2017年

10月29日

老舗のベンチャー精神で未来へ進む

今週のゲストは“アイデアと技術で暮らしを豊かに”平安伸銅工業株式会社の代表取締役 竹内香予子さん。
リスナーの皆さんにも身近な商品をお作りの会社です。
「社名の通り、銅を使ったものを作っていたのですが、現在は“突っ張り棒”を中心とした日用品を作っている会社です」。

10cmという小さなものから3mにまでなる大きなものまで。
対荷重も様々だという突っ張り棒。
「40年前に祖父がアメリカで突っ張り棒を見つけたんです。
人口が都市部に集中して、和室から洋間に変わる時代。
日本の賃貸住宅は引っ越すときに現状回復が基本ですよね。
それを実現したのが突っ張り棒なんです。
ガラパゴス的に日本独自進化した商品ともいえますね」

今や平安伸銅工業株式会社の売り上げの半分以上が突っ張り機構を持つものなのだそうです。
その中でも若い女性社長ならではの切り口が光ります。
「突っ張り棒の機構を生かしながら、ホームセンターにある木材にはめるだけで空間に柱を立てられる機構を持つものがあります。
突っ張り棒は日本の住宅に馴染むものですが、プラスチックだけであったり、突っ張り棒の色合いが家にマッチしなかったりします。
お客様がアレンジできる商品があってもいいのではと思い、開発しました」。
それが安全で手軽なDIY商品『LABRICO』シリーズ。
隠れた機能重視から、機能をそのままに見せることができ、かつオシャレ。
棒から棚に簡単に模様替えもできます。

こういった新商品開発チームは社内で組織されているのでしょうか?
「うちの会社はそれまではエンジニアで構成されていました。
デザイナーという存在がなかったんですね。
それまでデザインはコストだという考えでしたから。
このLABRICOは機能とコストを重視しています」

実際の会社はファブレスメーカー。
コアな部分は企画開発で女性が多いという平安伸銅工業株式会社。
2015年に竹内香予子さんが社長に就任。
社長就任前は新聞社にお勤めだったそうです。
竹原編集長と同じ記者出身。
「当時は若気の至りで転職を考えていましたね。
そんな時に父の体調が悪くなって、稼業の手伝いを初めて家族からお願いされて…。
もしかしたら自分しかできない仕事が稼業かもしれないと思ったんです。
売り上げのほとんどは白い突っ張り棒の会社です。
そこから祖父や父が残してくれた、時代の変化に耐え抜いたものこそ生き残る価値のある商品だと思うんです。
歴史を背負っているんですよね。
老舗だけどもベンチャー気質を持っている会社だと思っています」

現在三代目の竹内社長。
代が替わっても社名はそのまま。
商品は時代と感性と共に変化。
老舗のベンチャースピリッツは変わらないために変わっていくのです。

竹原編集長のひとこと

馴染みのあるものを新しい切り口で変えていく。
時代にあった発想は大切ですね。