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上野誠の万葉歌ごよみ
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歌ごよみ!
上野誠コラム
上野誠の万葉歌ごよみ
毎週土曜日 朝 5:30〜5:45

上野誠(奈良大学文学部教授)
上田悦子(MBSアナウンサー)
★上田悦子アナウンサーブログ
utagoyomi_p@mbs1179.com
上野先生に聞いてみたい事、番組の感想など何でもお寄せください。
〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」

【2018年8月11日 放送分】
【2018年8月4日 放送分】
【2018年7月28日 放送分】
【2018年7月21日 放送分】
【2018年7月14日 放送分】
【2018年7月7日 放送分】
【2018年6月30日 放送分】
【2018年6月23日 放送分】
【2018年6月16日 放送分】
【2018年6月9日 放送分】
上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2018年8月11日 放送分】
2018年8月11日
【巻】3・464

【歌】…秋さらば見つつ偲(しの)へと
    妹(いも)が植ゑし宿(やど)の石竹花(なでしこ)咲きにけるかも

【訳】…秋がやって来たならば、この花を見ながら偲んでくださいと
    妻が植えた宿のなでしこが咲いたことだ。

【解】…亡くなった妻を悲しむ挽歌です。
なでしこを見て、どのように妻を偲んだかという歌です。    
秋さらばとは、秋がやって来ると。
見つつ偲へととは、見ながら偲びなさいのこと。
偲ふとは、花や美しいものを愛でることで、愛でる対象には、花のほかに、生きている人やすでに亡くなった人も入るのです。
宿は家の前の庭のこと。
夏のうちになでしこの種をまいたけど、秋になるともう妻はいないという悲しい気持ちが込められています。
大伴家持の父は、日本で初めて人が亡くなった挽歌を歌った人で、
悲しみは変わらないが、それを歌に残しています。
人生はみな苦しみを背負っているものですが、それを歌などで表現できる人は少ないが、家持はそれができた人でもあります。

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上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2018年8月4日 放送分】
2018年8月4日
【巻】3・470

【歌】…かくのみにありけるものを 妹(いも)も吾(あれ)も
    千歳(ちとせ)のごとく頼みたりける

【訳】…このようなことになってしまったことを
    あの時は、妻も私も千年も生きられるようにと心頼にしていたのに

【解】…かくとは、かくかくしかじかの意味。
妹は彼女、吾は私のこと。
頼みは、神仏に頼む、自分に頼むこと。
この歌は大伴家持の愛人の一人が亡くなったときの挽歌。
出会ったときは、自分たちの命は永遠にあると思っていたし、永遠の命を神に頼んでいたという趣旨の歌です。
人の死は避けられないので、有限の命をどう過ごすかが大切であると同時に、
死を忘れることも大切で、人間は生きていくこと自体が不条理なのだと感じさせる歌です。

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上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2018年7月28日 放送分】
2018年7月28日
【巻】11・2738

【歌】…大船のたゆたふ海に碇(いかり)下(おろ)し
    如何(いか)にせばかも わが恋止(や)まむ

【訳】…大船がゆらゆらと揺れる海に碇下ろすではないけれど
    いかにしたならば私の恋は止むのかね

【解】…恋心をイカリに例えた歌です。
たゆたふは右に左に揺れること。
碇下しとは、古代の船にもイカリがあり、下すと動かなくなること。
如何にとは、どのようにしたらの意味。
わが恋止まむとは、恋が生命に危険を及ぼすこと。恋は病気の一種といえる。
イカリを下ろして船が動かなくなることは、相手のことを思って寝られなくなったりする様子で、止まらなくなるほど恋心が激しくて、日常生活に支障をきたす状況になっていることを歌った歌です。

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上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2018年7月21日 放送分】
2018年7月21日
【巻】9・1781

【歌】…海(うみ)つ路(じ)の和(な)ぎなむ時も渡らなむ
    かく立つ波に船出(ふなで)すべしや

【訳】…海の路が和らいだ時に渡ればよいのに
    このように立つ波に船出すべきであろうか、いやそうではあるまいに

【解】…海つ路は海の道のこと。
和(な)ぐとは、なぐさめる、柔らかくなる、穏やかになるという意味。
渡らなむは、渡るのが良いのにということ。
かく立つのかくは、かくかくしかじか、このようにの意味。
昔は東海道も瀬戸内海も海の路で、遠くに行くときに船を使っていた。
この歌は、ある役人がお別れになるときに、船旅を見送りにいく途中、橋を渡っているときに見た風景を歌ったもので、歌を作ったのは男性だけど、女性の立場で書いている歌です。

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上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2018年7月14日 放送分】
2018年7月14日
【巻】1・58

【歌】…いづくにか船泊(ふなは)てすらむ
    安礼(あれ)の崎(さき)漕ぎたみ行きし棚無(たなな)し小舟(をぶね)

【訳】…一体どこに船泊りをするのかなあ
    安礼の崎をこぎ回って行ったあの棚無し小舟は

【解】…船泊てとは船が泊まる寄港地。
安礼のとは、候補地が複数あってわかっていないことで、崎は岬のことです。
漕ぎたみとは、漕いで巡ることです。
棚無し小舟は、船の中に大きな天井板もないような小さな船で、長旅をするような船ではない、渡り船のようなイメージです。
目的地はあってもどこに泊まるかわからない、そんな船のことを思ってうまれた歌です。

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