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5月11日
テクノロジーを通じた視覚と聴覚のコミュニケーション革命
今週のゲストは株式会社 Ubitoneの代表取締役 山蔦栄太郎さんです。
■あったらいいなを形に Ubitoneってなに?
『盲ろう者の方を対象としたサービス開発からスタートしました。
盲ろうの方は、触覚だけを頼りに外の環境を把握されていましたが、
コミュニケーション方法のひとつに指点字があり、
その指点字をデジタルに置き換えるところからスタートした会社です。
実際に通訳の方は、横に並んで手を押さえる感じでメッセージを伝えます。
紙に表されている点字は6つの点で構成されていますが、
指に置き換える時は計6本の指を使います。
それが縦に並んだ時に紙に印刷されている点字と同じ形式になり、
6本の指が6つの点に対応して50音を表現できます。
点字しかわからない方でも4日から1週間程度の訓練でできるようになるそうです」。
開発されている手に装着する情報伝達システム『Ubitoneグラブ』をスタジオにお持ちいただきました。
手に装着すると6本の指に対して振動子が振動を与えることで、メッセージを伝えられます。
指輪型のものを左右合わせて6本の指プラス親指計8本に付けます。
『Ubitoneグラブ』を装着した竹原さんと松川さん。
音声が振動として指先に伝わります。
「その指の振動を理解できれば、言われている意味がわかってコミュニケーションが取れるということですね。
通訳の方が横に付いて翻訳していただかないといけなかったのが、
ひとりでコミュニケーションが取れるようになったり、
チャット機能で遠く離れた人ともコミュニケーションが取れます。
スマートフォンと繋がっているので、
ニュースや情報を取得したり、カメラを使って文字を読み取らせたり、
色や明るさを確認したりできます。
これまでいろんなアイデアが出ては消えを繰り返し、
商品レベルで入手しやすくて盲ろう者の方でも使いやすい指点字デバイスはなかったんです。
音声認識を正しく文字に置き換えて変換できるようになったのもここ5年ぐらい。
技術の進化はここ数年でAIが発展してきた背景もあると思います」。
点字ディスプレイの『ポケットフィンガーブレイル』というものもあるのだとか。
「これは『Ubitoneグラブ』と同じように指点字ではなく手で触れる点字として自動で出力されます。
これは標準の規格として、世の中で普及している点字ディスプレイです。
Ubitoneのアプリと連動して動くのは、
弊社が開発したUbitoneのディスプレイ、ポケットブレイルだけです」。
さらに足にもつけるものもあるそうですね。
「『Ubitoneフットナビ』です。
タグを読み取るリーダーになり、1人で歩いたりする時の位置情報を手助けするシステムになっています。
フットナビがスマートフォンに繋がっているので、
足から読み取った情報がグローブやポケットブレイルディスプレイに伝わります。
例えば、今エレベーターの1階にいますという情報を足で読み取って手に伝わります。
まずは実証実験の段階ですが、それが普及すれば、
ひとりで歩くことができる日が来るかもしれません」。
■指先から伝わるメッセージ 万博で『Ubitone』
「万博でも体験していただけるようにアプリとデバイスを展示して触っていただけるような環境を作ろうと思っています。
そもそも盲ろう者の生活がどういうものか知らない方もいるので、
イメージの動画も流します。
日本国内の盲ろう者の皆さんに使っていただいていますが、
万博ということで世界各国からいろんな方が来ていただければ、
問題提起にもなりますし、
日本語だけでなく英語対応等のデバイスも置いておこうと思っています。
そこで広く知っていただくきっかけになればなと思っております。
アプリの中にチャット機能で遠隔でコミュニケーション取るための機能が入っています。
盲ろう者の方だけでなく、友人ご家族の方にも入れていただくと、
健常者の方はグラブとか点字ディスプレイを持たなくても、
アプリで入力していただいてコミュニケーションが取れます」。
■変わる! 未来のコミュニケーション方法
商品化、実装化のレベルはどのあたりまで来ていますか?
「今、最終商品化に向けて盲ろう者及び視覚障害の様々な方に使っていただきながら、
最終検証を重ねている段階です。
早く世の中にだしてほしい、すぐに欲しいという声はよく聞いております。
最初のアイデア考案は私ともう1人の共同創業者のふたりで進めてきましたが、
今はエンジニアの方にもサポートしてもらいながら作っていただいて、
回路の設計もお願いしています。
今後、ビジネスとしてちゃんと回っていかないと持続可能なものになっていかないと思います。
実は私も今は給料が発生してないんですけども...(笑)。
いつまでも無給の人ばっかりで開発を進めるわけにはいかないので、
正しくお客様をサポートして、正しく使っていただくためにも
お金がちゃんと回っていく仕組みっていうのは必要なものかなと思っています」。
この先のイメージ、プランは?
「万博のテーマが"いのち輝く未来社会のデザイン"。
障がいのない人だけが輝けばいいっていう社会ではダメだと思っています。
現在はAIの発達で翻訳も英語と日本語だったり中国語だったり自動翻訳で勉強しなくても伝わるようになってきました。
Ubitoneもそれと同じように通訳の標準として国・世界に広まってほしいです。
障がいの有無や点字や手話の技術を意識することなく自然とコミュニケーションが
誰とでも取れるような社会の実現につながれば良いと思います」。
大阪関西万博に向けて意気込みをお願いします。
「各国いろんな方に来ていただいて、まず知っていただく。
そして、問題っていうところを意識していただきたいです。
障がいっていうのは、個人の側じゃなくて社会の側にあると私は思っておりまして、
例えば目が悪い人もメガネをかければ、普通に生活できるようになります。
当たり前のものを当たり前にしていくっていうことが人によってはどれだけ困難かということを意識していただいて、
それをより良くするためには技術、テクノロジーが使われていくっていうところを、
実感していただけるよう少しでも努力していきたいと思っています」。
6月3日から6月9日に大阪ヘルスケアパビリオンのリボーンチャレンジ内での出展となります。
本当の意味での、いのちが輝く社会を目指しておられます。
世界中でコミュニケーションの革命が起こりますね。