|
|
|
|
|
|
上野先生に聞いてみたい事、番組の感想など何でもお寄せください。
〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
|
|
|
|
|
|
【2020年8月29日 放送分】 |
2020年8月29日 |
【巻】…10・2220
【歌】…さ雄鹿(をしか)の妻呼ぶ山の丘辺(をかべ)なる早田(わさだ)は刈らじ 霜は降るとも
【訳】…さ雄鹿が妻を呼ぶ山の丘辺、その丘辺の早稲は刈るまい、霜は降ったとしてもね
【解】…稲作は、早く収穫できる早生(わせ)、遅い晩生(おくて)、その中間の中生(なかて)と分けて植えることで、労働力を分散しつつ、台風によるリスクも軽減していました。この歌に出てくる稲は早生。早く刈るはずの稲を、霜が降ったとしても刈らないでおこうと作者は詠んでいます。その理由は雄鹿の存在です。本来なら、鹿に食べられないうちに収穫するのが普通ですが、妻になる鹿が見つからずに鳴き続ける雄鹿の声を聞いていると、「稲は刈らないでおくので食べてもいいよ」と同情心がわいてきた様子。本当に刈らないでいたのかは分かりませんが、そんな気分になったのは確かでしょう。もしかしたら、作者自身の悲しい恋の体験が雄鹿と重なったのかもしれません。
|
|
|
|