。現代でしたら、もっとストレートに気持ちを伝えればいいじゃないか、ということになるかもしれませんが、古代の男女は、相手への気遣いもあってか、萩のようなアイテムを使って表現するのが典型でした。 ところで、この歌は字余りになっていて、上野誠さん曰く「あまり上手い歌ではない」とのこと。上手すぎる歌は、返歌する相手を委縮させるので、故意に崩したのか、それとも、そもそも歌詠みが上手くない人だったのか、それは分かりません。ただ、このような「上手くない歌」は、当時の人々の息遣いや、歌がブラッシュアップされる過程などを知る上で、貴重な資料になるそうです。
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