06月02日
こころのスイッチ

「検診のススメ」


あした通信社

ヘルス・リテラシー   ゲスト:中川恵一さん(東京大学医学部附属病院放射線治療部門長)


 がんの専門家とし最新の情報を様々な形で発信してきた中川恵一さん。東京大学医学部附属病院放射線治療部門長であり、日本対がん協会の評議員としても活躍してきました。そんな中川さん自らが、がんを患っていることがわかったのは昨年12月のことでした。
 お酒を飲む中川さんは脂肪肝をチェックするために、時々自分で肝臓を診ていたそうです。あるとき、そのついでに、という気持ちで膀胱を超音波エコーで見たところ、白い影が見えました。そして精密検査を受けて、大きさ14ミリのがんと判明したそうです。
 中川さんは当初「まさか、自分ががんになるなんて...」と当惑し、動揺したといいます。がんについての最新情報にたえず接し、多くの患者さんを診てきたドクターでも、自分のこととなると受け入れるのは容易ではないのですね。
 医者としては、患者さんたちにこれまでよりやさしくなれたような気がする、と中川さんは話します。患者サイドからみても、同病のお医者さんとなれば話しやすさが違ってくるかもしれませんね。
中川さんの場合は、ステージ0の超早期発見でした。大晦日に退院し、年明けからは仕事を再開、多忙な日々を送っていらっしゃいます。
 大腸がんの場合、自覚症状はなかなか現れないので、やはりどれだけ早期に見つけるか、が鍵なのです。先週もお話しましたが、検便は痛くも痒くもないのに、たいへん有効な検査です。大阪では300円で受けることができます。 
 自分の身体を守るために何が必要か。そうした教育を小学校でやるべきだ、と中川さんは働きかけてきました。その点においては、日本はベトナムやインドネシアよりも保健の授業の在り方が劣っている、と指摘します。
 ヘルス・リテラシー。健康によりよい情報を得て、自分で行動を決めていくちからを、こう呼ぶそうです。あなたやご家族のヘルス・リテラシーは、いかがでしょうか?