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「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
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【2016年5月14日 放送分】 |
2016年5月14日 |
【巻】…4・621
【歌】…間なく恋ふれにかあらむ 草枕旅なる君が夢にし見ゆる
【訳】…絶え間なく絶え間なく恋しく思っているからか、旅にいるあなたの姿が夢に見える
【解】…前週に続き、妻が夫に贈った歌です。夫は、西海道節度使と呼ばれる、西日本地域の軍事・公安に関わる仕事についていた佐伯宿禰東人という人。歌の作者である妻は、「旅先の夫が私のことを絶え間なく恋しく想っているので、私の夢に出てきた」と詠んでいます。古代では、相手が自分のことを強く想うと自分の夢に出てくると信じられていましたので、このような表現になるのです。実際に夫がどれほど恋しく想っていたのか確認する術はありませんが、夫を想う妻の気持ちが反映したのでしょう。もし携帯電話があれば、夫が現在どこにいるのか、どんな気持ちでいるのかなど、すぐに確認できるので、このような歌は生まれないでしょう。
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