12月22日
こころのスイッチ

「人生100年時代・がん患者100万人時代」


あした通信社

頑張り過ぎない介護


このところ、介護の環境が背景にあると想像される、痛ましいニュースが次々と伝えられています。
 先月のこと。福井県敦賀市で71才の妻が、同居の家族3人を殺害しました。70才の夫、そして、90代の夫の両親の首を絞めたのです。
一家は4人暮らしで、「みんな温厚でおおらか」だったと近隣の声もあるようですが、一体何があったのでしょうか。
夫は軽い脳梗塞で、足が不自由になっていて、義母は要介護1、義父は要支援2の認定がなされていたといいます。事件前、妻は近所の人に「3人の面倒を看るのでしんどい」と漏らしていたといいます。3人の食事や身の回りの世話をする日々。殺害された義母は日頃「うちの嫁は一番や。よくしてくれている」と語るなど、自慢のお嫁さんだったようです。
ここから見えてくるのは、自宅介護の限界です。
どれほど愛情にあふれ、精一杯の介護をしても、必ず限界はありますよね。一人ですべてを抱え込んでしまった先に、悲劇が起こったと考えられます。
在宅で頑張り過ぎないで、施設に入る選択をしていたら、この一家の運命は全く違っていたのではないでしょうか。
今もなお、施設入所は世間体が悪いとか、介護する側の人間が罪悪感を持つとか、様々な見方があるようです。でも、実際に施設を見学してみると、そのイメージは大きく変わることでしょう。
金額も、一時金で何千万円、毎月何十万円も必要だ、と思い込んでいる方がいらっしゃいます。が、介護保険を利用できる施設があることを是非覚えておいてください。
介護老人保健施設や特別養護老人ホームは介護保険で利用でき、1割、2割の負担でサービスが受けられます。医療法人健正会の事務長、松本達士さんは、「所得に応じて金額は違うが、一か月5万円~10万円くらいで大丈夫ですよ」と語ります。支払う額の上限も定められています。
どうぞ、頑張り過ぎないで!プロである施設に任せることを考えてみてくださいね。