上野誠の万葉歌ごよみ
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歌ごよみ!
上野誠コラム
上野誠の万葉歌ごよみ
毎週日曜日 朝 5:45〜6:05

上野誠(奈良大学文学部教授)
上田悦子(MBSアナウンサー)
★上田悦子アナウンサーブログ
utagoyomi@mbs1179.com
上野先生に聞いてみたい事、番組の感想など何でもお寄せください。番組で紹介させていただいた方には、番組特製ポーチをプレゼントします。
〒530-8304 毎日放送ラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」
★1999年〜2007年6月までのHP

【巻】8・1518…天の川相向き立ちて
【巻】10・1877…春の雨にありけるもの
【巻】6・1040…ひさかたの雨は降りし
【巻】8・1491…卯の花の過ぎば惜しみか
◆6月のコラム
【巻】10・1988…鶯の通ふ垣根の卯の花の
【巻】10・1956…大和には鳴きてか来らむ
【巻】10・2177…春は萌え
【巻】10・1909…春霞山にたなびき
◆5月のコラム
上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【巻】8・1518…天の川相向き立ちて
2009年6月28日

【巻】…8・1518

【歌】…天の川相向き立ちて わが恋ひし君来ますなり紐解き設けな

【訳】…天の川に向き合って立ち、私が恋したあの人がやって来る。さあ、紐を解いて待とう
  
【解】…今回は、七夕の歌です。「紐を解いて待とう」というのは、恋人が来たら、すぐに共寝ができるように、下着の紐を解いておきましょう、という意味です。とても艶かしい表現ですね。ちなみに、「紐を解く」は、リラックスするという意味もあります。
この歌の作者は、山上憶良。しばらく中国にいた憶良は、現地で本場の七夕にふれ、日本に帰ってからは、七夕をテーマにした歌を多く作るようになりました。これが、日本で七夕が大きく広まるきっかけになったともいわれています。


上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【巻】10・1877…春の雨にありけるもの
2009年6月21日

【巻】…10・1877

【歌】…春の雨にありけるものを 立ち隠り妹が家路にこの日暮しつ

【訳】…濡れとおらない春の雨なのに、あの子の家に行く途中で一日過ごしてしまった。
さあ、どうしよう。
  
【解】…この歌に対して、上野誠さんは一言。「何でこうなるのか、よく分からない!」
というのも、歌の前半で「春の雨なので、大したことない」と書きながら、
後半では、「恋人の家に行く道中で一日が過ぎてしまい、たどりつけなかった」となっています。大雨で、移動に困難があったので恋人の家に到着できなかった、というのなら分かりますが、「春の雨は大したことない」・・では、なぜ行き着けなかったか?何かあったのか?
これには、いくつか学説があるようです。
1.彼女とケンカをしていて、行きたくなかった
2.恋人の家にお母さんなどがいて、時間を稼がないといけなかった
3.他の人の家に寄っていた、浮気説
いずれにしても、手がかりがないので、何があったのかは謎のままです。
しかし、このように色々と解釈できるというのも、古典を学ぶ醍醐味なのかもしれません。


上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【巻】6・1040…ひさかたの雨は降りし
2009年6月14日

【巻】…6・1040

【歌】…ひさかたの雨は降りしく 思ふ子が宿に今夜は明して行かむ

【訳】…雨はしきりに降りつづく。愛しいあの子の家に、今宵は泊まっていこうかな
  
【解】…安積親王が、左少弁という位にあった藤原八束の家にやって来て宴を開いた時、その席にいた大伴家持が、雨で帰りづらくなった状況を背景に作った歌です。
解釈としては・・
1.この家の近くに、恋人の家があるので、そこへ泊まりに行こうかな・・」と、大伴家持が皆の前で公言することで、宴席で笑いをとっている。
2.夜も更けてきたので、こうなったからには、藤原八束の家に泊まって、朝まで飲もうか!と宣言した歌。それを、わざと色っぽい歌に仕立てて、「恋人の家に来ているように、今日の宴は楽しい」と表現している。
・・などが考えられます。
 当時の宴は、「この宴会は楽しい」と主催者をほめる意味で、朝まで続けるのが礼儀だったようです。よって、この歌の解釈も多分、大伴家持が、宴会の主催者である藤原八束に気を使って作ったものと推測されます。