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〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
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【2020年8月1日 放送分】 |
2020年8月1日 |
【巻】…8・1544
【歌】…牽牛(ひこほし)の思ひますらむこころより 見るわれ苦し夜のふけゆけば
【訳】…彦星の思いが増してゆく心よりも、それを見ている私の方が苦しいよ、夜が更けてゆくとね
【解】…湯原王の歌は上品で格調が高い、とファンが多いのですが、今回ご紹介するのは、その湯原王が作った七夕の歌2首のうちの1首目。織姫のことを1年間ずっと思い続けている彦星に焦点を当てたものです。当時の七夕は旧暦の7月7日、新暦では8月7日になりますので、この放送日の8月1日は、七夕を目前に控えた彦星が「早く会いたい!」と、思いを募りに募らせているタイミングです。湯原王は、そんな彦星の心模様を引き合いに出した上で、「私の方が苦しいよ」と詠んでいます。これは、湯原王自身が、恋人と会いたくても会えない状況にあって、「彦星より私の方がつらいんだ!」と訴えているのです。しかも、恋人と会えるはずの夜が更けると、独りでいる寂しさがますます辛い・・と。つまり、この歌の主人公は彦星ではなく、湯原王自身なんですね。大切な人と会えない辛さは、本人にとっては、誰よりも苦しいものだという叫びが伝わってくるような歌です。
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