2026年

9月20日

銀行が見つめ続ける関西・大阪のこれから

今週のゲストは池田泉州銀行代表取締役頭取兼CEO、阪口広一さんです。
頭取就任からおよそ1年。
この1年の移り変わりはどうお感じになられていますか?「1年がすごく早かったなという印象ですね。
無事乗り越えられて、ほっとしています。
この1年間というのは金利の環境が大きく変化しながら、デジタル化もかなり進展しました。
我々、地域金融機関の置かれている環境も大きく変わった1年ともいえます。
その中でこの1年間、当然今までやってきたことの継続も含めてですが、働いていただいている職員に対して、"前向きな気持ちでみんな明るく働こう"という意識的な業務改革をしました。
それが結果としてお客さんと接する時に、池田泉州銀行の職員の明るさや元気に繋がりました。
そして、今年の4月から新しく3年間の中期計画をスタートさせました。
気持ちを作って、今度は数字をきちんと着実にやっていかないといけない。
今は"ホップ・ステップ・ジャンプ"のステップの段階です。
職員一同頑張っていきたいと思います」。

世の中は日々、変化していきます。
銀行としての取り組みを聞かせてください。
「銀行というものはお客様からご預金をお預かりして、お預かりしたものを御融資させていただく。
事業者さん向けや個人の住宅の資金の御提供をするというのが本筋。
それ以外にお客様のニーズがライフサイクルによって、すごく多様化しています。
単にお金を預けていただいて御融資させていただくというより、むしろお困りごとはどういうものにあるんでしょうかとお聞きして、我々がお答えできる範囲で出来ることが何か、お困りごとに対して御提案させていただく。
僕らはこれを"ソリューション営業"と言っています。
それが結果として信用や信頼に繋がっていくのだと思います」。

昨年は大阪・関西万博が開催され大いに盛り上がりました。
阪口頭取は大阪というマーケットをどうご覧になられているのでしょうか。
「万博として色んな評価はあると思いますが、皆さんがいわゆるワクワクするような体験はされたかなと思います。
私自身、前の大阪万博の時はまだ幼稚園児ぐらいでしたからほぼ覚えていないんですよ。
あの圧倒的な人の数というところで、すごいイベントをやっているなという印象でした。
そんな記憶もあって、ぜひとも今回の大阪・関西万博が開催される折には絶対に行きたいと思っていました。
ブルーインパルスが大阪の空を飛んだことがありましたよね。
すごく良かったですね。
パビリオンも素晴らしかったです。
大阪・関西で開催されているという点もグローバルな視点で大阪の存在感を示すことができたのではないかと思います」。

そして、アフター万博。
「問題はここからです。
多くの関西の企業が出展されていましたが、万博に出展となればビジネスパートナーばかりではなくて、年齢や性別、国籍をも越えて色んな方の視点による意見が聞けたと思うんです。
我々の取引先も一部そこに出展していただきましたが、多様な意見が聞けて今後の自分たちのビジネスに生かしていくヒントになったという感想をお持ちでした。
それをヒントだけではなくて、次はそれを物にしていく。
そのためには企業さんだけでなく、銀行も一緒になって協力していかねばなりません。
ひょっとしたらそれは行政や大阪の経済界も含めて、みんなが一緒になって企業を成長させていくという機運を高めていかないと、やはり大阪のマーケットそのものが地盤沈下してしまう危機感があります。
それをもう一度再認識するイベントでしたね。
大阪というマーケット全体を捉えた時に、私自身も大阪市内生まれで大阪市内育ち。
大阪に対してはかなり愛着があります。
やっぱりもっとワクワクしたような街になってほしいなと思いますね。
実際に大阪のマーケットだけを捉えたら人口が900万人弱。
国で言えばだいたいスイスと同じぐらいです。
GDPであれば45兆円ぐらいありますので、ポルトガル一国と同じぐらいの経済規模が今の大阪なんです。
この前も人口動態の発表があって市内に少し人が増えたり。
マーケットそのものや人口自体がまだ吸収できるエリアだと思います。
大阪をどんどん魅力あるマーケットにしていこうと思ったらどうするのか。
今回、大阪駅前の『グラングリーン大阪』がオープンして少し経ちましたけれど、緑が少なかった大阪の街づくりが成されました。
東京は高層ビルがいっぱいあるにもかかわらず一定程度の緑がある。
大阪は、なかなかその緑が見当たらなかったんですよね。
大阪も高層ビルやマンションを建てるだけではなく、利便性とか経済合理性を考えたらいいんですけれど、やはり健康とか環境とか文化、教育というのを一体的にしていかないと。
悲しいかな大阪市内に大学の一部拠点は設けておられますけれど、大阪市内には本部がいまいちないんですよね。
東京を見たら山手線の中に結構あります。
街を元気にしていくとなれば、当然そこは教育という視点が入ってきますし、教育が入ってくることによって若い人がその場所の近くにお住まいになられる。
大阪はそこが少し欠けているところかなと思いますね。
東部で大阪公立大学さんが森之宮キャンパスを作られていますが、大阪に若い人たちが住みたいとか、大阪で仕事をして活躍したいとか、大阪が好きやからここで根を張って生活したい、という街づくりをする必要があると思います。
大阪はこれまで南北中心の幹がありました。
この度、南北の軸から少し西にずれたところに、新大阪から関空へのアクセスを改善すべく新線『なにわ筋線』を作るわけです。
東で言えば先ほど言った森之宮・大阪城がありながら、ビジネスの中心の淀屋橋・本町があって、その横に文化的な要素がある中之島エリア、そのさらに西には万博やIRの用地があるという街づくりになっています。
東西・南北という軸をひとつの円の中の開発としてやっていけば、大阪という街がますます元気になっていくのではないかと思っています」。

池田泉州銀行は地域の住民の方や事業者の方に様々な取り組みをされています。
阪口頭取になられてからの具体的な取り組みをお聞かせください。
「日本の人口そのものが減っていくというのは分かっている話です。
ご多分に漏れず大阪も減っていくというのは事実です。
その中で企業経営をされている方にお困りごとをお尋ねした時に、大きな課題は事業承継。
いわゆる後継者の問題ですね。
お手伝いしてほしいというお声がすごく寄せられている状況です。
そこは当然、銀行だけの課題、事業者さんだけの課題だけではなくて、行政も課題認識としてお持ちになられています。
我々も今まで銀行の中で一生懸命やっていましたが、今年の1月から事業承継専門の会社を作りました。
選択肢として池田泉州銀行のお客さんだけではなく、大阪で我々がお取引をいただいていないお客さんはもちろん、より良い事業承継を目指すべく会社を外に出しました。
この会社には銀行職員に加えて、外部で活躍されていた経験値がある方を採用しまして、情報ネットワークを今まで以上に拡充。
結果的には事業承継が円滑化するように取り組んでおります。
あとはやはり、金利のこと。
金利のない世界のときにはあまり預金の重要性への関心が、そちらの方に向かわなかったわけです。
しかし、金利のある世界になって銀行は預金獲得競争がすごく活発化しています。
その中で、デジタル化がコロナ以降いろんな分野で進展しました。
銀行の店舗に来ていただくお客さんの割合がだいぶ減りました。
スマホに入っているアプリを利用すれば、一定の金融取引ができるという仕組みを作ったためです。
僕らの大きな課題としたら、今までたくさんの方と池田泉州銀行でお取引をいただいているのですが、若い方とのお取引のきっかけというのがデジタル化の進展とともにどんどんなくなってきました。
おそらく、各銀行の課題です。
その中で、新しく『BaaS事業』というのをスタートしようと思っています。
銀行が持っているシステムを銀行以外の会社さんに利用しませんかと持ちかける事業です。
なぜそんなことをするかというと、スマートフォンが生活の中心になっていますよね。
金融もスマートフォンでほぼほぼ完結する時代になっています。
他には買い物をしたり電車に乗ったり、貯まったポイントを使ったりする。
普通の人が日常的にやる活動がスマホの中にすべて組み込まれている。
そこに金融を入れたいのです。
金融を入れることによって、お客様、特に若い世代のお客様との接点を作っていくのが目的です。
池田泉州銀行だけのネットワークでは拡充が難しいので、今回は阪急阪神ホールディングスさんと一緒になってBaaS事業を進めていきます。
阪急阪神ホールディングスさんには、当然鉄道があります。
お買い物もできます。
それにプラスして例えば宝塚歌劇団、阪神タイガースもそうです。
銀行には無いものをお持ちになっているので、それを活かしていきたいですね。
何ができるかは来年の春以降ぐらいに少しお示しできたらなと思います」。

竹原編集長のひとこと

阪口頭取はインタビュー中、常ににこやか。
この頭取の明るさが池田泉州銀行さんにお勤めの皆さんの心も動かしているように思います。
大阪経済の動向、銀行がすべきこと。『BaaS事業』も楽しみですね。