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｢上野誠の万葉歌ごよみ｣ |
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| 【2016年6月18日 放送分】 |
2016年6月18日 |
【巻】…11・2682
【歌】…韓衣（からころも）君にうち着せ見まく欲り 恋ひぞ暮らしし雨の降る日を
【訳】…韓衣をあなたに着せて見たいと思う私、恋しく恋しく待ち暮らしている雨の降る日を
【解】…韓衣とは、朝鮮半島か中国から輸入する高級な衣装で、当時は手に入れるのが大変難しい物です。その韓衣を、作者の女性は大切な人に着せたいと用意していたのでしょう。しかし、雨が降って恋人は来られなくなった様子。彼の喜ぶ顔が見たいと楽しみにしていただけに、落胆も大きかったに違いありません。特に女性は男性をただ待つしかなかったので、なおさらやるせなかったことでしょう。
古代は、現代と違って雨が降ると川が渡れなくなったり道が陥没したりと、交通が遮断されることが頻繁で、外に出られなくなるのは当たり前。それだけに、梅雨の時期は、家で一日をどう過ごすかが当時の日本人にとって大きな関心事でした。この歌も、そんな季節に作られた作品と思われます。
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