2026年

4月 5日

公園の黒子 まちづくりに活きる百貨店の接客

今週のゲストは、エイチ・ツー・オーまち元気パートナーズ株式会社の代表取締役社長 杉本良平さんです。
まずは『エイチ・ツー・オーリテイリング株式会社』について伺います。
「皆さんご存知かもしれませんが、阪急阪神東宝グループの一員です。
阪急百貨店、阪神百貨店の百貨店と、阪急オアシス、関西スーパー、イズミヤのスーパーマーケットを経営している会社になります。
『エイチ・ツー・オーリテイリング株式会社』はそれらの事業会社を束ねた持ち株会社となっております。
私は元々、オープンイノベーション推進部にいました。
今までの取引先や既存の取り組みにこだわらず新しい事業を見つけていこうという部署です」。

そして、公園事業の分野に入っていかれることになります。
「私自身がこの会社の百貨店やスーパーマーケットを次の50年、100年にわたって成長させていくために何が必要かを考えました。
人口が減っていっていますし、高齢化も進んで街に元気がなくなっていく。
そうするとお買い物をすることも減っていくだろうと...。
お店の中のことだけを我々が一生懸命頑張るだけでは足りない時代になってきていると感じました。
やはり外に出て街を元気にしていく活動が必要だと思いました」。

そこからまちづくりを。
「色々と勉強していく中で『Park-PFI』が登場します。
公園に民間企業を入れて活性化させるという事業です。
当時、基本的には社内で誰も乗ってきていない状況でしたね。
『Park-PFI』自体がまだほとんどの人に浸透していない中、社内から小売り会社なのに、なぜ公園事業をやるのかという疑問もありました。
ただ『エイチ・ツー・オーリテイリング株式会社』の素晴らしいなと思うところは、経営陣と話す中で、"何を言っているのかよくわからないけれども、良さそうだからやってみろ"と、背中を押してもらったことです。
基本的には私ひとりと今日、スタジオ見学に来ている原田と2人で夏休みの自由研究のように公園の活性化について考え続けました」。

どのぐらいの期間を使われたのでしょうか?
「1年〜1年半ぐらいかけてこのひとつに集中していました。
そうするとそれまでの会社の仕事はできなくなるわけで、会社からも専念するよう云われました。
そんな中、我々の会社として『サステナビリティ方針』が出来ました。
地域の絆を深める、地域に寄り添って地域と共に繋がりを育むというような方針が会社のトップの方から出てきていたんです。
『Park-PFI』はどちらかというと、民間企業が公園でお金儲けをして維持管理費を削減するといった、経済的な効果の方で話が進んでいました。
しかし、我々はそうではなくて地元の企業として、地域の為に出来ることは何か考えて命題を掲げることになります。
一方でオープンイノベーション推進部ですので、たくさんの企業さんに来ていただいて一緒に考えましょうとお声掛けしました。
事業をやりながら考えるような形でさらに1年ぐらいの時間をかけました」。

具体的にどんなことを始められたのでしょう。
「豊中市の千里中央公園という公園が公募に出ました。
他の公園は『Park-PFI』で公募が出て、維持管理費を削減したいという話でしたが、これは全くの別。
千里中央公園は千里ニュータウンの真ん中にある公園で、この公園を活性化することで街全体をもう一度、元気にしたい。
これが豊中市さんのビジョンでした。
豊中市さんは"維持管理費を削減したいという経済的な目的ではない事業"。
これを作りたいということを掲げておられました。
我々のビジョンにも一致しますので応募しました」。

活性化はどんなところから?
「30年ほど使われていなかった公園管理事務所をリノベーションしました。
カフェと売店と地域の方々とのコミュニティスペースを設置。
名前は『1000RE SCENES(センリシーンズ)』です。
我々の会社名も一切出ていませんで、あくまでも公園の黒子としての動きをしようと考えています。
普通はロードサイドに看板を掲げてご案内をするところですが無し。
公園に来た人が楽しんでくだされば良いのです」。

そして、いよいよ『エイチ・ツー・オーまち元気パートナーズ株式会社』が生まれることに。
「『1000RE SCENES』が誕生してから行政の方や大学の方、企業の方がたくさん視察にお越しくださいました。
"ここまで活性化している事例は中々ない"というありがたいお言葉もいただいて。
うちの市でもやってほしいというお声掛けをいただくようになりました。
しばらく千里中央公園パークマネジメントということで活動していましたが、いよいよ本格的にやっていくのであれば、しっかりと『H2O』の看板を掲げてやっていこうじゃないかという話になりまして。
新たに会社を設立することになりました。
今まではどっちかというと副業でした。
これからは少し自信も得たところで、我々が他の地域でも街を元気にするという活動に舵を切りました。
グループ内外問わずに色んな取り組みの輪が広がってきています。
阪急沿線、イズミヤのある地域などの関西地区。
我々は"関西ドミナント戦略"と呼んでいますが、この関西一円を元気にするところが主になってくると思います」。

街を元気にする仕方が変わってきました。
「高度成長期からインフラが足りない時代は施設を作って周りに色んなものを作って施設が元気になっていきました。
今後は施設が余ってきますので、それをどう使いこなすかが大事だと思います。
今思いますと、我々は百貨店で何をしてきたかというと接客をしてきました。
接客って何かというと色んな方とコミュニケーションを取って、ニーズを聞き出して、商品を販売することです。
それを今は街に出てやっています。
やっていることは百貨店の接客と同じなんですね。
色んな方々と話をして、ここにどんなことがあったら良いか、どんなものがあったら良いかとか、どんな活動をしたいかというニーズを引き出す。
行政の方々との対話では出てこなかったものが、我々と話すことでどんどん出てきて"それやったらいいじゃないですか"となるんです」。

竹原編集長のひとこと

夏休みの宿題のように地道に取り組んでおられたことが花開きました。
地域の要望に対して"聴く力"が素晴らしいですね。
地域の方々が必要とされているものを作ることで自然と活性化します。