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〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
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【2019年11月2日 放送分】 |
2019年11月2日 |
【巻】…7・1409
【歌】…秋山の黄葉(もみち)あはれと うらぶれて入りにし妹は待てど来まさず
【訳】…秋山の紅葉があはれだと言って、うらぶれて山に入った妹は待っても待っても帰って来ない
【解】…花や紅葉など自然の姿は、その時の心情によって見え方が違ってくるもの。例えば、嬉しい時に見る紅葉は艶やかで、悲しい時は妖しげに映ったりします。今回の歌は、最愛の恋人を失った人の挽歌、悲しみの歌です。人は、悲しみが際立つと、その悲しみの言葉を避けようとする心の作用があります。特に、大切な人が亡くなった時、「死んだ」という直接的な言葉を口にしたくないものです。この歌の場合、恋人が亡くなったと直接言わないで、紅葉が美しいと山に入ったまま帰らないと表現しています。美しいものは、人の心を奪ってしまう妖しさを含んでいますから、恋人の死を紅葉の美しさの中に包んで、生死の境をおぼろげにしたのかもしれません。「待てど来まさず」、つまり、待っても待っても帰って来ないとしているところには、恋人のことを諦めきれない作者の気持ちが滲んでいます。
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