03月15日
こころのスイッチ

「声を出す!」


あした通信社

介護生活の体験談その3(看取りまで)。


ご自分の介護体験を話してくださっている藤埜明彦さん(66)に、リスナーの方々の共感の声が寄せられています。
藤埜さんは、地元の介護老人保健施設を利用して、お母さまの介護を16年間続けました。住之江区で手芸店を経営、仕事のあと毎日、施設に行って、食事介助をしたり、オムツ交換をしたり、と積極的に介護に参加しました。
その施設で最後の看取りもなさいました。安心だったのは、医師がずっと様子を診てくれている施設環境です。施設からの適切な連絡があり、最期のときに間に合い、看取りには院長が立ち会ってくれました。
医療環境は施設によって違いますから、入所の前にしっかりと確認しておくことが大切ですね。
また藤埜さんは、16年間の施設での介護で、今も忘れられないお母さまとの思い出があると言います。亡くなる2年前のこと、お母さまは突然「大きな声で歌を歌いたい」とおっしゃったそうです。もともと自分をはっきりと表現するタイプではなかったお母さまのひと言に、藤埜さんは驚きました。が、当惑や恥ずかしさを乗り越えて、二人で一緒に歌い始めました。車椅子を押しながら廊下で歌ったり、寝る用意をしながらベッドで歌ったり。童謡から「365歩のマーチ」まで、大きな声で歌った二人の貴重な時間。それを藤埜さんは「とりわけ素晴らしい時間だった」と振り返ります。
それを可能にしたのは、頑張りすぎていた在宅介護から施設入所に切り替えたことで生まれた、心と身体の余裕でした。充実した16年間の介護が、藤埜さん親子に大きなプレゼントを贈ってくれたように感じます。
現在、地元の介護施設の理事をしている藤埜さん。50年以上のお店の経験で培った地元事情の理解、お母さまの介護の経験を生かして、是非理事に!と要請されました。藤埜さんは施設入所をためらう人たちに「無理しないで、行けるときだけ行けばいい。そう思うと心に余裕ができますよ。」とアドバイスをくれました。