2025年

5月18日

音を可視化するスマートグラス

今週のゲストは山本光学株式会社の商品企画部兼コーポレートマーケティング室 次長 乾倫太郎さんです。

■眼を守る技術 山本光学の技術

「"山本光学"と言いますと結構カタいイメージがしますが、 主にレンズ、フレームも両方作っている会社になります。
両方自分たちで研究して作っているっていうところは世界的にも珍しくて、 そこが我々の強みです。
作りたいレンズを作って市場にフレームと一緒に出していくところが得意な会社です」。

オリンピックなどの競技会があると山本光学さんの製品を目にする機会が多いです。
スタジオに製品をお持ちいただきました。
「竹原さんが、おかけになっているのがマラソン用のアイウェアです。
プロ級のフルマラソンですと早くて2時間。
長時間走りますのでズレたり動いたりすると良くない。
収まりの悪さがストレスになりますので、 それを防ぐ設計になっています。
阪神タイガースの近本光司選手にお使いいただいているものもあります。
野球選手は上下左右に激しく動きますので、 その時にブレないように軽く押さえている設計になっています」。

それぞれにどんな技術が使われているのでしょう?
「例えばスキー、スノーボードをする時に使用するゴーグル『SWANS』にはコーティング技術。
その作ったレンズに対して色んな機能を与えるようなコーティングを施したりとか、 あとは、作る際に色んな機能性を持たせるための成形技術。
フレームとレンズを両方作っているからこそ、昔から研究がなされています。
弊社は100年以上"人頭データ"を集めていまして、 会社に来ていただいた方やアスリート、新入社員らの頭の形を測定させてただいています。
それをデータとして蓄積しておいて、 例えば女性用の小柄なアイウェアを作ろうって言った時は、 そこから20代女性の頭の形のデータ抽出をして製品へ繋げます。

■スマートグラスから見る未来世界

「これまでも説明させていただいたアイウェアはメガネが目を保護することに重きを置いていました。
今回、大阪・関西万博に出展させていただく製品は目の前に色んな情報を映し出す『ARグラス』と呼ばれているようなものになっております。
弊社の場合は特に色んなスポーツや産業安全の分野でアイウェアを提供してますので、 映像を見るための商品ではなくて、アクションをしている方。
スポーツや作業をされている方のサポートをするためにそういう技術を応用していきたいと思ってまして。
そうすると守るだけじゃなくてサポートしていける。
積極的に付けている方のポテンシャルを上げていけるようなものになるんじゃないかな思います」。

スマートグラスを装着させていただきますと、 メガネのレンズの上のあたりに文字が出ますね。
「レンズの中にデータが浮かんでいるようなイメージですね。
あの技術を用いて例えば作業されている方に指示書の情報を出すこともできます。
ピッキング作業で物流の倉庫で働いている方に、次にどの棚の何列目に何を取りに行ってくださいというような指示を出したり、それをサポートしたりとか。
さらに万博でご覧いただけるのは"音を可視化するスマートグラス"です。
耳の不自由な方、聞こえない方は視覚情報に頼ります。
このメガネを使って日常の音を可視化すれば、 もっと安全に移動できるんじゃないかなと思ってます。
例えば救急車やパトカーが近づいてきたら、 普通の方は道を譲りますが、 聞こえない方には分かりません。
救急車のアイコンを表示して危険を伝えます。
耳の聞こえないお母さんは子どもの泣き声が聞こえませんが、 音を可視化することでお子さんの今の状態を示すことができます。
日常を見ていくと暮らしの色んなシーンで補助ができるんじゃないかと思います。
目の前に物を映す技術があるなら、 自分達も技術の進化に合わせてアイウェアに取り込んでいけるように研究しています」。

どのような形状になるのでしょうか?
「メガネのフレームの片方部分に3、4cmぐらいの基盤が入っています。
消しゴムぐらいの機械が横に付いて、 フレームが前に出てきて、透明部分に映像が映ります。
言語やアルファベット、デザインなども表示できます。
今は映像が少しカクカクしますが将来的にはもっとスムーズに映せるように研究中です。
さらにこれは携帯電話に繋がってます。
スマートグラスの機能を果たそうとするとアプリケーション開発が必要です。
我々は本体を作ってるのでソフトウェアを作ってくれる企業様と一緒になって、 面白いアイデアを共に作っていけたらいいなと思っています。
万博で体験していただいて面白い人がアイデアを入れてくれるとありがたいです。
色んな国の方のご意見も聞きたいですね」。

■テクノロジーの進化 次の時代の当たり前とは

「産業安全の分野や文化的な使い方も想定してますが、 もっとワクワク楽しく使うには弊社の『SWANS』のアイウェアとリンクしていくと 面白くなるんじゃないかなと思っています。
例えば、ゴルフをされている方は、 自分で打ったボールがどこまで飛んだのか、 あと何ヤードで届くのか風向きや起伏などが表示できればサポートできます。
スマートウォッチでも出てきてますが、 それが目の前に出てくるのが出来るんじゃないかなと。
マラソンなど長距離走だとひとりで走ってると音楽を聞くぐらいしかできないですよね。
それがこのメガネを使うと目の前に他に走ってるランナーの情報を映し出して、 一緒に走るような疑似体験ができる...とか。

各スポーツのカテゴリーに未来の技術が簡単につけられるようになると良いなと思ってます」。

大阪・関西万博への意気込みをお願いします。
「弊社の技術はまだ途中段階ですが、 会場ではデモを体験いただけます。
是非皆さん足を運んでいただいて未来の変革を感じていただけたらなと思います」。

6月3日から6月9日に大阪ヘルスケアパビリオンのリボーンチャレンジ内での出展となります。

竹原編集長のひとこと

未来のメガネとはまさにこれのこと。
生活の中で便利になることはもちろん、暮らしやスポーツの情報性も高まりますね。