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上野誠の万葉歌ごよみ
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歌ごよみ!
上野誠コラム
上野誠の万葉歌ごよみ
毎週土曜日 朝 5:30〜5:45

上野誠(奈良大学文学部教授)
上田悦子(MBSアナウンサー)
★上田悦子アナウンサーブログ
utagoyomi_p@mbs1179.com
上野先生に聞いてみたい事、番組の感想など何でもお寄せください。
〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」

【2018年12月29日 放送分】
【2018年12月22日 放送分】
【2018年12月15日 放送分】
【2018年12月8日 放送分】
【2018年12月1日 放送分】
【2018年11月24日 放送分】
【2018年11月17日 放送分】
【2018年11月10日 放送分】
【2018年11月3日 放送分】
【2018年10月27日 放送分】
上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2018年12月29日 放送分】
2018年12月29日
【巻】19・4284

【歌】…新(あらた)しき年の初めに
    思ふどちい群れてをれば 嬉しくもあるか

【訳】…新しい年の初めに、気の置けない仲間たちとつどっていると、
本当に嬉しいことだなあ。


【解】…気の置けない仲間たちとぱーっと飲んで楽しいなあという歌。
お正月の歌は、新しき年の初めに が歌の始まりなので、このような定型文があると、そのあとの部分をどう歌うのかで腕の見せ所。
楽しい宴会になるように色んな仕掛けをしているが、一番は、やっぱり「人」なのではないかと思わせる歌です。

上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2018年12月22日 放送分】
2018年12月22日
【巻】17・3925

【歌】…新(あらた)しき年のはじめに
    豊(とよ)の年しるすとならし 雪の降れるは

【訳】…新しい年のはじめに、豊かな実りの年の吉兆を表すことになった、
雪が降っているのは。

【解】…万葉集の中でお正月のことを歌ったものは数少なく、歌のはじまりは、
新しき年のはじめに から始まるものが多い。
古典ではあたらしいではなく、あたらしと詠まれている。
豊の年とは、豊かな年のしるしとなったよという意味。
新年に雪が降るのは吉兆であると中国の書物で書かれていて、美しいものとされている。
雪が降らなかったら梅をほめたりするなど、何かに注目して誉めることがお正月の歌の鉄則。
誉めることをみつけて新年を迎えると豊かな年になるかもしれませんね。

上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2018年12月15日 放送分】
2018年12月15日
【巻】3・337

【歌】…憶良らは今は罷(まか)らむ 子泣くらむ
    それその母も吾(あ)を待つらむぞ

【訳】…憶良めは今はおいとまいたしましょう
    子供が泣いております
    その母も私を待ちかねておりますので

【解】…山上憶良は万葉集の大歌人の一人。
罷らむとは、宴を退出するときのことで、「ら」は卑下したような言い方。
子泣くらむとは、子供が泣いていること。
この歌は、憶良が60代後半から70代に差し掛かるときに詠まれた歌で、現実にはそのころに幼子はいなかったのに、宴で会場を沸かせて笑いをとるために、若い妻と幼子がいると架空のこととして言っている。
宴会で大事なことは宴会の場を和らげることで、憶良は粋な歌を披露して、周りにも気を遣っていたことがうかがえます。

上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2018年12月8日 放送分】
2018年12月8日
【巻】10・2133

【歌】…秋の田のわが刈りばかの過ぎぬれば
    雁が音(ね)聞(きこ)ゆ冬かたまけて

【訳】…秋の田の私のノルマを刈り取ってしまうと
    雁の音が聞こえてきた、冬が近づいたのだな

【解】…苅はかとは、一定の区間のこと。
わが刈りばかのとは、自分の稲刈りの分担のこと。
はかどるとは、一定区間のはかが取れるが語源となっている。
刈りがすすむとは、稲刈りが進んで秋が深まるという晩秋のイメージ。
そこに雁の音が聞こえるということは、冬が始まるのだと感じている様子です。日本人ならではの季節感を感じられる歌です。

上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2018年12月1日 放送分】
2018年12月1日
【巻】15・3676

【歌】…天(あま)飛(と)ぶや雁を使(つかひ)に得てしかも
    奈良の都に言告げ(ことつげ)遺(や)らむ

【訳】…空を飛ぶ雁、その雁を使にしたいものだ。
    奈良の都に言づてを頼みたい

【解】…雁は、秋の終わりにやって来て、春になると帰って行く。
雁はどこからきて、どこに帰るのかわからない。雁のように軽々と山も川も乗り越えられるのならば、自分の使にできたのなら、当時だったらすごい通信手段だったといえる。
この歌は、引津(ひきつ)の亭で船が泊まったときに詠まれた歌で、引津とは現在の福岡県にある地名のこと。
奈良の都に帰りたいけど船が泊まって帰られない状況で、帰りたくても帰られないときに、奈良へいくであろう雁を自分の使のようにして、心配している家族へ想いを託したいという気持ちが表われている歌です。