
京野菜も夏野菜が登場する時期です。
今回は、5月下旬から本格的に出荷される「万願寺とうがらし」をご紹介します。
「万願寺甘とう」とも呼ばれています。3〜4月に苗を植えて、5〜6月に収穫されます。
京野菜には「伏見とうがらし」もあるのですが、路地ものの出荷は6月頃になるので、また今度ご紹介します。
さて、万願寺とうがらしが誕生したのは大正末期から昭和初期で、誕生のきっかけは、伏見とうがらしとカリフォルニアワンダーというピーマンが自然交配(交雑)です。
というのは、伏見とうがらしを育てていた畑の近くでカリフォルニアワンダーが育てられていて、自然に花粉などで交配(交雑)してできたのが万願寺とうがらしの原型なんです。
このような自然交配はわりとある事だそうです。
栽培していた農家が、舞鶴の万願寺地区にいらっしゃったという事から、万願寺とうがらしという名前になったそうです。
(なお、万願寺という地名は、満願寺というお寺の名前から変化したのではないかという説もあります。)その後、生産地が舞鶴全体に広がっていき、今では福知山や綾部あたりまで広がり、このあたりでまとまって生産されています。
さらには、山城地域でも栽培の取り組みを始めているそうです。
さて、万願寺とうがらしや伏見とうがらしは、唐辛子という名前は付いていますが、そもそも、辛くない(辛いものが少ない)唐辛子です。
さらに、万願寺とうがらしの特徴は、肉厚でやわらかいことです。
伏見とうがらしは、煮たり、炊いたりするのに適し、万願寺とうがらしは、素揚げや軽く焼いたりするのに適しています。
穴を開けて、160度の油で揚げて、塩をふるだけの素揚げなど、手軽に食べられるのが特徴です。
さらに、品種改良で辛いものはほぼ無いという万願寺とうがらし2号が誕生し、今ではほぼこちらに変わりました。
東京では、このような辛くない唐辛子が珍しく、高級料理店などで重宝されています。
万願寺とうがらしは、ピーマンとの偶然の自然交配でできた比較的新しい京野菜であり、辛くないものにするという研究者の努力で進化した京野菜といえます。

全国的にも珍しい電気・電波の神様が祀られている神社をご紹介します。その名は「電電宮(でんでんぐう)」です。
電電宮は、阪急・嵐山駅から歩いて約5分の所にある、法輪寺(ほうりんじ)の境内にあります。法輪寺はといえば、数え年で13歳の男女が成人の儀礼として参拝する十三まいりで有名ですね。法輪寺へは、100段以上の階段を上らなければなりませんが、嵐山一体が見える景色の良い観光スポットです。
元々、法輪寺には、雷や稲妻の神様の鎮守社である明星社(みょうじょうしゃ)というお社が平安時代に作られました。しかし、幕末の禁門の変の戦火で焼けてしまい、その後、1956(昭和31)年に、当時成長著しい家電産業や放送局などの電気に関係する企業や官庁の協力を得て再建されたのが、電気・電波の神様を祀る電電宮なのです。
参拝される方は、電波を管理する役所の方や放送局(毎日放送も!)、電力会社などが多かったのですが、特にここ20年で大きく変わったそうです。携帯電話が登場すると、通信会社やケータイ本体を作る電器メーカーが。インターネットが登場すると、プロバイダーやサーバーの管理会社も。最近は、スマホゲームを開発されている会社などなど。携帯電話本体のメーカーの社長さんが、これから発売するケータイをそっと胸に忍ばせてご祈祷にいらっしゃったこともあるそうです。
さて、気になるお守りですが、マイクロSDカード8GBのお守り(1200円)があります。お守りをなかなか持ち歩けないなら、パソコンなどで使うマイクロSDカードをお守りにしたらいいじゃないか!?というアイデアです。マイクロSDカードには虚空蔵菩薩の画像が入っていて、願い事をしたい時に画像を出せるという優れ物です。他にも、パソコンなどに貼るシールの情報安全お守りや、御札があります。
取材前は結構ニッチな神社かと思っていましたが、誰もがお世話になっている電気に感謝したり、安全のお願いができる場所でした。
5月23日の朝10時半からは電電宮の大祭が行われます。
【アクセス】
阪急嵐山駅から徒歩5分。

毎年5月15日に行われる葵祭は、平安時代の宮中の姿を1000年以上経った今でも忠実に守り続けている日本で唯一のお祭りです。「路頭(ろとう)の儀」と呼ばれる総勢およそ500人の平安装束の行列が、京都御所から下鴨神社そして上賀茂神社へ歩きます。また、下鴨神社と上賀茂神社で行われる儀式のことを「社頭(しゃとう)の儀」といいます。
葵祭は、平安京ができる前の西暦567年、風水害で作物ができなくなったため、鈴をつけた馬を走らせ、五穀豊穣を祈ったのが始まりとされています。
葵祭と呼ばれるようになったのは、江戸時代の1694(元禄7)年に祭が再興されてからで、巡行する人や牛車、牛馬にいたるまで、すべて葵の葉をつけるようになってからです。
それまでは、「賀茂祭」や「北の祭り」、単に「祭」と呼ばれていました。ちなみに「南の祭り」は石清水八幡宮の祭のことです。
さて、葵祭の行列の主役と言えば、「斎王代」ですね。斎王代とは、上賀茂神社、下鴨神社に仕えた未婚の内親王「斎王」の「代理」という意味です。1956(昭和31)年にそれまでの斎王にちなみ、「斎王代」という役割が作られました。
京都にゆかりのある未婚女性から毎年推薦で選ばれ、十二単の衣装に身を包み、行列では「およよ」と呼ばれる輿に乗ります。
巡行当日の葵祭のスケジュールですが、午前・午後の二部構成になっています。
朝10時半に京都御所を出発し、丸太町通から東へ向かい、河原町通を北上し、下鴨神社到着が11時40分の予定です。午後は、下鴨神社から、上賀茂神社に向けて2時40分に出発。北大路通りを西に進み、北大路駅の近くの賀茂街道との交差点で北向きに進路を変え、3時半に上賀茂神社に到着です。
このスケジュールで、北大路駅に近くの賀茂川沿いの「賀茂街道」がベストスポットではないかと仮説を立てて、取材しました。
賀茂街道は片側一車線で、両側には木々が生い茂っています。晴れた日でしたら、木漏れ日がきれいです。写真を撮ると現代的なものがあまり写らず、平安時代の雰囲気に近づけるのではないかと気づきました。
近所の方の意見を聞こうと、北大路通り沿いで賀茂川からすぐのところにある長生堂という和菓子屋さんにお邪魔しました。柏餅や最中などを販売されていて、茶房では和菓子や抹茶をいただけます。三代目の息子さんとお母さんに葵祭のベストスポットはどこだと思いますか?と尋ねると、お母さんは「賀茂街道!」と即答。理由としては、お孫さんがお稚児さんをされた時に、お店があるので観に行けず、知り合いに写真を撮って来てもらったそうで、その写真はお孫さんがちょうど賀茂街道にいる時のものだったから。「賀茂街道は道幅が狭いので、行列を近くで見られますよ。」と、おっしゃっていました。
息子さんは、北大路橋がおすすめとおっしゃっていました。川の上なので時代の流れも感じるし、山々も含めた緑も見えるし、夏は五山の送り火の大文字が見える名スポットだからというのが理由です。
いずれにせよ、賀茂街道も北大路橋も近いので、当日空いている方でご覧いただければよいと思います。北大路橋に行列がやってくるのは2時50分頃、賀茂街道に進むのは2時55分頃です。
葵祭は5月15日ですが、雨天順延の可能性もあります。なお、雨が降って15日に決行された場合、上賀茂神社まで行かず、下鴨神社で終わりになる可能性もありますので、お出かけの際は天気や最新情報をご確認ください。
写真は、2014年の雨の中の葵祭当日。もう1枚は取材時に撮影した北大路橋からの写真です。
【アクセス】
賀茂街道も北大路橋も和菓子の長生堂さんも、地下鉄・北大路駅から歩いて約5分です

ゴールデンウィークはいかがお過ごしですか?実は、京都のGWはといえば剣道なんです。
明治28年に始まり、2017年で第113回を数える全日本剣道演武大会が、5月2日(火)〜5日(金・祝)の4日間開催され、毎年約2300〜2400人の剣道家が京都に集結します。
場所は、平安神宮隣の武徳殿(ぶとくでん)という剣道場です。武徳殿は、明治32年完成の歴史ある剣道場で「剣道の聖地」です。床はきしみ、エアコンはないのですが、戦前から大勢の方が自分を鍛えてきた場所です。
京都の方以外でここに立てる全国大会は他に無いので、大勢のベテラン剣道家が集まります。日本のみならず、イタリア、フィンランド、カナダなどからも来られます。
さて、全日本剣道演武大会の「演武大会」という意味は、「剣道家が1年間の練習の成果を披露する場」ということで、1人あたり1試合2分間のみで、優勝者を決めるトーナメント形式ではありません。また、1年間の練習の成果を披露するものなので、本当にきれいに当たらないと一本をとってくれません。
剣道演武大会と呼んでいますが、剣道のほかにも居合道や「なぎなた」などの試合も行われます。
また、剣道している人なら誰でも参加できるわけではありません。六段錬士以上の方のみです。段は剣道の実力で、その途中に称号の種類として、下から錬士、教士、範士があります。称号は、審判の規則などの学科試験を合格しないとなれません。
見所は、最高称号・範士の試合です。会場は特に静かになり、お互いの竹刀のわずかな動きを察知しけん制しあうので、一回も打たずに終わることもあるそうです。
このレベルの剣道は、相手の気を読んだり、精神的に追い込んでいく戦法になります。
範士の試合を見られる機会はなかなかないので、剣道家は楽しみにされているそうです。
GWの京都は、剣道の道具を持った方が行き交う街になります。
武徳殿で、剣道の真剣勝負を見学してみるのはいかがでしょうか?見学自由です。
【アクセス】
武徳殿は、平安神宮の隣の京都市武道センターの敷地にあります。
市バス「熊野神社前」のバス停で降りて、東へ歩いて3分です。
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