第1088回「メキシコに派遣された国際緊急援助隊」
ゲスト:豊中市消防局 消防士長 小椋弘樹さん
電話インタビュー:メキシコシティ在住 歳国真由子さん

日本時間の先月20日、メキシコでマグニチュード7.1の大地震が発生しました。首都のメキシコシティは大きな揺れに襲われ、ビルが倒壊するなどして369人が亡くなりました。
メキシコシティの中心地に住む歳国真由子さんは、地震で自宅隣のビルが崩壊して危険なため、退去を余儀なくされました。地震発生から1ヵ月を前に、新たな住居を見つけてようやく引越しを終えたところです。地震で大きな被害を受けたのは中心地のごく一部の建物で、街は元通りの生活を取り戻しつつありますが、歳国さんは今も落ち着かないと話します。崩壊した自宅隣のビルでは友人が下敷きになり、亡くなりました。歳国さんに、地震発生時の様子や被災地の現状について、電話で聞きました。
また、メキシコ地震の被災地では、日本から派遣された国際緊急援助隊が人命救助にあたりました。援助隊の一員として活動した豊中市消防局の消防士長・小椋弘樹さんをゲストに迎え、メキシコでの救助活動と災害国・日本ができる国際支援についてお話を聞きます。

野村朋未のひとこと
日本の援助隊は訓練を厳しく行い、国際的にもその能力が認められているということでした。大変誇らしい気持ちになりました。災害国 日本は国の機関のレベルでも私たち個人レベルでも、その経験を伝え考え行動するという大切な役割がありそうです。

第1087回「災害時のペットの避難を支援」
ゲスト:大阪府獣医師会 会長 佐伯 潤さん

今回は、災害発生時に、犬や猫などのペットを救う災害動物医療支援チーム「VMAT」について取り上げます。VMATは、獣医師や獣看護師などで結成され、災害派遣医療チーム「DMAT」の動物版とも言える取り組みです。その活動は、ペットが飼い主と一緒に安全に避難するためのサポートから、怪我したペットの手当てや、飼い主とはぐれたペット、やむを得ず自宅に置いてきたペットの捜索や保護など、多岐に渡ります。東日本大震災以降、特にVMATの必要性が叫ばれ、各都道府県の獣医師会が結成に向けて準備を進めてきました。2013年に福岡県で初めて発足し、今年1月の大阪府が3例目です。
ペットの避難に関しては、環境省もガイドラインを作成し、各自治体に対応を求めていますが、鳴き声、臭い、感染症の不安等から避難所でのトラブルが耐えません。去年の熊本地震では、避難所に行くのをあきらめ、ペットとともに車中泊をする被災者が多く見受けられました。
長きにわたる避難生活では、ペットのストレスに関しても、人間同様にケアが必要です。 「家族の一員」と言われて久しいペットの避難。 課題はどこにあるのか?求められる活動とは?「大阪VMAT」を率いる大阪府獣医師会の佐伯潤会長に聞きます。
 
千葉猛のひとこと
私の家でも犬とカメを飼っているのですが、早速「ペット用の非常持ち出し袋」を用意しようと思っています。準備をしっかりしておけば、避難所で他の方に迷惑をかけないで済みますので。ペットも人間と同じ命のある生き物です。災害時の救助や支援体制が充分に整備されていくことを強く願っています。

第1086回「高齢者・障がい者の避難支援〜京都府の防災訓練を取材」
ゲスト:華頂短期大学教授 武田康晴さん

被災地の避難所に駆けつけ、福祉の専門性を生かして高齢者や障がい者の支援を行う京都DWAT(災害派遣福祉チーム)の活動を、7月に紹介しました。今回は、DWATが参加した京都府主催の防災訓練を、千葉猛キャスターが取材しています。
足が不自由で生活全般に介助が必要な「要介護3」の高齢者の困りごとをどう聞き出すか。聴覚障害者の避難所生活をどう支援するか。訓練では、リアルな設定のロールプレイで課題をあぶりだします。多くのDWATメンバーが感じたのは、被災者の話したいことと、支援する側が聞きたいことにギャップがあるということです。福祉の専門職は不自由な点や生活の困りごとを早く聞き出し支援につなげようとしますが、被災した要援護者は突然のことに混乱していて、自分のことより家族やペットのことばかり話すなど、被災地でのコミュニケーションの難しさが浮き彫りになりました。被災者の福祉ニーズをどう把握し適切に支援するか。京都DWATにさまざまな助言を行い、今回の防災訓練にも参加した、華頂短期大学の武田康晴教授にお話を聞きます。

野村朋未のひとこと
京都DWATが有事の際には上手く機能するようにさまざまな訓練がされていました。
活動の課題をうかがっていると、あくまでも“被災者”を主体とするということは、私たちの番組づくりやボランティアをする時などにも通じるものだなと感じました。

第1085回「防災で生徒を育てる〜鶴見橋中学校の取り組み」
ゲスト:大阪市立鶴見橋中学校 教諭 川島彰允さん

大阪市西成区の市立鶴見橋中学校には、生徒らが有志で防災活動に取り組む「子ども防災プロジェクトチーム」があり、全校生徒の3分の1近くが参加しています。
鶴見橋中学校は、繁華街や日雇い労働者が集まる「あいりん地区」からほど近い距離にあり、複雑な家庭環境を抱える生徒が少なくありません。このような環境下で非行に走る生徒もいて、数年前までの学校は、とても防災教育ができるような状況ではなかったといいます。ところが、東日本大震災のあとに被災地を訪れた生徒が集会で報告すると、全校生徒は静まり返り、真剣な様子で耳を傾けたのです。それを見た教職員らは「学校が変わるかもしれない」という思いを抱きました。そして、身近なボランティアから始めた生徒らの活動が広がり、学校全体を前向きなムードに変えていきました。「子ども防災プロジェクトチーム」発足後は、神戸や東北の被災者との交流や、避難所訓練合宿を実施するなど、生徒らはやりがいをもってさまざまな活動を行っています。
鶴見橋中学校の川島彰允教諭をスタジオに招き、生徒を育てていった防災活動について聞きます。
 
千葉猛のひとこと
「子ども防災プロジェクトチーム」略して「子防プロ」お話を聞いていて、今日は中学生の力に感動しました。誰に強制されることもなく参加した「防災活動」を通して自分たちで考え、行動することで子どもたちが変わっていく。命の大切さを深く伝えていく。できれば「子防プロ」が日本中に広がってほしいです。

第1084回「災害で後遺症を負った人の支援〜阪神の経験を生かして」
ゲスト:NPO法人「よろず相談室」理事長 牧 秀一さん

阪神・淡路大震災で心身に後遺症を負った「震災障がい者」は、兵庫県内に少なくとも349人います。これは、兵庫県と神戸市が2010年に初めて行った調査で判明したものですが、障がいの原因として医師が診断書に「震災」と記載したケースなどに限っており、実数はさらに多いと見られています。阪神・淡路大震災では、1万人以上が重傷を負いましたが、その後の追跡調査は行われず、震災障がい者は長い間、存在すら知られていませんでした。
震災障がい者を支援する神戸市のNPO法人「よろず相談室」の牧秀一理事長らは、今年2月、国に対策を求めて要望書を提出しました。これを受けて厚生労働省は、今春、身体障がい者手帳の申請に必要な診断書の原因欄に「自然災害」の項目を設けるよう全国の自治体に通知しました。震災から22年が経って、ようやく一歩前進したのです。
牧理事長は、先月、広島土砂災害の被災地を訪れ、被災して片脚を失った女性と初めて面会しました。女性は、土砂災害で夫を亡くし、住居も失いました。しかし、災害で後遺症を負った人への特別な支援はほとんどない状況だといいます。牧理事長は、今後も女性の元を訪れたいと話します。
全国で大災害が頻発する中、災害で後遺症を負った人の実態把握や支援は、必要性を増しています。牧秀一さんをゲストに迎えて、震災障がい者の現状と必要な支援を聞きます。
 
野村朋未のひとこと
災害が起こると、死者や行方不明者の数は公表されますが、心身ともに後遺症を負った人の数は把握されていません。
震災障がい者の方は自分たちが「いない人」と扱われたような気持ちになってしまい、身体や心の傷を負ったうえに、さらにつらい生活を強いられます。
震災で後遺症を負うことは他人事ではありません。自分のこととして考えていきたい問題です。

第1083回「淀川水系で最大規模の洪水が起きたら」
ゲスト:京都大学防災研究所教授 堀 智晴さん

国土交通省が、今年6月、淀川・宇治川・木津川・桂川の4河川からなる淀川水系の洪水浸水想定を、15年ぶりに見直しました。全国各地で相次ぐ豪雨災害を受けて、「想定し得る最大規模の降雨」をイメージし、浸水や洪水の規模をマップで示したものです。
今回の見直しでは、2日間で500ミリとしていた想定雨量を、24時間で360ミリに変更。これは、短時間で強い雨が降る近年の傾向を反映したもので、2013年9月に発生した台風18号の1.3倍に相当する雨量です。
さらに、木造二階建ての家屋が流される危険性が高い地域を示しました。浸水の高さは高槻市で8m、京都・木津川市で8.9mなど、二階部分が水没する目安となる水深5mを、多くの市町が超えました。
加えて、50cm以上の浸水が続く「浸水継続時間」を初めて公表。淀川河口部に近い大阪市西淀川区や旭区では、最大18日間、浸水が続くと予測されています。また、大阪駅周辺でも、浸水の深さは2.5mに達し、3日以上継続するなど、都心部でも大きな被害が予想されます。
今回の見直しは、「1000年に一度の大雨」を想定したものですが、昨今の雨の降り方を考慮すると、いつ起こっても不思議ではない規模です。私たちはどう備えればいいのか? 何に注意すべきなのか? 京都大学防災研究所・堀智晴教授に、お話を聞きます。
 
淀川水系(淀川・宇治川・木津川・桂川)洪水浸水想定区域図(国土交通省近畿地方整備局のページ)
http://www.yodogawa.kkr.mlit.go.jp/activity/maintenance/possess/sim/bosai_sonae_01hyo.html

千葉猛のひとこと
最大で「18日」も水につかったままになったり、浸水の高さが「8メートル」もあったりと、淀川が洪水を起こした時の影響の大きさがよくわかりました。家の2階に避難しても不十分なので、とにかく早い段階で高い場所に避難しておくべき地域もあります。自分の住む地域の危険性を知っておきましょう。

第1082回「土砂災害に備えて〜森林のリスクを知る」
ゲスト:兵庫県立大学名誉教授 服部 保さん

昨年8月の台風10号で岩手県岩泉町のグループホームを襲った豪雨や、今年7月の九州北部豪雨では、流木が被害を拡大させた一因となりました。大量の土砂と共に山林の樹々が流され、橋に詰まって川の流れを変えたり、家屋に襲いかかったのです。
私たちの住む関西には、山麓の人口200万人を要する六甲山があり、多くの「砂防ダム」が整備されるなど、土砂災害への対策が進められています。しかし、兵庫県立大学の服部保名誉教授の調査によると、六甲山は里山として利用されなくなったことにより、近年、高さ20メートルを越すような大木が増加しているといいます。大規模な土砂災害が発生して大木が流出すると破壊力は計り知れず、砂防ダムがあるからといって安心はできません。
六甲山にはどんな森林が形成されていて、土砂災害に対してどんなリスクがあるのでしょうか。服部保さんをゲストに迎えて、じっくりお話を聞きます。


野村朋未のひとこと
森や山が災害で崩れて甚大な被害になることもあります。整備には数十年単位の時間が必要ということですから、私たちが気をつけて減災に取り組まなくてはなりません。森や山は普段は私たちに実りや憩いを与えてくれる存在です。良いかたちで守り育てていきたいものです。

第1081回「百円均一ショップで揃う防災グッズ」
ゲスト:防災士 坂本紫音さん、防災士 坂本真理さん

いざという時に、私たちの身を守ってくれる防災グッズ。とても大切ですが、一式買い揃えようと思うと お金がかかります。今回は、そんな防災グッズを「百円均一ショップ」で揃えてしまおう!という企画です。
ゲストは、中学2年生の防災士・坂本紫音君と、母親で防災士の坂本真理さんです。紫音君は、2015年 小学校6年生で防災士の資格を取得し、当時、“関西最年少防災士”に認定されました。東日本大震災の2か月前に弟が生まれたことから、兄として、またひとりの日本人として、災害について勉強したいと思い、勉強を重ねて資格を取得したそうです。現在は、防災教室で大人顔負けの熱弁をふるいながら、防災グッズに「百円均一ショップ」の活用を訴えています。
「百円均一」には、非常用トイレや保温効果のあるアルミシートなどはもちろん、日用品だけれどもちょっとしたアイデアで防災用品に変わるものがたくさんあります。コンサートなどで使えるサイリウムライトは、ポキッと折るだけで家の中を照らすライトに。油性マジックは、持ち物に名前を書くだけでなく、火をつけるとロウソク代わりに…。スタジオでは、同じく防災士の資格を持つ千葉猛キャスターと、予算2000円以内で「百円均一ショップ」で防災グッズを揃える対決も行いました。果たして勝負の結果は…?2人の買ってきたグッズを比較しながら、紫音君の驚きのアイデアをご紹介します。
(写真上)左から千葉猛キャスター、坂本紫音くん、坂本真理さん、野村朋未キャスター
(写真下)坂本紫音くんが選んだ防災グッズ


千葉猛のひとこと
中学生防災士の坂本君、さすがでした。百円ショップの「防災用品」は食品用ラップや灯りなどいろいろあるものですね。買い物を通じて「災害が起きた時、自分にとって必要なもの」を改めて考えることは大変勉強になりました。難点はと言えば、ついつい、いろいろ他の物もたくさん買ってしまうことです。

第1080回「台風5号による河川氾濫を検証〜滋賀県長浜市」
報告:MBS 上田崇順アナウンサー

今月8日未明、台風5号による大雨で、滋賀県長浜市では1級河川の姉川が氾濫し、周辺の住民ら約550人が小学校などに避難しました。川からあふれた水が住宅街を滝のように流れる映像がテレビで放送されましたが、真っ暗な中、住民はどのように避難したのでしょうか。避難のタイミングは適切だったのでしょうか。さまざまな疑問がわいてきます。
川の氾濫には理由がありました。堤防が低くなっている「切り通し」の部分から水があふれたのです。切り通しは、橋が架かる県道を通すために設けられていて、姉川の氾濫が予想される場合は、その都度、地元自治会が板などでふさいでいました。しかし、今回は川の増水が急激で、対策が間に合いませんでした。自治会では4年前に切り通しの閉鎖を決議していたといいます。もっと早く閉鎖できなかったのでしょうか。地元の人たちの思いと今回の被害の教訓を、MBSの上田崇順アナウンサーが取材・報告します。
(写真上)氾濫した姉川
(写真下)通行のために堤防の一部が切れている「切り通し」

 
野村朋未のひとこと
暮らしの利便性といつ来るかわからない災害に備えての安全性。天秤にかけるのは難しいことかもしれませんが、昔のまま使われている”切り通し”も、昨今の雨の振り方や急な増水に対応出来るのか不安です。
土地の歴史を知ることは減災につながります。いま一度、自分たちの土地をよく知り、見直しもしていきたいですね。

第1079回「九州北部豪雨1か月〜被害は防げなかったのか」
報告:MBS 上田崇順アナウンサー

九州北部豪雨1か月で、今回も上田崇順アナウンサーの報告です。
福岡県朝倉市杷木松末地区は、5年前の「平成24年九州北部豪雨」で家屋などが被害を受けました。住民たちは、行政に対し元どおりの復旧ではなく、被災前よりも川の底を掘り下げ川幅を広げて安全を確保してほしいと望んでいましたが、「対策は十分には行われなかった」と話します。すべての山と川の防災対策工事を行うのは難しいことです。その結果、先月の豪雨で川が氾濫し、多くの家が流されてしまいました。
ハード対策の限界が明らかになる中で、注目される地区があります。杷木地区の上池田集落は、5年前の被害を教訓に避難訓練を続け、今回の豪雨でも全員が助かりました。すべての家庭に防災ラジオが配られていたこともあり、住民たちは適切に情報収集し、避難指示が出る前に自発的に避難をしました。水害から命を守るために大切なことは何か、上田アナウンサーと一緒に考えます。
 
千葉猛のひとこと
日頃から避難訓練を欠かさず続けたことで防災意識が高まり、自治体が「避難指示」を出すより前に、自主的に判断して早めに避難した集落は、家や車が流される被害が出たのに、1人も人的被害を出さなかったということです。早めの避難はまさに「命を守ること」そのものですね。