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〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
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【2019年10月12日 放送分】 |
2019年10月12日 |
【巻】…10・2143
【歌】…君に恋ひうらぶれ居(を)れば 敷(しき)の野の秋萩凌ぎ さ雄鹿鳴くも
【訳】…あなたを恋しく思ってうちしおれていると、敷の野の秋萩を押しのけて雄鹿が鳴いている
【解】…敷の野とは、現在のどこかは分かっていませんが、秋萩が群生している場所。その秋萩を「凌ぐ」、つまり、かき分けて行く雄鹿の鳴き声が聞こえると作者は詠んでいます。しかし作者は、実際には雄鹿のその光景を目にはしていない様子。なのに、見たかのように描いているのは、作者が恋をしているからです。 人は、恋をすればウキウキと明るい気持ちになると思いがちですが、実際には、自分に自信がなかったり、恋の先行きが見えなかったりで、不安になるもの。そんな時は、様々なものに敏感になります。作者も、恋でうちしおれていたところ、普段なら耳に入らなかったかもしれない雄鹿の遠い鳴き声が聴こえたのでしょう。秋の、少し寂しい空気も手伝って、雄鹿が秋萩をかき分けて行く姿が、人恋しい心に、染み入るように浮かんだのではないでしょうか。
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