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上野誠の万葉歌ごよみ
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歌ごよみ!
上野誠コラム
上野誠の万葉歌ごよみ
毎週土曜日 朝 5:30〜5:45

上野誠(奈良大学文学部教授)
上田悦子(MBSアナウンサー)
★上田悦子アナウンサーブログ
utagoyomi_p@mbs1179.com
上野先生に聞いてみたい事、番組の感想など何でもお寄せください。
〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」

【2018年10月20日 放送分】
【2018年10月13日 放送分】
【2018年10月6日 放送分】
【2018年9月29日 放送分】
【2018年9月22日 放送分】
【2018年9月15日 放送分】
【2018年9月8日 放送分】
【2018年9月1日 放送分】
【2018年8月25日 放送分】
【2018年8月18日 放送分】
上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2018年10月20日 放送分】
2018年10月20日
【巻】10・2117

【歌】…をとめらに行(ゆき)あひの早稲(わせ)を刈る時に成りにけらしも
    萩の花咲く

【訳】…行きあひの早稲を刈る時になったなぁ
    萩の花が咲いている、そんな季節だ

【解】…をとめらは、行(ゆき)あひにかかる枕詞。
行あひのとは、季節が行きあう、交わること。
早稲(わせ)は、夏から秋の季節の変わり目を表している。
萩の花は、稲刈りの頃に咲くもので、新米が食べられる季節を表しています。
稲刈りは、日本の年中文化に最も影響を与えているもので、豊穣を願う秋祭りがあったり、稲刈りが終わったら年越しを目指しましょうというように、1年の行事のサイクルの基準ともいえる。
萩の花が咲くことで、1年間の季節の流れを考える、連想の歌です。

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上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2018年10月13日 放送分】
2018年10月13日
【巻】10・2109

【歌】…わが宿の萩の末(うれ)長し
    秋風の吹きなむ時に咲かむと思ひて

【訳】…私の家の萩の枝の先は長い、
    秋風が吹く時になったら、咲こうと思っているからか。

【解】…わが宿とは、自分の家の庭のこと。
末(うれ)長しとは、先が長くなっている様子、萩の枝の先がすーっと伸びて長くなっていて、しだれになっていること。
萩の枝先が長いと、風が吹くと、風が吹くともちろん揺れている。
万葉集の中で、萩の歌が一番多く、地味な花でありながら、どのように見せれば美しく見えるかを考えられているものが多い。
この歌でも、花の特徴であるしだれの部分を生かして、秋風が吹く時をうまく取り入れられている。
萩の花のように、自分をどのように見せたら美しくなるかを考えながら、この歌を詠むと良いかもしれません。
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上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2018年10月6日 放送分】
2018年10月6日
【巻】10・1992

【歌】…隠(こも)りのみ恋ふれば苦し
    なでしこの花に咲き出(で)よ 朝な朝な見む

【訳】…閉じこもってばかりいると苦しくなってしまう
    なでしこの花のようにパッと気持ちを表に出すが良い、
    毎朝毎朝、君をいつくしみたいから。

【解】…隠りのみとは、その場所に閉じこもって苦しくなること。
朝な朝な見むとは、毎朝毎朝会いましょうという意味です。   
歌の中で、なでしこは、自分を主張せず、可憐で良い役どころをしていて、なでしこの花を通して、女性への想いを重ねた歌です。
歌の状況としては、僕は好きだよと先に告白している、君はどう?なでしこの花のように咲き誇ってくださいよという様子が表されています。

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上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2018年9月29日 放送分】
2018年9月29日
【巻】3・408

【歌】…石竹(なでしこ)のその花にもが 朝な朝な
    手に取り持ちて恋ひぬ日無けむ

【訳】…あなたがあの石竹であってほしい、そうすれば毎朝毎朝、
手に取って愛しまない日はないであろう

【解】…この歌は、恋人に贈る歌、ラブレターです。
にもがとは、願望を表すもので、なでしこの花であってほしいという意味です。
恋ひぬ日とは、恋しく思う日のこと。
なでしこの花は、庭にあって可憐に咲いて、誰にも知られないうちに散っていくもので、愛おしく奥ゆかしいもので、でしゃばらないけれど気になる存在を表している。
この歌は大伴家持と坂上家の大嬢(おほいらつめ)の恋の歌で、なでしこの花のような愛おしさが感じられる歌です。

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上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2018年9月22日 放送分】
2018年9月22日
【巻】10・1970

【歌】…見渡せば向ひの野辺の石竹(なでしこ)の散らまく惜しも
    雨な降りそね

【訳】…見渡すと向ひの野辺の石竹の花が見える。
    散るのが惜しいから雨よ降らないでおくれよ。

【解】…秋の花の代表はなでしこ。可憐な花で、歌の中では女性の美しさや、いとおしさとして表現されることが多い。
散らまく惜しもとは、散るのが惜しい、私はもっと見たいのだという気持ちが表れています。
雨な降りそねの、な〜そは、念を押す感じの禁止構文です。
雨が降ると花が散ってしまうので、雨よ降らないでおくれよというような意味です。
万葉集で、なでしことでてきたら、女性のことを想った歌が多いですが、この歌は単純になでしこの花を想って歌われている可能性もあり、どう捉えるかは聴いた人にゆだねられています。
色々な解釈で想像を膨らますのが楽しくなる一首です。

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