02月23日
こころのスイッチ

「人間の表現欲」


あした通信社

介護に関するリスナーさんからのご質問、その4。


 ラジオネーム「夢日常」さんから、認知症についてのご相談を頂きました。
「56才独身です。先日、実家で同居している母が、もしかしたら認知症ではないか?とふっと感じました。自分が買ってきたモノなのに、『これ、誰の?』と聞いてきたからです。
 近所のかかりつけの医者で検査してもらったところ、加齢による物忘れだと言われました。もし今後、認知症と診断されたら、家族はどのように接すればいいのでしょうか?」
 家族が認知症では?と感じるとき、誰もが未来への不安を抱くことと思います。そんなときに大切なのは、まず専門医に認知症の確定診断を受けることだと、社会福祉法人・健正福祉会の社会福祉士 稲岡確さんは指摘します。認知症とひとくちにいっても、様々なタイプがあるそうです。まずはしっかりとした診断を待ちましょう。中には全く違う病気が潜んでいるケースもあります。また、これまで通りにできなくなっている状況に、認知症だという病気のせいなんだと家族が理解することもとても重要です。
 周囲がどう接するべきか、プロの介護スタッフはどうみているのでしょう。医療法人・健正会事務長の松本達士さんは、「なんでそんなことをするのか」「そんなことをしてはダメ」など、相手を否定する言葉は避けるべきだと教えてくれました。相手をまず肯定し、認めることが大切です。例えば「たいへんだったねえ」「そこが痛かったんだねえ」など、相手を認めて、信頼関係を作り上げると、穏やかな気持ちになる方が多いそうです。
 大阪・住之江区の介護老人保健施設「はまさき」では、建物の設計にも認知症の方への心遣いが生かされています。普通にまっすぐに伸びる廊下ではなく、くの字に曲がっていたり、途中に凹みスペースを作ったり。周囲からちょっと見えにくいコーナが安心感につながるそうです。管理する側からみれば効率は悪いのですが、生活する人の側からみる視点が重要なのですね。
 こうした面も頭に入れて、施設を見学なさってください。