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｢上野誠の万葉歌ごよみ｣ |
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| 【2020年4月4日 放送分】 |
2020年4月4日 |
【巻】…4・698
【歌】…春日野に朝ゐる雲の しくしくに吾（あ）は恋ひまさる月に日に異（け）に
【訳】…春日野の朝たなびいている雲のように、重なり合って重なり合って私の思いは募ってゆく、月ごとに日ごとに
【解】…大伴像見（かたみ）の歌三首のうちの二首目。春日野は、平城京の東側に広がる野原で、当時の人々にとっては、憩いの場所でもありました。多くの人が親しむその春日野にたなびく朝の雲は「しくしく」。「しくしく」とは、幾重にも重なる様子を表現したものです。大伴像見は歌で、この「しくしく」に自分の恋心を重ねています。像見は誰かに恋をしていて、その気持ちは幾重にも幾重にも重なって募るばかり。しかも、月ごと日ごとということですから、きっと、成就するのが難しい恋で、自分の気持ちをコントールできないくらいになっていたのではないでしょうか。そういった辛さを歌で吐露したのかもしれません。
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