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上野誠の万葉歌ごよみ
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上野誠の万葉歌ごよみ
毎週土曜日 朝 5:30〜5:45

上野誠(國學院大學 教授)
上田悦子(MBSアナウンサー)
★上田悦子アナウンサープロフィール
utagoyomi@mbs1179.com
上野先生に聞いてみたい事、番組の感想など何でもお寄せください。
〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」

【2024年4月20日 放送分】
【2024年4月13日 放送分】
【2024年4月6日 放送分】
【2024年3月30日 放送分】
【2024年3月23日 放送分】
【2024年3月16日 放送分】
【2024年3月9日 放送分】
【2024年3月2日 放送分】
【2024年2月24日 放送分】
【2024年2月17日 放送分】
上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【2024年4月20日 放送分】
2024年4月20日
【巻】…10・1852

【歌】…ももしきの大宮人(おほみやひと)の蘰(かづら)けるしだり柳は 見れど飽かぬかも

【訳】…大宮人たちが、かずらにしたしだれ柳は、見ても見ても見飽きない

【解】…柳を使った遊びの歌です。「ももしき」の「もも」は沢山という意味。「ももしき」は沢山の石などが使われている様子を表していて、天皇がいる宮殿である大宮にかかる枕詞です。その大宮に居る高級官僚たちが、春柳を月桂冠のように円形に編み込み、頭につけて遊んでいたのでしょう。同じかずらでも、かぶってみるとそれぞれ個性があって、その光景はとても楽しく印象深かったに違いありません。古代では、何度見ても見飽きないというのは、誉め言葉として最高の表現なのです。

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上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【2024年4月13日 放送分】
2024年4月13日
【巻】…10・1850

【歌】…朝な朝なわが見る柳 鶯の来居(きゐ)て鳴くべき森に早(はや)なれ

【訳】…朝な朝な私が見る柳、ウグイスがやって来て鳴くような森に早くなっておくれ

【解】…今回は、柳とウグイスの取り合わせです。作者の身近には柳があって、毎朝眺めていたのでしょう。春には柳が芽吹くのを見て楽しんでいたのは容易に想像できますが、それだけでなく、ウグイスがやって来て鳴くような森になってくれと歌っています。森になるまでには何十年かかるか分かりませんが、もちろん本気でそう歌っているのではなく、ありえないことを詠んで楽しんでいるのです。柳とウグイスという、春ならではの光景を早く見たいという、うきうきした気分がそうさせたのかもしれませんね。

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上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【2024年4月6日 放送分】
2024年4月6日
【巻】…10・1849

【歌】…山のまの雪は消(け)ざるを みなぎらふ川のそひには萌えにけるかも

【訳】…山あいの雪は消えないのに、ほとばしり流れる川のほとりではもう柳が芽ぶいている

【解】…「柳を詠む」と表題がつけられた歌の1首。歌の中には「柳」という言葉はありませんが、春に萌えるといえば大体が柳を指します。柳の葉は長く剣の形をしていて、炎のようにも見えるので、萌えるという表現になったのでしょう。春の代表選手は霞や鶯とお伝えしてきましたが、柳も春に美しく照り映えるように芽吹くので、準主役的な存在でした。この歌では、山あいにはまだ雪が残っている一方で、雪解けの水で水量が増えた川のほとりに、炎のように芽吹く柳。冬から春への移り変わりを活き活きと描いた歌ですね。現在も、平城宮跡の街路には柳が植えられています。

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上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【2024年3月30日 放送分】
2024年3月30日
【巻】…10・1845

【歌】…鶯(うぐひす)の春になるらし 春日山(かすがやま)霞たなびく 夜目(よめ)に見れども

【訳】…ウグイスの春になったらしい、春日山に霞がたなびいている、夜にも見えるほどに

【解】…春の訪れを知らせてくれるウグイスをもってきつつ、前回の歌と同じく、根拠ある推定を表す「らし」が使われています。「鶯の春」になった根拠は、これもまた前回と同じく、春日山にたなびいている霞。昼だけでなく、夜でも見えるほどの霞だということで、春が確実にやって来たと思わせる表現になっています。

    3月23日のラジオウォークに沢山の応援メッセージをいただき、有難うございました。Podcastでもう一度番組を聴いていただけますし、スマートフォンのアプリ「ロケトーン」を使えば、現地で解説を聴いていただけます(6月23日まで)。
是非ご利用ください。
詳しくは「奈良・世界遺産の道ラジオウォーク」のホームページをご参照ください。

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上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【2024年3月23日 放送分】
2024年3月23日
【巻】…10・1844

【歌】…冬過ぎて春来(きた)るらし 朝日さす春日(かすが)の山に 霞たなびく

【訳】…冬が過ぎて春がやって来たらしい、朝日さす春日の山に霞がたなびいているので

【解】…季節の先駆けや名残を歌うのが万葉歌の特徴のひとつです。この歌は、冬と春の微妙な変化の中で詠まれたのでしょう。作者は、「春来るらし」と歌っていますが、この「らし」は、根拠のある推定を表すもので、春が来たと言う理由が歌の後半に出てきます。それが、春日山の霞。平城京の東にある春日山から太陽が昇り、霞がたなびいているのが見えたのでしょう。霞は春の象徴とされていましたから、春日山の光景を見て「ああ、春がやってきた」と作者は確信したのです。ちなみに当時は、春は東からやって来るとされていました。

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