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今週のゲストは、ソラリスバイオ株式会社の代表取締役社長　石川格靖さんです。
まずは事業の内容から伺っていきましょう。

「再生医療における培地と凍結保存液を研究開発している会社です。
培地とは、細胞を増やすための栄養液のようなものです。
再生医療では細胞が主役ですから、細胞も栄養が必要です。
培地はその栄養になります。
今までシャーレの中の"寒天みたいなもの"というイメージがありましたが、再生医療で使っているものは基本的に液体培地です。
シャーレに細胞がくっついていて、その上に培地をかけて細胞が増えていきます。
どんな培地を使うかによって細胞の状態が変わってきます。
血液などからも滲み出て来る成分も培地と同じような役割を果たします。
再生医療では細胞を長く生かしたい、老化させたくないということも重要です。
市場には様々な培地がありますが、弊社は安全・安価・良い細胞作りをコンセプトにしています」。

それまでの培地というと...？
「従来の培地は牛の血清、特に胎児の血清を使うのが一般的でしたが、感染症のリスクがあります。
弊社では動物も人も使わない培地を作っています。
これはビーガン的な考え方と近いと思います。
血液には日によっても季節によっても何が含まれているか分からないので、細胞を作る、薬を作るという観点で重要な培地を研究開発しています」。

池田泉州銀行の2024年度ニュービジネス助成金の大賞を受賞されました。
「培地のノウハウを応用して細胞を培養する液、凍結保存する液を作ったことが評価いただきました。
再生医療では、細胞を培養して保存してから患者さんに投与することが多いです。
大量に作ってストックしておいて、患者さんが来た時に投与する治療法もあります。
そのためには凍結技術が重要です。
冷凍食品のお刺身のように凍結の仕方で状態が変わります。
今回、有機溶媒を使わない凍結保存液が世界で初めて販売に至ったことが評価いただいたポイントだと思います」。

再生医療に深く関わっておられます。
「再生医療は治らない病気を治せるかもしれない未来の治療です。
多くの患者さんが使える環境にするには凍結技術が重要なんです。
我々の凍結保存液は有機溶媒を使わないのが特徴です。
様々な場所で再生医療が行いやすくなります。
まだ技術的な課題はありますが、どこでも使いやすい凍結保存の方法を目指しています。
多くの病院で再生医療が行われるようになり、再生医療を受けられる場所が増えます。
将来的には何兆円規模の市場になると云われているので、受けられる場所を増やす必要があります。
みんなが使えるようにするためには培地や凍結保存技術が重要なんです。
日本の再生医療を支える技術として世界に貢献したいと思っています」。

現在、再生医療の研究者の方々は製品をお使いなのでしょうか？
「4月から販売開始でこれから使っていただく段階です。
良いものを作ってうまく使えなければ指摘を受けて改善していきます。
再生医療の社会実装は私たちだけではできないことがいっぱいあります。
病院の先生や研究機関とコラボレーションして、良い再生医療を実現していくことを目指しています」。

生産体制はどのような形をとっていらっしゃいますか？
「社内で一部研究用途として作ることはできますが、もっとグレードの高いものを作っていく必要があります。
社内だけではできませんので、委託先を探しています。
まだ決定できてないのですが専門用語でいう"GMPグレード"、グレードの高い環境下で作ってもらえる場所に委託して、管理しながらグレードアップして出すという展開になります」。

海外からも注目される技術です。
「今年、海外展開も頑張っていこうと思っています。
海外はマーケットが10倍以上大きくなりますが、逆に真似されてしまうのが怖いところでもあります。
そのバランスを見て展開を準備しているところです。
特許を取っていても真似はできてしまいます。
我々が作っているものは安全なもので作ろうとした分、中身がシンプルで誰でも手に入るようなものばかりです。
"ファーストはソラリスバイオが作ったもの"と認知してもらいながら商品を展開していく戦略を取ろうとしています。
特許戦略、知財戦略も大事ですが、それ以外の部分も色んな方に相談しながら進めているところです」。

大阪・関西万博も影響が。
「万博で再生医療が世界から注目されていますし、今回のラジオ出演やニュービジネス助成金の大賞などを活用して、日本で評価して頂いた看板を背負っていこうと思っています。
我々だけではできないことが多いですので、再生医療の現場の先生方が困っている部分を何かお手伝いできないかなという思いでやっています。
共に歩みたいという思いが強いですね。
同じようなことをやっている会社は日本でも何社かあると思いますし、大学の先生方もそういう研究をされています。
そんな中で我々でそういう製品を出せたのは、何かに恵まれたんだなと思っています」。

会社の歴史は次週に続く...。