今月後半は、行楽シーズンを迎えた京都のお出かけスポットをご紹介していますが、最終回の今回は、これからの時期、桜や新緑がとっても美しい京都のトロッコ列車と保津川下りをご紹介しました。
始めに、「嵯峨野観光鉄道株式会社」事業部部長・前 仁司(まえ・ひとし)さんにトロッコ列車に乗りながらお話しを伺いました。(写真1)
平成3年の開業に向けて、当時、社長以下9人の社員の方々で、沿線に桜や紅葉を植えたものが、現在でも乗客の目を楽しませているそうです。荒れて痩せた土地に植えるのは難しく、また、イノシシやシカなどに芽を摘まれるなど苦労も多かったそうですが、桜の研究者の方から褒められるほどに大きく育ったそうです。
桜を集中して植えているのは、トロッコ亀岡駅の手前辺りで、春は桜のトンネルをトロッコ列車が走る風景が見られます。(写真2、3)
トロッコ列車は四季折々楽しめるようになっているので、春の桜が終わっても、新緑、秋の紅葉、雪の中を走るトロッコと楽しむことが出来、また、並行して走る保津川の川下りのお客さんと手を振りあうのも楽しみの一つになっています。(写真4)
そして、もう一つの楽しみは、車掌さんの車内アナウンスで、保津川の歴史や沿線の見どころなどを楽しく紹介し、時には歌を披露されたりするそうです。取材にうかがったときには、台湾からの団体客が乗車されていたそうで、中国語で「北国の春」を熱唱されていました。
また、トロッコ嵯峨駅では日本最大級の鉄道ジオラマがあって、小型カメラを搭載した模型列車を実際の電車に使われていた本物の機器で、運転することが出来るそうで、お子さんや鉄道ファンの方に大人気なんだそうです。(写真5、6)
嵯峨野観光鉄道
そして、トロッコ亀岡駅から連絡バスでおよそ15分の保津川下り乗船場へ行き、保津川の歴史と役割について保津川遊船企業組合専務理事の豊田知八(とよた・ともや)さんにお話しを伺いました。(写真7、8)
保津川下りは1606年(慶長11年)に当時嵯峨に住んでいた角倉了以という豪商によって水運始まりました。それまで、この川は木材を流す筏流しが平安の時代から続けられていたそうですが、江戸時代になって、年貢米や生活物資を運ぶ大きな役割を担うようになったそうです。
ところが、明治の32年あたりから鉄道がつきはじめ、だんだん荷舟の仕事が減った頃、海外からの賓客などに保津川下りの荷船に乗りたいと言われ、観光用に使うという新しい展開が生まれたそうです。
桜は「女渕」と呼ばれる池のようなところ500mぐらいの両側にあるそうで、もともとは山桜のたくさんあったところでしたが、川の斜面はダメージを受けやすいので、桜は代々の先輩や自分たちも植樹しメンテナンスも行っているそうです。(写真9、10)
桜が散ると散った花が水面に浮かび「花筏」となってきれいですが、その後の新緑が花よりきれいと思うことがあるそうで、この時期が一番お勧めと仰っていました。
保津川下りの乗船場には、駐車場がありますので、車で来られたお客さんは、川下りを楽しんだ後、嵐山を散策して、JRやトロッコ列車で亀岡に戻って来られるそうです。
また、保津川下りは、あの「ミシュラン」の発行する旅行ガイド「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」で一つ星を獲得していて、海外からのお客さんも多いそうですよ。