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〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
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【2019年10月19日 放送分】 |
2019年10月19日 |
【巻】…10・2216 【歌】…故郷の初もみち葉を手折り持ち 今日ぞわが来し見ぬ人のため
【訳】…故郷の初もみじ葉を手に持って今日私はやって来ましたよ、まだ見ない人のために
【解】…この歌の「故郷」は、作者個人の故郷ではなく、飛鳥を指していると思われます。都が平城京に移っても、長きにわたって人々の生活が刻まれた飛鳥の地への郷愁は、多くの人たちの心に宿っていたに違いありません。そういった「故郷」の初紅葉は、きっと格別の意味を持っていたのでしょう。そして、その紅葉を、「見ぬ人のため」に持ってきたという作者。まだ見ぬ人というのは、飛鳥の初紅葉をまだ見ていない家族や友人、という解釈もできますが、全体のニュアンスから推測すると、きっと、まだ出会っていない恋人のことでしょう。将来出会うかも知れない恋人のために、大切な思いのこもった飛鳥の初紅葉を持って来たと詠む作者は、ある意味ロマンチックな人だったのでしょうか。
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