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〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
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【2021年10月9日 放送分】 |
2021年10月9日 |
【巻】…14・3376
【歌】…恋しけば袖も振らむを 武蔵野のうけらが花の色に出(づ)な ゆめ
【訳】…恋しかったら袖も振りましょうものを、武蔵野のウケラの花のように顔に出してはいけませんよ、決して決して
【解】…万葉時代に一番人気があった秋の花は萩ですが、この歌に出で来るウケラ(今のオケラ)も愛されていました。地味な花ですが、武蔵野の花として知られ、薬草として使われていたこともあって、馴染みの存在だったのでしょう。歌では、そのウケラの花のように顔を染めてはいけませんよと作者。どういう状況かというと、作者が恋人の方に向かって手を振ったとしても、それに対して、嬉しそうに手を振り返したり、顔色に出してはいけませんよと、たしなめているのです。なぜなら、二人の関係が他の人に知れてしまうから。それが恥ずかしかったのか、もしくは、知られてはいけなかったのか・・いずれにしても、秘めたる恋を楽しむ気持ちで歌ったのではないでしょうか。
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