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上野誠の万葉歌ごよみ
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上野誠の万葉歌ごよみ
毎週土曜日 朝 5:30〜5:45

上野誠(國學院大學 教授)
上田悦子(MBSアナウンサー)
★上田悦子アナウンサープロフィール
utagoyomi@mbs1179.com
上野先生に聞いてみたい事、番組の感想など何でもお寄せください。
〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」

【2024年3月23日 放送分】
【2024年3月16日 放送分】
【2024年3月9日 放送分】
【2024年3月2日 放送分】
【2024年2月24日 放送分】
【2024年2月17日 放送分】
【2024年2月10日 放送分】
【2024年2月3日 放送分】
【2024年1月27日 放送分】
【2024年1月20日 放送分】
上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【2019年11月2日 放送分】
2019年11月2日
【巻】…7・1409

【歌】…秋山の黄葉(もみち)あはれと うらぶれて入りにし妹は待てど来まさず

【訳】…秋山の紅葉があはれだと言って、うらぶれて山に入った妹は待っても待っても帰って来ない

【解】…花や紅葉など自然の姿は、その時の心情によって見え方が違ってくるもの。例えば、嬉しい時に見る紅葉は艶やかで、悲しい時は妖しげに映ったりします。今回の歌は、最愛の恋人を失った人の挽歌、悲しみの歌です。人は、悲しみが際立つと、その悲しみの言葉を避けようとする心の作用があります。特に、大切な人が亡くなった時、「死んだ」という直接的な言葉を口にしたくないものです。この歌の場合、恋人が亡くなったと直接言わないで、紅葉が美しいと山に入ったまま帰らないと表現しています。美しいものは、人の心を奪ってしまう妖しさを含んでいますから、恋人の死を紅葉の美しさの中に包んで、生死の境をおぼろげにしたのかもしれません。「待てど来まさず」、つまり、待っても待っても帰って来ないとしているところには、恋人のことを諦めきれない作者の気持ちが滲んでいます。