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〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
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【2022年12月31日 放送分】 |
2022年12月31日 |
【巻】…3・337
【歌】…憶良らは今は罷(まか)らむ 子泣くらむ それその母も吾(あ)を待つらむぞ
【訳】…憶良めは今まさしくお暇いたしましょう、子どもが泣いております、その母も私を待っておりますから
【解】…宴会で先に帰るときに、どのような挨拶をするかというのは難しいものです。それは万葉時代も同じで、今回は、山上憶良が宴席を辞した際の様子が分かる歌をご紹介。「憶良らは」は、「山上憶良めは」とへりくだった言い方で、「罷る」は、偉い人や神様のいる場所から遠く離れるという意味。宴席にいる人たちに対して「失礼します、お許しください」という気持ちをこめたもので、いずれもかなり気を遣った表現になっています。では、帰る理由についてはどうでしょう。子どもが泣いているし、その母親も自分を待っているとのこと。九州の大宰府でこの歌を詠んだ時の憶良は、平城京に家族がいたでしょうし、年齢も70歳くらい。大宰府に別の女性や子どもがいたとは考えにくいことから、冗談を言って「憶良さんもすみにおけませんね」と場を和ませた上で、宴席を辞したということだったのでしょう。
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