喫茶ラウンジMegビブリオ
7月15日放送分
今回紹介した本は、道尾秀介:著 /『きこえる・死者の耳』/ 講談社
Megビブリオでは、ジュンク堂書店の佐々木さんとお話をしながら、選書しているのですが、
今回は新しい形の本を見つけました。
各章には2次元コードがあって、それを読み取るとリアルな音声が聴こえてきます。
音を聞きながらストーリーを読むという立体的な形のサスペンスです。
刑事の美浜は、タワーマンションの一室で事情聴取を行っていた。ICレコーダーに録音された、4分間ほどの音声。
それを再生し終えた後、桂木美歩は「このあとのことは、何も分からなくて...」と目を伏せた。
リビングの床には、この部屋の主である瀧沢鐘一の遺体が横たわっている。著名な画家を父に持ち、美術界では
有名な人物であった。
事の始まりは、美歩が友人に電話の録音を頼まれたことだ。
友人というのは、亡くなった瀧澤鐘一の妻・瀧沢怜那である。
″夫のDVの証拠を残したい。その為にはこっそり録音する必要があるが、バレたら音声を消されてしまうかもしれない。
美歩に電話するから、スピーカーホンにして、録音して欲しい″と。
それを実行にうつしたのが、今日だった。
怜那はバッグに携帯電話を忍ばせて、部屋のドアをあけ...美歩は自分の家でレコーダーを回す。
しかし聞こえてきたのは、怜那の取り乱した声だった。
死んでる!あの人死んでる!と...。
ビニール袋をかぶり、そこにガスボンベに繋げられたチューブを取り付けた状態で、瀧沢鐘一は亡くなっている、と。
しかも、両手を挙げ、自分の手と手をシャツのボタンで留めて拘束するような状態で。
混乱する怜那と美歩であったが、警察に通報する為に、そこで通話は終わる。
事情聴取の際に再生されたのは、まさにその時の音声だった。
そして「怜那を殺したのは、私なんです」と美歩は告げる。電話口で、貴女が不倫なんかするから鐘一が自殺したに
違いないと、責めた為である。そう、実は、電話を終えたあとすぐに、怜那も亡くなっていたのだ。
この部屋のベランダから飛び降りる形で。
現場の様子から、おそらく2人とも自殺であろうと判断された。事件性はほぼないと、捜査も打ち切られてしまう。
しかし刑事の美浜は、怜那がそんな事で自殺なんてするだろうかと、疑問が残った。
そして何度も電話の音声を再生するうち、ある違和感に気づく。
何か、怜那と美歩の会話とは別の″音″が聞こえるのだ。その音の、正体とは...?
鐘一と怜那夫妻は、本当に自殺なのだろうか。
果たして、真相は...?音の中に隠された秘密とは、一体...。
6月10日放送分
今回紹介した本は、近藤史恵:著 「ホテル・ピーベリー」 双葉文庫
木崎淳平は、ハワイ島のヒロという町に降り立った。
仕事を辞めた彼を心配した友人が「海外にでも行ってきたら?」と勧めた為である。
その友人が教えてくれた宿泊先が、小さなリゾートホテル・ピーベリー。
そこは、長期滞在が可能だが「リピーターを受け入れない」ことが特徴である。つまり一度宿泊すると、二度と泊まる事が出来ない。
日本人夫婦が経営するそのホテルには、淳平以外の宿泊客が4人。
淳平を含め、彼ら4人もどうやら「訳アリ」らしい。
しかし此処では適度な距離感を保って、誰も深入りしようとはしない。
日本でのしがらみから逃れてきた淳平にとって、それが心地よかった。
穏やかなハワイ島での日常は、過去を忘れさせてくれる...。
ハワイを満喫しはじめた、そんな矢先だった。宿泊客の1人がプールで溺れ死ぬ事件が起きてしまう。
亡くなったその男が語っていたのは「このホテルの客はみんな、嘘をついてる』...。、
どこか不穏な空気に包まれる中、また、新たな事故が起こるのだった。
このホテルには「なにか」がある。
これは何者かによる殺人なのか、ただの事故か。
そして、リピーターが泊まれない理由とは一体...?!
5月13日放送分
今日紹介したのは綾辻行人・著『十角館の殺人〈新装改訂版〉 /講談社文庫』 です。
私がミステリにハマるきっかけをくれた本であり、読む楽しみを教えてくれた本でもあります。
名探偵、密室、トリック、伏線...。現代を舞台にしながらも、どこか空想めいたワクワクするシチュエーションや言葉の数々。今までにない読書体験に「またこんな本を読んでみたい!」とミステリ小説を読み漁るようになりました。
今から読める人が羨ましい!!
あらすじとしては、無人島に聳える「十角館」という館に、大学のミステリ研究会・男女7人が訪れるところから物語は始まります。
7人は合宿を楽しむはずが...そこで待ち受けているのは、恐ろしい殺人事件で...と、説明はこのくらいにしておこうかと思います。
何故なら、予備知識なく、まっさらな気持ちで読んで欲しいからです!
ゆっくり読む時間がない...という方はHuluで映像化もされているので、そちらをどうぞ!
でもまずは、やっぱり本を手に取ってみて下さいね。
あなたには、館の謎が分かるかな...?
3月18日(西田 愛)放送分
今日紹介したのは、山中哲男さんの「相談する力」(出版社:海士の風)という本です!
まず私が手に取って思ったのは「あれ?私って全然、相談とかするタイプじゃないけど、そんな人間が読んでも大丈夫かなぁ?」でした。
そもそも、相談って力なの?他力本願なだけじゃないの?
そんな考えがグルグルと頭の中を駆け巡ったりもしました。
しかし本を読んでみて...考え方が一変!目からウロコが落ちました。
今まで「相談」は、相手から明確な答えをもらう為の行動だと思っていましたが、真逆!
「相談」は、自分の思い込みを外すためのスキルだったんです。そして、選択肢を広げるための手段だ、ということ。
確かに、仕事がテキパキしている人のほうが、相談や質問を積極的にしているような気がします。
とにかく、仕事ができる人は相談を使いこなせる!相談を使いこなせば仕事も上手くいく!
この本を読んで、ぜひ、皆さんのやりたいことが成功に近づきますように。
私も早速、誰かに相談してみようかな...。
2月19日(西田 愛)
紹介本:辻村深月:著 /『傲慢と善良』 / 朝日文庫:刊
辻村先生は、私の大好きな作家さんでもあります。
ストーカー被害にあっていた婚約者(女性)が、突然、姿を消してしまうところから、話は始まります。もしやストーカーに誘拐されてしまったのでは?!と主人公は警察に相談するのですが、事件性は低いと判断されて捜査は打ち切りに...。
そんな訳で主人公は独自に調査を開始します!
しかし、彼女の友人や同僚など、話を聞いていくうちに、彼女の「過去」に向き合うことになる主人公。
この本はミステリー小説かと思いきや、彼女の足跡を辿りながらも、自分自身(読者含めて)を見つめ直すような内容になっています。
これを読めば、ドキッ!ズキッ!と思い当たることがきっとあるばず。
特に「婚活」に焦点をあてていて、結婚や婚活を妨げるものが、傲慢と善良、であると本の中で語られます。果たしてその意味とは...?
それはぜひ本を手に取って、確かめてみて下さいね