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〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
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【2022年7月30日 放送分】 |
2022年7月30日 |
【巻】…2・116
【歌】…人言(ひとごと)を繁(しげ)み言痛(こちた)み 己(おの)が世にいまだ渡らぬ朝川渡る
【訳】…人の噂がたいそう心をつき刺すので、まだ渡ったことのない朝川を渡ったことだ
【解】…藤原の宮の時代。当時の宰相、高市皇子(たけちのみこ)の家で同棲していた但馬皇女(たぢまのひめみこ)が、若き皇子である穂積皇子と許されざる恋をしました。秘めたる恋は、やがて世間の知るところとなります。現代でしたら、大スキャンダルとして連日大騒ぎになるでしょう。そんな状況の中で、但馬皇女が歌ったのがこの作品。まだ渡ったことのない朝川を渡るとは、穂積皇子のもとに行くという、一線を越える行動を形容した表現か、もしくは、朝日が昇った時のように、人目のある白日の下で川を渡ったということ。いずれにしても、この恋に対する覚悟のようなものを感じます。この後、二人が一緒になったのかどうか、はっきりしていませんが、但馬皇女が先に亡くなり、穂積皇子が雪の日に墓を見て涙を流したという歌が残っています。
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