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上野誠の万葉歌ごよみ
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上野誠の万葉歌ごよみ
毎週土曜日 朝 5:30〜5:45

上野誠(國學院大學 教授)
上田悦子(MBSアナウンサー)
★上田悦子アナウンサープロフィール
utagoyomi@mbs1179.com
上野先生に聞いてみたい事、番組の感想など何でもお寄せください。
〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」

【2024年4月13日 放送分】
【2024年4月6日 放送分】
【2024年3月30日 放送分】
【2024年3月23日 放送分】
【2024年3月16日 放送分】
【2024年3月9日 放送分】
【2024年3月2日 放送分】
【2024年2月24日 放送分】
【2024年2月17日 放送分】
【2024年2月10日 放送分】
上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【2020年8月1日 放送分】
2020年8月1日
【巻】…8・1544

【歌】…牽牛(ひこほし)の思ひますらむこころより 見るわれ苦し夜のふけゆけば

【訳】…彦星の思いが増してゆく心よりも、それを見ている私の方が苦しいよ、夜が更けてゆくとね

【解】…湯原王の歌は上品で格調が高い、とファンが多いのですが、今回ご紹介するのは、その湯原王が作った七夕の歌2首のうちの1首目。織姫のことを1年間ずっと思い続けている彦星に焦点を当てたものです。当時の七夕は旧暦の7月7日、新暦では8月7日になりますので、この放送日の8月1日は、七夕を目前に控えた彦星が「早く会いたい!」と、思いを募りに募らせているタイミングです。湯原王は、そんな彦星の心模様を引き合いに出した上で、「私の方が苦しいよ」と詠んでいます。これは、湯原王自身が、恋人と会いたくても会えない状況にあって、「彦星より私の方がつらいんだ!」と訴えているのです。しかも、恋人と会えるはずの夜が更けると、独りでいる寂しさがますます辛い・・と。つまり、この歌の主人公は彦星ではなく、湯原王自身なんですね。大切な人と会えない辛さは、本人にとっては、誰よりも苦しいものだという叫びが伝わってくるような歌です。