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シンゴの京都歳時記! #49【8月 京夏ずきん】

京野菜シリーズです。京夏ずきんは、去年10月に紹介した紫ずきんを8月に収穫できるようにした味が濃く、甘い枝豆です。
ビールのおいしい夏に枝豆として食べられるようにと改良が進められ、平成24年に京夏ずきんが登場しました。ブランド産地は亀岡市、南丹市、京丹波町、福知山市などです。

紫ずきんも京夏ずきんも、一般的な枝豆よりもさやや豆が大きいのが特徴で、出荷時の検査で、さやの厚さが紫ずきんは11ミリ以上、京夏ずきんは10ミリ以上のサイズが1番おいしいとされています。農家の方がプラスチックの器具でチェックされるそうです。
10分〜12分湯がくとやわらかくなります。少し冷ましてから食べるのがオススメです。

今後の目標は、京夏ずきんを祇園祭の時に食べられるようにすること。そのために、さらなる改良が進められています。
京夏ずきんの収穫量はまだ多くなく、8月中旬から下旬のみですので、ぜひこの機会にどうぞ。

シンゴの京都歳時記! #48【8月 化野念仏寺の千灯供養】

京都市右京区の北西側にある化野(あだしの)念仏寺。嵐山高雄パークウエイの入口近くの静かな所にあります。

元々、化野は風葬の地でした。庶民がお墓を持つようになったのは江戸時代からで、平安時代の京都の庶民は、自分の家族などの亡骸を化野や鳥部野、蓮台野などに運び風葬しました。つまり、化野は永遠の別離を悲しんだ場所です。
鎌倉時代や室町時代になると土葬になり、人々は「その人が生きたせめてもの証を」と、石仏(せきぶつ)を設けました。このように、平安時代から数えることができない本当に多くの人の最期の地が化野だったのです。

なお、化野の「あだし」とは、古語で「はかない、むなしい」という意味で、徒然草の歌などにもあるように「化野の露」は、命のはかなさを表現する言葉となりました。

化野の地にお寺が建立されたのは、約1200年前です。弘法大師が如来寺を開かれ、野ざらしになっていた亡骸を埋葬されました。その後、法然上人の念仏道場になり、江戸時代に化野念仏寺となりました。
時代とともに、死者の供養のために人々のお墓である石仏が祀られるようになりましたが、何百年という歳月を経て無縁仏(むえんぶつ)となり、時代とともに土の中に埋まっていきました。そんな中、明治時代の中頃に、化野一帯に埋まったり散乱していた石仏を念仏寺に集めました。
念仏寺の境内にはテニスコートくらいのスペースに約8000体の石仏があります。名前が書かれていたり、時代が分かる石仏もあれば、風雨で形の凹凸がなくなってきたものもあります。その数と畏れの気持ちで圧倒されます。

明治38年に始まったのが、毎年8月23〜24日に行われる千灯供養(せんとうくよう)です。ろうそくの前で手を合わせる行事で、和ろうそくに火を灯すと、もくもくと白い煙が上がって辺り一面が白くなっていき、幽玄な雰囲気になります。当日は1日当たり1000人〜2000人が来られます。

化野とは縁が遠いものだと思っていましたが、化野の無縁仏は、もしかしたら、ものすごく先代の、ものすごく遠い親戚だったかもしれません。ご縁がつながり、今の自分があるかもしれない。そんな思いになりました。
そして、昔の方が、せめて「あの人が生きた証に」と石仏をつくった思いというのは、生きていることの貴重さを教えてくれているようでした。

化野念仏寺の千灯供養は、8月23日〜24日で、受付時間は夕方5時半〜8時半までです。
行事協力維持料として、ろうそく・パンフレット込みで1000円です。
なお、通常の拝観受付時間は朝9時から4時半で、大人500円です。
境内の竹林は、特に欧米の方に人気です。 

【アクセス】
阪急嵐山駅から京都バスの清滝行きで約20分。
鳥居本のバス停からは歩いて5分です。
行きのバスは1時間に2本ありますが、帰りは1時間に1本なのでお気をつけください。

シンゴの京都歳時記! #47【8月 嵐山灯籠流し】

もうすぐお盆です。京都では五山の送り火をはじめ、色々なお盆行事があります。今回は、嵐山の地元の方々が毎年されている嵐山灯籠流しをご紹介します。

嵐山灯籠流しは、8月16日の夜に渡月橋がかかる中ノ島公園から桂川に灯籠を流すお盆の行事です。嵐山なので、五山の送り火の「鳥居形」を近くに、遠くには「大文字」を見ることができます。視線を山に向ければ五山の送り火、川に向ければ灯籠の明かりが。流される灯籠の数は、7000基。とてもお盆らしい幽玄の世界になります。

嵐山灯篭流しは、戦争で亡くなった地元の方の霊を慰めるために終戦後の昭和24年に始まり、毎年実施されています。五山の送り火は山の送り火で、この灯篭流しは川の流れの送り火で、お送りの行事の一つです。つまりお精霊さまに灯篭に乗っていただき浄土へお送りするわけです。

嵐山灯籠流しは、今では地元の方にとって家族や親戚、大事な人を供養する行事となっています。流される灯籠7000基のうち約半分が地元の方です。地元の方以外でも参加でき、たとえば、「祖父の初盆なんです」と、亡くなった方のために何かしてあげたいという思いで来られることがあるそうです。

当日は朝10時からお坊さんが戒名を書いてくださる受付が始まります。当日も灯籠の販売もあり、1つ1000円です。戒名がわからない場合は、「○○家先祖代々」でも構わないということです。その後、ご焼香などをして、夜7時から桂川に灯籠を流します。高さ20センチくらいの灯籠が、1秒に1個ペースでゆっくりと桂川を200メートル流れます。

取材時に天龍寺の方にお話をうかがいましたが「灯籠は担当の方が流すので、手を合わせて、ご先祖様やお別れの言葉を言えなかったあの人への思いを伝えてみてください。」と、おっしゃっていました。

お盆の最後に、ご先祖や別れの言葉を言えないまま旅立って行ったあの人に伝えたい思いを、お盆の灯籠に乗せてみてはいかがでしょうか?
さらに、灯籠の灯りを見つめながら今生かされている命に感謝することも良いことですね。

【アクセス】
会場の中ノ島公園までは、阪急電車や嵐電では、それぞれの嵐山駅から歩いて6分 。
JR嵯峨嵐山駅からは、歩いて15分です。

シンゴの京都歳時記! #46【8月 京の七夕】

8月上旬の京都といえば、旧暦の七夕を楽しむライトアップイベント「京の七夕」です。今年で8回目となり、かなり定着したと思います。
京の七夕が始まったのは、祇園祭と五山の送り火の間の期間の観光客アップです。京都の8月は暑いので、ならば夜に観光をしていただこうという趣旨です。

年々会場が増え、今年は、堀川会場、鴨川会場、二条城会場、岡崎会場、梅小路公園会場、北野天満宮北野紙屋川会場の6会場で行われます。各会場で開催日時や時間が異なりますのでホームページなどでご確認ください。

第1回から会場となっている堀川会場は、堀川遊歩道(御池通〜一条戻橋付近)周辺で、見どころは、「光の天の川」です。
夜空に浮かぶ満天の天の川を、竹とLEDライトで再現し、七夕情緒あふれる幻想的な空間となります。堀川を竹のアーチで覆い、そのアーチにおよそ3万個のLEDがつけられます。
天の川を白のライトで、空を青で表現しています。

二条城会場も注目です。今年大政奉還から150年を迎えた二条城。普段は夜には入れない二之丸庭園のライトアップや、修復工事を終えたばかりの東大手門のライトアップなどが行われます。

七夕といえばお願いですよね。100円で販売される「絵はがき短冊」に願いを書くと、8月16日の五山の送り火や清水寺などのお炊き上げで、願いは天に届けられます(12日締切です)。

旧暦の七夕にきれいなライトアップを見て、星と短冊に願いを込めてみてはいかがでしょうか?土日は混み合いますが、平日だと比較的ゆっくり見られます。夜観光や京都に来る友達の案内にもおすすめです。

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