2026年

5月31日

装飾メッキから機能メッキへ 合言葉は"求道心" 

今週のゲストは株式会社コダマの代表取締役 児玉益子さんです。
まずは事業内容から伺っていきましょう。
「今年で創業66年目に入りました、メッキ加工の専門業者です。
父の代から66年間、メッキ加工一筋でやってまいりました。
先代の時は装飾メッキと云われるハンドバッグのジップの部分など、美しさを求める箇所の金属メッキを中心にドアノブ、水道の蛇口なども手掛けていました。
『装飾メッキ』と呼ばれる仕事を長年していました」。

近年では海外との価格競争もあるのだとか。
「世界中、東南アジアでもメッキ加工をされる会社様が増えてきました。
先代は、安く仕上げる海外との価格競争に苦労しました。
お客様が、安く請け負う海外メーカーへの依頼をすることは止めることができない、逆に当社が海外に進出することなんて絶対に無理。
先代は装飾メッキの新たな活路を見出していかないと、と思ったそうです。
そこで思い切って装飾メッキから脱退して、品質管理が厳しい『機能メッキ』にシフトチェンジしました。
技術力を高めないとできない。
まさに会社のターニングポイント。
当時、私は入社していましたが、明日からどうやって社員さんを守るのか、どうやって生きていくのか...色々と考えました。
今からちょうど30年ぐらい前のことです」。
大きな転機ですね。
「先代で現会長が当時、言っていました。
"自分たちが本気でやりたいことがあったら、誰かが絶対に知恵や力を貸してくれる。
求道心が大事や"と。
それで工業研究所の先生のところに『装飾メッキ』から『機能メッキ』に転換したい旨を相談しに行きました」。

現在は『機能メッキ』でどのようなお仕事をされているのでしょうか?
「電気自動車の車載部品が主力ですね。
『機能メッキ』としては新参なのでガソリン車の部品は作っていないんです。
新規なので電気自動車。
電気自動車の充電端子のメッキをさせてもらっています。
充電端子は重要部品の1つにやっぱり挙げられていまして、技術開発もかなり時間を要しました。
あとは車載されているリチウムイオンの電池の部品。
正極と負極があるのですが、正極は海外で製造、技術的に難しい負極の部分を当社が作っています。
一筋縄では行きませんでしたが、30年間、社員のみんなと応援してくださるメーカーの技術の方にアドバイスを頂きながらここまで来ることができました。
おかげさまで"機能メッキのコダマ"と呼ばれるようになりました」。

大阪ものづくり優良企業賞2024「匠」最優秀企業賞、全国めっき技術コンクール硬質クロム部門で厚生労働大臣賞(日本1位)を受賞。
その確かな技術力をもって大阪・関西万博にも出展。
「大阪市が、ものづくりの魅力を発信する『大阪のものづくり おもろいミライ展』を企画されました。
大阪市の中で参加の公募がありまして、メッキの技術を世界に知って欲しいという思いから当社は手を挙げまして、エントリーしました。
計画書を作ってプランを練って...そうすると採択されました」。

どんなものを展示なさったのでしょう?
「金メッキを自分でつけてもらうメッキ体験会をやりました。
金魚の水槽のようなところに金メッキの液を入れます。
公害の影響がない環境に優しい液体です。
そこに理科の実験で使うような手回し発電機も用意しました。
プラス電極とマイナス電極に、その手回し発電機を接続。
ハンドルを回して発電、水槽にメダルを入れると金メッキされたメダルが完成する仕組みなんです。
メダルのデザインも海外の方がお好きかなと思いまして、大阪城を刻印しています。
裏面は漢字で"鍍金(メッキ)"と入れています。
メダルにニッケルメッキだけ当社でつけて会場に持って行って、最後の仕上げのキラキラになる金を自分でつけてもらうと。
観光地にあるメダルの自販機ってありますでしょ?
実は1970年の万博の時のメダルのメッキも当社がさせていただいたんです。
そのメダルを作ってくださった茶平工業株式会社様にこの度、55年ぶりに訪問させていただきましてタッグが実現しました」。

竹原編集長のひとこと

メッキの世界は奥深いですね。
装飾から機能メッキへ転換して会社の方向も大きく転換。
その実行力、そして技術が今の繁栄を作っておられますね。