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上野誠の万葉歌ごよみ
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歌ごよみ!
上野誠コラム
上野誠の万葉歌ごよみ
毎週土曜日 朝 5:30〜5:45

上野誠(奈良大学文学部教授)
上田悦子(MBSアナウンサー)
★上田悦子アナウンサーブログ
utagoyomi_p@mbs1179.com
上野先生に聞いてみたい事、番組の感想など何でもお寄せください。
〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」

【2019年6月15日 放送分】
【2019年6月8日 放送分】
【2019年6月1日 放送分】
【2019年5月25日 放送分】
【2019年5月18日 放送分】
【2019年5月11日 放送分】
【2019年5月4日 放送分】
【2019年4月27日 放送分】
【2019年4月20日 放送分】
【2019年4月13日 放送分】
上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2019年6月15日 放送分】
2019年6月15日
【巻】11・2682

【歌】…韓衣(からころも)君にうち着せ見まく欲(ほ)り
    恋ひぞ暮らしし雨の降る日を

【訳】…韓衣をあなたに着せてみたいと思う
    そんなこんなで待ち焦がれているよ、この雨の降る日に

【解】…韓衣とは、中国や韓国風の衣装のことで、韓(から)は外国のことを指しています。
うち着せとは、着せること。
見まく欲りとは、見たいという意味。
この歌の情景は、恋しく思いながら一日中恋人が来るのを待ち焦がれている様子です。
恋人に外国風の衣装を着せて、それを着ているのを見るのが幸せということ。
当時から肌に身に着けるもののプレゼントは特別なものなのだったのかもしれません。
雨の降る日に人を待つという世界観を表現した歌です。

上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2019年6月8日 放送分】
2019年6月8日
【巻】10・1916

【歌】…今さらに君はい行かじ
    春雨のこころを人の知らざらなくに

【訳】…今さらあなたは帰ることなどできないはずだ
    春雨の心をあなたは知らないわけではないのだから
    
【解】…い行かじの“い”は行くの接頭語。“じ“は打消しですので、君は行きますまい、君は行くことができないでしょうという意味。
君とは、女性が男性を呼ぶ言い方ですので、今さらあなたはもう行ってしまわないでしょうねと呼び掛けている。
上の句が、今さらあなたは帰ったりすることはできないでしょう
下の句は、春雨のこころをあなたも私も知らないわけではないでしょうというということで、春雨のこころとは、降ることによって足止めをするというもの。
本来、この男性は宵のうちに帰る予定だったが、雨が降ってきた。女性が雨が降ったから今日は泊まって行きなさいよと思っているが、それはストレートすぎて言えないので、春雨が泊まって行くようにそうさせたのよ、ということを歌で表現している。
積極的な女歌の一つといえるでしょう。

上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2019年6月1日 放送分】
2019年6月1日
【巻】6・1040

【歌】…ひさかたの雨は降(ふ)りしく
    思ふ子が宿(やど)に今夜(こよひ)は明(あか)して行かむ

【訳】…雨はしきりに降っている
    愛しいあの子の家に今晩は泊まって行こう
    
【解】…宴が始まってから雨が降り出してきてどうするかという内容の歌です。
安積親王(あさかのみこ)が家来である藤原八束(ふじわらのやつか)の家で、宴会をしていた。その時に、うどねりという仕事をしていた大伴家持が作った歌。
自分が大好きなあの子の家に今晩は泊まっていこうという内容の歌ですが、
実際は、宴会の途中で雨が降ってきて、雨の中帰るのが大変なので、帰らずに朝まで飲みましょうよとなった状況です。
ただ、そのような状況をそのまま歌にすると面白くないので、恋人の家に行ったときに雨に降られて朝までいるのと同じで、朝までみんなでいましょうよという気持ちを込めて歌ったものです。
万葉集での宴会は基本はとても楽しいものであり、どうやったら良い歌が歌われるかが大事とされています。
雨が小道具となっているのがポイントとなっている歌です。

上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2019年5月25日 放送分】
2019年5月25日
【巻】12・3150

【歌】…霞立つ春の長日(ながひ)を奥処(おくか)なく
    知らぬ山路(やまぢ)を恋ひつつか来(こ)む

【訳】…霞が立つ春の長い長い日を果てしもなく、
    知らぬ山路を恋心をつのらせながら、私は歩んでいくことになるのかなあ
        
【解】…春の長日とは、春の昼の時間が長くなっていること。
奥処なくとは、果てしない、遠くて限りないもの。
恋ひつつか来むとは、恋心を募らせながら歩いていくのだろうか、これからどんな恋をするのだろうか、いてもたってもいられず、歩き回っている、彷徨うような感じの様子です。
恋に悩んでいる人の、行き先が見えない気持ちを歌ったものです。

上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2019年5月18日 放送分】
2019年5月18日
【巻】12・3032

【歌】…君があたり見つつもをらむ
    生駒山雲なたなびき 雨は降るとも

【訳】…あなたの家のあたりを見続けていたい
    生駒山に雲よたなびくな、たとえ雨が降ってもね
    
【解】…何君があたり見つつもをらむとは、何らかのことで相手を見ることができないならば、相手の家のあたりを見て、相手に想いを寄せている様子。
生駒山は、彼の家がある場所。
雲なたなびきとは、雲はたなびくなよという意味です。雲なの“な”は、雲よという意味の禁止構文で、相手に頼み込む時に使うものです。
雨は良いけど、雲は山が隠れてしまうので、雲はたなびかないでほしいというものです。
恋は盲目になるものですが、この歌はそんな状態を楽しんでいるものです。