2022年

2月 6日

義肢と装具でお客様の体と心を支える

今週のゲストは川村義肢株式会社の代表取締役 川村慶さん。
パラリンピックなどでもクローズアップされています。
改めてお仕事の内容を伺いましょう。
「その名の通り義肢を作っております。
切断された手、脚につける義肢、怪我や病気で麻痺した手足を支えて生活しやすくする装具を作る会社です。
その他、福祉用具全般、車椅子、補聴器、住宅改修も。
高齢の方への住宅改修もしますが、お子様で障害をお持ちの方に向けての住宅改修は、日々、ご家族もお使いいただきながらお子様の成長過程で使いやすく。
この住宅改修を担当している技術者は色々と考えましてね、"この子をどうやったら納税者にできるか"と言うのです。
いわゆる、そのお子様の将来、仕事をするまでを見ている、考えているということ。
将来的なサポートをしたいということなんです」。

長い目でお仕事をされていますね。
「"クオリティ・オブ・ライフ"という言葉があります。
その質を上げようと思っています。
ライフという言葉には『生命』。
さらに『生活』という意味のライフ、『人生』という意味のライフがあります。
この3つをアップさせていきたいんです」。

お作りになっている義肢の素材なども変わってきているのでは?
「パラリンピックですごく反発力のある板バネが話題でした。
あの板バネもすごいのですが、反発力を抑え込む、使いこなす力がすごいのです。
最近はA Iが入ってきました。
義肢に組み込まれているものがあります。
歩く時のその人の癖も反映してくれます。
その他に補聴器などにも個別化に対応できます。
そのデータをさらに集約し、新しいプログラムに活かされています。
ここ10年ぐらいで進みましたね」。

川村義肢株式会社といえば神戸市立須磨海浜水族園のアカウミガメ・悠ちゃんの人工ヒレでも話題でした。
「5年かかりました。
あのプロジェクトを受けたのは実は...私です(笑)。
神戸市からの依頼だったのですが、当時私は小学校の出前授業で"やりもしないうちから出来ないという大人にはなるな"と言っていたものですから、すぐに引き受けたわけです。
犬だと義足をして具合が悪いと三本足で歩きます。
しかしカメの場合は泳がざるをえない。
装着できた当初は喜んでうちの職人が自分の師匠に報告すると、"カメの気持ちになってください"と言われたそうなんです。
その当時は言葉の意味がわからなかったのですが、人工ヒレ第1号をつけてしばらくした後、言葉の意味がわかりました。
ヒレの付け根を見ると痛んでいました。
リアクションが出来ないから直に体に表れるんです。
頭をガツンと打たれた感じでしたね。
そこから大阪の色んな企業さんのお力をお借りして試作を繰り返しました。
あのプロジェクトは大きな学びがありましたね。
他にもフラミンゴの案件もありました。
生まれながらにして立てない、それが原因で群れに入れない。
しかし装具をつけることでリハビリができて群れに戻ることができた。
自然の摂理に任せるという考え方もありますが、私たちは義肢、装具を作っている会社として作っていきたいですね」。

人工ボディのお仕事も。
「見た目も機能だと思うんです。
例えば見た目が美しくないと外には出にくいと思うんです。
外に出て仕事をしたり、外に出て色々と楽しみたくなるようなものが良い。
例えばですが、乳がんの影響で乳房を切除した方がおられるとします。
その方は温泉に入ることを諦めてしまわれるんです。
どうしても人の目が気になってしまう。
温泉に入っていると血流が良くなって肌が紅潮してきますよね。
人工ボディはシリコンで出来ているのですが、温度で変化する機能を持たせています。
そうやって自分の肌と同じように変化することで、また温泉に行きたいと思ってもらえることが私たちの仕事だと思います。
難しい仕事ですけれど燃えますね」。

会社の歴史は次週に続く...。

竹原編集長のひとこと

人の役に立ってそれが喜びになる。
社会に役立つお仕事、笑顔にするお仕事ですね。