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上野誠の万葉歌ごよみ
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歌ごよみ!
上野誠コラム
上野誠の万葉歌ごよみ
毎週土曜日 朝 5:30〜5:45

上野誠(奈良大学文学部教授)
上田悦子(MBSアナウンサー)
★上田悦子アナウンサーブログ
utagoyomi@mbs1179.com
上野先生に聞いてみたい事、番組の感想など何でもお寄せください。
〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」

【2021年1月16日 放送分】
【2021年1月9日 放送分】
【2021年1月2日 放送分】
【2020年12月26日 放送分】
【2020年12月19日 放送分】
【2020年12月12日 放送分】
【2020年12月5日 放送分】
【2020年11月28日 放送分】
【2020年11月21日 放送分】
【2020年11月14日 放送分】
上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2021年1月16日 放送分】
2021年1月16日
【巻】…4・788

【歌】…うら若み花咲きがたき梅を植ゑて 人の言(こと)しげみ思ひぞ吾(あ)がする

【訳】…たいそう若いので花が咲かない梅を植えて、人の噂が激しいので私はつらい思いをしている

【解】…「言しげみ」は、噂が激しい様。どんな噂かというと、花が咲くのが難しいくらい若い梅を植えた、というもの。それが、なぜ噂になるのか不思議に思われるでしょうが、作者の大伴家持は、つらい思いをしているということですから、良くない噂なのでしょう。真相は分かりませんが、若い梅とは女性のことを指していて、家持の恋人のことではないかと思われます。しかも、世間がびっくりするくらい若い恋人・・「あんな若い女性を恋人にして!」という声があちらこちらであがったのかもしれません。家持は、「噂が激しくて、いやあ困った困った」と、藤原朝臣久須麻呂(ふじわらあそみくすまろ)にこの歌を贈ったのでしょう。

上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2021年1月9日 放送分】
2021年1月9日
【巻】…5・852

【歌】…梅の花夢(いめ)に語らく 風流(みや)びたる花と吾思(あれも)ふ 酒に浮べこそ

【訳】…梅の花が夢で語ることには、風流(みやび)な花であると自分は思っているんだ、酒に浮かべて下さいな

【解】…天平2年(730年)の正月、大宰府の大伴旅人邸で開かれた宴で詠まれた、梅の花の歌32首のうちの1首。「令和」が発表された時、歌の序文が話題になりました。当時、32首のうち最初の1,2首は取り上げられましたが、今回はほとんど注目されなかった32首目の歌です。「梅の花夢に語らく」と、夢の中で梅が語るという面白い設定になっていて、しかもその内容が、風流な花であると自分は思っているんだがね、とのこと。随分自信のある梅の花ですね。風流な自分だから、お酒に浮かべて下さいと提案していますが、当時のお酒は濁酒が主で、白い酒に白い花がうかんでいる様は、確かに風流ですね。




上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2021年1月2日 放送分】
2021年1月2日
【巻】…20・4493

【歌】…初春の初子(はつね)の今日の玉箒(たまばはき) 手に取るからに ゆらく玉の緒

【訳】…初春の初子の今日の玉箒、手に取るやいなや、ゆらゆらゆらと揺らぐ玉の緒だ

【解】…玉箒とは、小さなガラス玉を飾り付けた箒で、養蚕の際に、蚕のまゆをかき集めるのに用いられました。手に取るとガラス玉がゆらゆらと揺れる美しいもので、奈良時代では、お正月に参内した人たちが、皇后さまからこの玉帚を縁起物としていただく風習があったのです。この玉帚をもらおうと思った大伴家持は、宮中に参内すると歌を詠む場面もあるだろうからと、この歌を用意していたのですが、結局、忙しくてもらいに行けず、歌だけが残りました。ちなみに、玉帚の実物は現在も正倉院に納められています。

上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2020年12月26日 放送分】
2020年12月26日
【巻】…18・4137

【歌】…正月(むつき)たつ春のはじめに かくしつつ相(あひ)し笑(ゑ)みてば 時じけめやも

【訳】…正月となった春の初めに、このように互いに微笑みあったなら、本当に本当にお正月らしいなあ

【解】…大伴家持が、赴任先の越中(現在の富山県)て迎えたお正月に、部下の久米朝臣広縄(くめのあそみひろなは)の家で開かれた宴席で詠んだ歌です。「かくしつつ相し笑みてば」とは、宴会の出席者が、お互いに笑みを交わしながら楽しんでいる様子。「時じけめやも」は、時節に合っているという意味で、宴席の様子が、まさにお正月らしい雰囲気であることよ、と詠んでいるのです。コロナの感染拡大で、親戚など大勢が集まって楽しむという訳にはいかないでしょうが、小さくても、このような、微笑み合えるお正月を迎えていただきたいと、2020年最後の放送は、この歌をご紹介させていただきました。

    今年一年、「上野誠の万葉歌ごよみ」をご愛聴いただき、本当にありがとうございました。2021年も引き続き、どうかよろしくお願いいたします!


上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2020年12月19日 放送分】
2020年12月19日
【巻】…10・2238

【歌】…天(あま)飛ぶや雁のつばさの覆羽(おほひば)の 何処(いづく)漏りてか 霜の降りけむ

【訳】…大空をかける雁の翼の覆い羽の、その羽根がどこで漏れたか、こんなに霜が降ったのは

【解】…「覆羽」とは、解釈は難しいですが、鳥の羽根が幾層かで出来ているうちの一番外側の羽根と思われます。雁は、長い長い距離を飛んでいくうちに、「覆羽」に露がつき、それがポトリと地上に落ちて霜になったという考えが、この歌の前提となっています。霜が「降る」と表現されるのも、霜が天からやってくるものだと古代の人が考えていたからではないでしょうか。露をまとった羽根はキラキラと美しく、その露が落ちて凍った霜もまた美しく輝いている・・そんなイメージが、この歌から伝わってきます。