2022年

3月13日

洋服に新たな命を アップサイクルプロジェクト

今月は『万博情報発信特別企画』。
大阪・関西万博のテーマ実現やSDGsの達成に貢献するための活動『共創チャレンジ』に参画されているチームをご紹介します。
今週のゲストは大阪モード学園の統轄責任者 小柳将和さん、ファッション技術学科4年学生 青木綾音さんです。

多岐に渡って学びの場がある大阪モード学園。
改めてどんな展開をされているのでしょうか。
「ファッション、ヘアメイク、美容、インテリア、建築、グラフィックの教育機関として大阪・東京・名古屋で専門学校を展開しています。
姉妹校としてIT・デジタルの『HAL大阪』、医療メディカルの『大阪医専』も展開しています。
実践的な専門教育を行う『国際ファッション専門職大学』、パリにも学校があります。
通信の大学もありまして在校生すべて合わせますと2万5千人の規模となります」と小柳さん。

そんな『大阪モード学園』が『共創チャレンジ』ではどんな展開を?
小柳さんに伺っていきます。
「株式会社ウィファブリックが運営するSMASELL(スマセル)というプラットフォームと産学連携プロジェクトとして進めてます。
もともと株式会社ウィファブリックの代表取締役の福屋 剛さんから講義をいただいたんです。
その中で廃棄されるサンプル品や廃棄される洋服のお話がありました。
それに新たな命を与えて販売するわけですが、その洋服を私たちのスタイリスト学科の方でトータルコーディネートして販売しました。
おかげさまでそれが好評をいただきました。
株式会社アダストリアという企業からまたご依頼をいただいて、商品を学生がリメイクしました。
それが今回の共創チャレンジに繋がりました」。

青木さんは実際に洋服のリメイクをされたそうですね。
「今まではゼロから服を作ることをしていました。
今回はすでに出来上がっている服に手を加えて魅力ある服に変えていく。
元の洋服の良さを壊さないところが難しかったですね」。
ワンピースやカバンもお作りになられたそうです。
「もともとはオーバーサイズのゆったりしたワンピースだったんです。
袖を取って肩紐をリボンに変えて、バストの部分を体に沿うように。
ウエストからギャザーを寄せてシルエットを変えました。
素材の良さも活かしました。
ゼロから作るのと変わらないぐらい時間がかかりましたね」。

大阪モード学園ではこのような取り組みは以前からされていたのでしょうか。
「デザインだとかパターンというものを学校では学びます。
リメイクは主にスタイリスト学科。
テレビや雑誌、舞台などに衣装を提供するお仕事ですが、今ある衣装にひと手間加えて唯一無二のものにします。
これまでも企業様からお声がけいただくこともあったのですが、今回は大きなプロジェクトになってきましたので、デザインの学生たちも力を発揮してくれました」。

こういった取り組みが消費者庁からも表彰されたそうですね。
「共創チャレンジにプロジェクト登録するに際して連絡をいただきました。
消費者庁ではSDGsの普及活動のイベントをされています。
その中の一環としてファッションショーという形でご協力させていただきました」。

実際に洋服に手を加えた青木さんですが洋服作りに変化はありましたか?
「今までにないものを考える機会にもなりました。
例えば洋服を見て素材がかわいい、使えそうと思ったら洋服からカバンに作り替えてしまう。
洋服の見方が変わりました」。
「実際にお仕事にされている方は売り上げを気にしなければなりませんが、学生の場合は売り上げの制限がありません。
より自由な発想になったと思いますね」と小柳さん。

今回の取り組みからどのような目標を持っていらっしゃいますか?
「今回の取り組みは存在している洋服に新たな生命を与えていく。
教育機関からしますとものづくりの道を進んでいく学生たちに"ゴール4 質の高い教育をみんなに"。
それを目指しています」。

青木さんは今年卒業。この先の就職は?
「東京のアパレル会社へ就職します。
総合職で企画していきます。
今回のプロジェクトもそうですが、新しいものを作っていきたいという思いがあります。
この経験を活かす事ができたらと思います」。

就職というところでは大阪モード学園ではこの先、どのように見ていらっしゃいますか?
「企業が求める人材、学生が企業を選ぶ判断基準。
これがどんどん変わってきています。
大きな企業、有名企業というだけではありません。
質の高い教育の中にも"作る責任""使う責任"という素材やものづくりの考え方がカリキュラム上にも求められます。
二次利用、三次利用ができるようにといった感じですね。
皮革など素材そのものの考え方が変わってきています。
かといってリユース素材を使っているというだけでもいけないと思います。
時代の中で教育の内容を精査していかなければならないと思います。
企業もさることながら実際に大阪モード学園に入学を希望する人の中、高校生からSDGsの話が多くなってきました。
学校選びの段階でも学校自体の取り組みが選択の理由になってきています」。

青木さんは就職にあたってSDGsは考えられましたか?
「今の時代、サスティナブルを考えている会社が当たり前。
それにどれだけ自分が共感できるのかは注目しました」。

今回の共創チャレンジに向けてどんな思いをお持ちですか?
「SDGsが流行語で終わらないようにしなければならないですね。
私どもは教育機関なので万博が終わった後でもこの考え方を通して時代にアジャストして学生を育成していきたいと思っています。
洋服などものづくりの場に学生を輩出していく中で、それを使う方に向けてもアプローチできたらと思います」。

青木さんをはじめ学生さんのモチベーションはいかがですか?
「学校の中で完結していた作品でしたが、今回のプロジェクトで学校の外に出せる作品を作ることができる喜びがありますね。
最初は戸惑いましたけれど、学生はベースとしてお洋服が好きなので新しい価値を作るということを楽しめました」。

サスティナブルが新しい価値を生むきっかけに。
新しい価値観から生まれたファッションに注目です。

竹原編集長のひとこと

今は環境や社会に役立つものを生み出す時代
それにマッチしたプロジェクトですね。
改めてものを大切にすること、廃棄する責任を教えてくださいました。