04月29日
こころのスイッチ

「病気と病人」


あした通信社

ゲスト:寺嶋千恵子さん(ケアマネージャー)


 毎日放送ラジオを長く聴いてくださっているリスナーの方には本当に懐かしい方がゲストとして登場してくださいました。
 寺嶋千恵子さん。「ありがとう浜村淳です」で浜村さんとご一緒していらした、あの寺嶋さんです。あれから20年。現在は、ご本名の今城千重子さんとして介護の仕事に携わっていらっしゃいます。門真市の萱島居宅介護支援事業所ラガールで、6人のケアマネージャーの皆さんと共に活動しています。
 ラジオの仕事から、介護の世界へ。人生を転換させる、大きな決断。その裏には、寺嶋さんご自身の体験がありました。
 義母から「あんたに介護を頼みたい」と言われ、入院先の補助ベッドからラジオスタジオに毎朝通う日々。夜中に何度も必要なお手洗いの介助、床ずれを防ぐための寝返りのサポートなど、まとまった睡眠はとれません。それでも、義母の妹さんから「私も病院に泊まるよ」と声をかけられたとき「そんな負担をして頂かなくても。私がやりますから大丈夫です」と最期のときまで頑張り続けました。自分でも、嫁として精一杯やっている、という自負がありました。
 しかし、四十九日の法要の席で、義母の妹さんの一言を聞きます。「私は千恵子さんに排除された」。勿論、寺嶋さんにそんな意識は微塵もなく、高齢の妹さんに介護を頼むのは気の毒だと気遣っていたのです。でも結果的には、姉妹だけで過ごす時間を奪っていたのかもしれない。お義母さんも妹さんに介護される時間が欲しかったのかもしれない。
 大きなショックに襲われました。介護は自分だけがするべきものと思い込んでいたけれど、他の人に頼ったり、社会のサービスを使ったり、他にも選択肢があることを、第三者の専門家にアドバイスをもらえていたら事態は変わっていたはず。
 ならば、私がその仕事をしよう。
 寺嶋さんのように、強い責任感から介護を一人で抱えこんで苦しんでいる方は今も多くいらっしゃることでしょう。介護する家族を少しでも助けたい。それが、一人のケアマネとしての寺嶋さんの思いです。