01月12日
こころのスイッチ

「誰が介護するのか」


あした通信社

認知症かな? と思ったら・・・。 インタビュー:中西亜紀さん(大阪市立弘済院附属病院・副病院長)


自分の家族が、どこかいつもと様子が違う。もしかして認知症では?と思うとき、どう行動すればいいのでしょうか?
認知症を専門にされているドクター、大阪市立弘済院附属病院の副病院長 中西亜紀さんに伺いました。
中西先生によれば、家族がもしかしたら認知症かな、と思ってから、受診までに時間がかかることが多いそうです。物忘れが加齢のせいかな、疲れているかな、と思って病院に行かない。家族が受診を促しても、本人が拒絶するケースもあります。
また認知症と判断されても、その事実を受け入れられないことも多く、先行きに大きな不安を感じるばかりで、適切な介護を受けるまでに時間がかかることも多いのです。
そうこうしているうちに、症状が悪化、介護している側がダウンすることも考えられます。中西先生は、できるだけ早い受診を勧めます。
とはいっても、加齢による普通の物忘れと、認知症の違いをどう見分ければいいのでしょうか?大きなポイントは、ある経験の記憶がすっぽり丸ごと抜け落ちてしまっているかどうか、です。たとえば、財布をしまったという行為をすっかり忘れてしまうと、財布がない→盗まれたという妄想につながるというわけです。
 ただ、認知症に似た症状が出る、他の病気がいくつもあります。脳腫瘍や脳出血の場合、甲状腺のホルモンの働きが悪いケースもあります。これならば甲状腺の治療をすれば、治すことができます。また、抑うつ状態のときに、頭では理解していても言葉が出にくいときがあります。
 このように様々な病気が考えられるので、素人判断は極めて難しいそうです。
あれっと思ったら、とにかく早く診てもらいましょう。
 本人が病院に行きたくないと言うなら「年齢がきたから、一度、健康診断にいってみよう」という言葉も有効だとか。一方で病院側には、事情を事前に話しておいて診察室に入るという方法もあります。
 認知症専門のドクターにすぐにはアプローチできないかもしれませんが、かかりつけのお医者さんにまず診察を受けると良い、と中西先生は言います。専門の先生でなくても、行くべき病院を紹介してくれるはずです。
 自治体に相談してみる手もあります。全国の各自治体は認知症に特化したチームを備えているということです。つながるべきところにつなげてもらいましょう。
 介護は抱え込まず、施設のチームケアを利用しましょう。そのために、まずは相談してくださいね。