06月30日
こころのスイッチ

「人と人」


あした通信社

介護と後見人2  ゲスト:八十祐治弁護士


高齢で判断能力が落ちた方を狙って、様々なものを売りつける悪徳商法があとを絶ちません。
八十祐治弁護士によれば、こんなケースがあるそうです。
もう着る機会がほとんどないような一着数十万円の着物を三着も買わせたり、身に付けて出かけることなどないような指輪をいくつも買わせたり。息子や娘の立場なら「必要のないものを買わされたのだから、解約してお金を取り戻したい」と考えることでしょう。でも、買った本人が認知症などで判断能力が衰えている場合、厄介です。売買という契約行為を、たとえ子どもであっても代わって解約することはできません。
成年後見制度で、裁判所から後見人に指定されていれば、後見人として可能になります。
この制度には、法定後見と任意後見があります。法定後見制度は、すでに判断能力が不十分な時に、申し立てで家庭裁判所が後見人を選びます。が、私が大きな関心を持ったのは、任意後見制度です。これは、本人が元気で判断能力が十分あるうちに、将来、自分の判断能力が落ちる場合に備えるものです。公正証書を作る面倒もありますし、そのための費用も若干かかりますが、将来もしものときを考えると、誰かわからない人に後見人になられるより、自分が信頼できる人を選んで、自分の将来を託すことができる制度だとも言えます。
自分が認知症になることを想定するのは、あまり気の進むことではありませんが、これからの長寿社会で、自分らしい生き方を望むなら、この任意後見制度は頭の隅に置いておくほうがいいな、と思います。
できるだけ周囲の人たちが揉めないでいてくれるように、自己決定できることはしておく、という選択。あなたはどう感じますか?