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〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
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【2020年6月27日 放送分】 |
2020年6月27日 |
【巻】…11・2456
【歌】…ぬばたまの黒髪山の山菅(やますげ)に 小雨降りしき しくしく思ほゆ
【訳】…ぬばたまの黒髪山の山菅に小雨がしきりに降る。しきりに降る小雨ではないけれど、しきりにしきりに、あなたの事が想われる
【解】…「降りしき」は、雨がずっと降り続いている様を表しています。この「降りしき」の「しき」は、次の「しくしく」という言葉を起こしているのです。現代でしたら、「しくしく」は「泣く」に使われますが、古代では、時間をかけて想い続ける様を表す言葉として用いられました。燃え上がる恋とはまた違って、変わらぬ気持ちの深さが伝わってくる歌です。このように、雨の降り方で、色々な記憶がよみがえったという経験、皆さんもあるのではないでしょうか。ところで、歌の前半は、「ぬばたまの黒髪山の山菅に」と具体的な場所の名前が出てきますが、これは、「あなたとずっと想い続ける」という歌の芯の部分にはほとんど意味がありません。しかし、このように具体的な山の名前を出すことで、歌に親近感や面白みが加わることを考えたのかもしれません。
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