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〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
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【2020年3月28日 放送分】 |
2020年3月28日 |
【巻】…4・518
【歌】…春日野の山辺の道を 恐(おそり)なく通ひし君が見えぬころかも
【訳】…春日野の山の辺の道を恐れることもなく通ってきたあなたの姿が見えない今日この頃です
【解】…この歌の作者である石川郎女(いしかはのいらつめ)は、佐保の大伴家を取り仕切る女性です。彼女の元に、ある男性が通っていたのですが、家が山の方にあるため、山の辺の道を通って行き来していました。当時は、男性が女性の家を訪ねていくのは日が暮れてからというルールがありましたから、夜道を行かなくてはならず、きっと恐かったに違いありません。それでも男性は恐れずに石川郎女の家に通っていたのですが、ある時から姿が見えなくなった様子。二人の仲が上手くいかなくなったのでしょうか、石川郎女は「最近ごぶさた続きですね、許しませんよ」と歌に詠んでいるのです。しかし、これに返歌はなく、やはり恋は冷めてしまったのかもしれません。一方で、この歌は恋人に贈ったのではなく、久しぶりに宴会でもやりませんかと、仲間にお誘いをかけたものだという解釈もあります。恋人のやりとりに見せかけた歌を贈ることで、宴会に参加しやすい、ユーモアのある雰囲気を演出したのかもしれません。
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