MBSラジオがパソコンで聴ける!インターネットラジオサービス「radiko.jp」
上野誠の万葉歌ごよみ
ポッドキャストの楽しみ方
ポッドキャストの受信ソフトに、このバナーを登録すると音声ファイルが自動的にダウンロードされます。
ポッドキャストの説明はコチラ
歌ごよみ!
上野誠コラム
上野誠の万葉歌ごよみ
毎週土曜日 朝 5:30〜5:45

上野誠(奈良大学文学部教授)
上田悦子(MBSアナウンサー)
★上田悦子アナウンサーブログ
utagoyomi_p@mbs1179.com
上野先生に聞いてみたい事、番組の感想など何でもお寄せください。
〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」

【2018年12月8日 放送分】
【2018年12月1日 放送分】
【2018年11月24日 放送分】
【2018年11月17日 放送分】
【2018年11月10日 放送分】
【2018年11月3日 放送分】
【2018年10月27日 放送分】
【2018年10月20日 放送分】
【2018年10月13日 放送分】
【2018年10月6日 放送分】
上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2018年12月8日 放送分】
2018年12月8日
【巻】10・2133

【歌】…秋の田のわが刈りばかの過ぎぬれば
    雁が音(ね)聞(きこ)ゆ冬かたまけて

【訳】…秋の田の私のノルマを刈り取ってしまうと
    雁の音が聞こえてきた、冬が近づいたのだな

【解】…苅はかとは、一定の区間のこと。
わが刈りばかのとは、自分の稲刈りの分担のこと。
はかどるとは、一定区間のはかが取れるが語源となっている。
刈りがすすむとは、稲刈りが進んで秋が深まるという晩秋のイメージ。
そこに雁の音が聞こえるということは、冬が始まるのだと感じている様子です。日本人ならではの季節感を感じられる歌です。

停止

上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2018年12月1日 放送分】
2018年12月1日
【巻】15・3676

【歌】…天(あま)飛(と)ぶや雁を使(つかひ)に得てしかも
    奈良の都に言告げ(ことつげ)遺(や)らむ

【訳】…空を飛ぶ雁、その雁を使にしたいものだ。
    奈良の都に言づてを頼みたい

【解】…雁は、秋の終わりにやって来て、春になると帰って行く。
雁はどこからきて、どこに帰るのかわからない。雁のように軽々と山も川も乗り越えられるのならば、自分の使にできたのなら、当時だったらすごい通信手段だったといえる。
この歌は、引津(ひきつ)の亭で船が泊まったときに詠まれた歌で、引津とは現在の福岡県にある地名のこと。
奈良の都に帰りたいけど船が泊まって帰られない状況で、帰りたくても帰られないときに、奈良へいくであろう雁を自分の使のようにして、心配している家族へ想いを託したいという気持ちが表われている歌です。
停止

上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2018年11月24日 放送分】
2018年11月24日
【巻】10・2294

【歌】…秋されば雁(かり)飛び越ゆる竜田山(たつたやま)
    立ちても居ても君をしぞ思ふ

【訳】…秋がやって来ると雁が飛び越えていく竜田山
    その竜田山ではないけれど
    立っていても座っていても君のことを思ってしまう

【解】…山を越えてやって来る雁は、季節感のある絵手紙のようなお便りのようなもの。やって来る時と去っていくときで表す季節が変わる。
帰る雁(きがん)=春がやって来る
来る雁(らいがん)=冬がやって来る
この歌の趣旨である、立ちて居ても君をしぞ思ふとは、立っていても座っていてもあなたを思うということです。
とても情熱的で、四六時中想いを寄せている様子ですが、その状況を起こすのが竜田山で、その竜田山がどういう山かというと雁が越えてくるような山で、それがいつの季節かというと、秋ですよということ。
人は恋をすると、他人のことを絶え間なく色々考えるもので、人が成長するきっかけなのかもしれません。

停止

上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2018年11月17日 放送分】
2018年11月17日
【巻】8・1589

【歌】…露霜(つゆしも)にあへる黄葉(もみち)を手折(たお)り来て
    妹(いも)とかざしつ後は散るとも

【訳】…露霜にあった色不快もみじを手折ってきて、
    恋人とかざした後は散っても良いさ

【解】…
露霜はすぐ消えるもの。
あへる黄葉とは色が深くなったもみじのこと。
妹とは恋人のこと。
かざすは髪ざしからきていて、髪にさすように手に持ってくるものですが、かざすように手に持つときに、かざすという表現をする。
後は散るとは、今が楽しくても紅葉のように私たちもいつか散ってしまうわという気持ちを含んでいます。
中国の詩人が残した言葉に、人生は有限で、相思相愛の2人にも終わり、別れはくる。
人生に別れがあるあらこそ人の愛や恩を感じるためのもの。というものがある。
美しいものを一緒に見て感動し、美味しいものを食べて感動し、明日になくなるかもしれない幸せをかみしめて感じているのが、この歌のメッセージかもしれません。

停止

上野誠の万葉歌ごよみ-上野誠コラム
【2018年11月10日 放送分】
2018年11月10日
【巻】10・2469

【歌】…山ぢさの白露しげみ あらぶるる心も深く
    わが恋止まず

【訳】…山ぢさの白露が多いので、うちしおれる心も深く
    私の恋心は止むこともない

【解】…
恋をした人は自分の気持ちが内に入ることになり、うらぶるる心も深くとは、うちしおれて心弾まないこと。
私の恋が止まないということは、自分の気持ちをコントロールできないという状態。
山ぢさの露の重さが歌に出てきて、こんな小さなものに露がついて首が垂れさがっていることを見逃していなことがこの歌の魅力かもしれない。
露が降りるような秋の季節だからこそ、大人の恋であり自分の内に入るものがある。
人間はネガティブにはなってはいけないが、自分の内面をかえりみる時間をもつべきで、人生の深みが感じられる歌です。




停止