2026年

8月23日

混ぜることで新しい価値を生み出すフリーブレンド工法

今週のゲストは株式会社第一精工舎の代表取締役社長 廣澤成禎さんです。
まずは事業内容から伺っていきましょう。
「我々はプラスチックを製造するメーカーです。
100円均一ショップなど色んなところで目にするプラスチック製品を作っています。
その中でも一部で特殊なことをやっていまして、 プラスチックに"異素材を混ぜる"。
従来はプラスチック100%という流れで世の中に出ていたのですが、 それ以外の素材で捨てられているものや、 混ぜることで何かメリットを出そうというものです」。

例えばどのようなものを混ぜるのでしょう?
「焼き物を作っておられるメーカーさんがありまして、 年間数千万という産業廃棄物を出しておられる会社さんがありました。
ご相談いただいたのは20数年前。
工場に伺うと大量に割れた陶器のお茶碗や、 色んな食器類がありました。
ヒビ割れていたり、うまく形にならなかったり、 一度作ったものは再生できないのだそうです。
その廃棄される陶器をプラスチックに混ぜることに注目しました。
本来、異素材同士はくっつかないのですが、 世の中に流通している樹脂ではなく、 その一つ前の段階のものを仕入れて粉にしようと考えました。
有名なのは"ペレット"と呼ばれるプラスチック粒。
実はこれも加工品でこの状態よりも前は粉なんです。
焼き物の産業廃棄物も全部粉にして、 粉同士を混ぜ合わせて異素材プラスチックを生み出します。
これが我々の技術『フリーブレンド工法』です」。

この『フリーブレンド工法』、まさにフリー。
陶器だけでなく、 木材や食品廃材、ホタテの貝殻、金属、籾殻まで。
スタジオに製品をお持ちいただきました。
「原料から自分たちで作るので1g単位で調整したり。
焼いた陶器のお皿と違って落としても割れません。
樹脂が繋ぎ材なので割れない、割れにくいんですね。
大きなレストランで使う食器だと見た目は陶器、 しかも長く使えて割れない。
食洗機にも対応できます。
プラスチックの粉と金属の粉でドアノブも作ります。
樹脂がおよそ4割、金属が6割ぐらいの割合です。
他にも我々は文具メーカーさんとご縁があって、 ペンを自社商品として作りまして、 お店に置いていただいているんです。
卵の殻を混ぜたり、 牡蠣の殻やホタテの殻。
固いものも柔らかいものも混ぜることができます」。

オーダーするお客さんにとってのメリットはどのようなところですか?
「お客さんにとっては大きなファクターでコストに繋がります。
純粋に金属で作るよりも安く作ることができます。
我々はプラスチックを製造するメーカーなんですけれど、 実はプラスチックを使う量が少ない。
最高で7割、異素材を混ぜる。
3割だけ樹脂を入れると射出成型ができます。
7割混ぜるというのは弊社の比率ですね。
配合技術で添加剤と言いまして接着剤みたいなものが少し入っています。
そこが配合技術の面白いところで、 接着剤をどのタイミングでどう混ぜるかが重要なわけです」。

大阪・関西万博でも出展されたそうですね。
「デバイス、光る装置を入れるケースを作って欲しいというご依頼でした。
ただし条件が環境素材を使っていること。
『電力館 可能性のタマゴたち』と言いまして、 未来のエネルギーの可能性を学ぶパビリオン。
様々に光る卵のケースを作りました。
下はホタテを混ぜようとか、上は卵の殻を混ぜようとか。
30数種類ぐらい作りましたね。
デザイナーさんに来ていただいて、 そこから色や重さを自分たちで全部この配合にして作りました」。

ショールームもあるそうですね。
元々製造拠点しか持っていませんでしたが、 資料だとなかなか伝わりにくい。
実際に持って頂いたり見て頂いたりすることで感じていただきたいという思いで、 大阪市都島区に数年前、ショールームをつくりました。
現在は東京、大阪、名古屋に3箇所あります」。

さらに『おおさか環境賞』大賞を受賞されています。
「こういう技術なので色んな所に取上げられていただきました。
小中高にサンプルを持って行って環境学習の授業をやらせていただいています。
環境にも優しい技術です」。

竹原編集長のひとこと

異素材を混ぜる『フリーブレンド工法』は驚きでした。
異素材のいいところ、樹脂のいいところを活かして新たな製品を生み出していらっしゃいます。