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上野誠の万葉歌ごよみ
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上野誠の万葉歌ごよみ
毎週土曜日 朝 5:30〜5:45

上野誠(國學院大學 教授)
上田悦子(MBSアナウンサー)
★上田悦子アナウンサーブログ
utagoyomi@mbs1179.com
上野先生に聞いてみたい事、番組の感想など何でもお寄せください。
〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」

【2022年5月21日 放送分】
【2022年5月14日 放送分】
【2022年5月7日 放送分】
【2022年4月30日 放送分】
【2022年4月23日 放送分】
【2022年4月16日 放送分】
【2022年4月9日 放送分】
【2022年4月2日 放送分】
【2022年3月26日 放送分】
【2022年3月19日 放送分】
上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【2022年5月21日 放送分】
2022年5月21日
【巻】…1・4

【歌】…たまきはる宇智(うち)の大野に 馬並(な)めて朝踏(あさふ)ますらむその草深野(くさふかの)

【訳】…宇智の大野に馬を並べて朝お踏みになっている、その草深い野を

【解】…「たまきはる」は宇智にかかる枕詞だと思われますが、はっきりは分かりません。おそらく、宇智の「うち」という音が内側の意味を兼ね、「たま」が魂の意を含むことで、内側で魂が充実しているというニュアンスを歌に加えたのではと思われます。歌が表している風景は、宇智という場所の大きな野原に多くの馬が並んで行進している様。舒明天皇が狩りをした時のことを詠んでいます。天皇が狩りを行うのは、一種の軍事訓練的な意味もありますが、「新しい天皇は、こういった方だ」と知らせる、いわばパレードのようなものだったと思われます。狩りの後には宴会が開かれ、その場で天皇に献上されたのがこの歌です。

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上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【2022年5月14日 放送分】
2022年5月14日
【巻】…1・2

【歌】…大和(やまと)には 群山(むらやま)あれど とりよろふ 天(あめ)の香具山 登り立ち 国見をすれば 国原(くにはら)は 煙(けぶり)立ち立つ 海原(うなはら)は 鷗(かまめ)立ち立つ うまし国ぞ あきつ島 大和の国は

【訳】…大和には沢山の山があるけれど、とりよろふ天の香具山に登り立って国見をすると、国原からは煙が立ち、海原からは、カモメが飛び立つ。素晴らしい国だ、あきつ島大和の国は

【解】…前回から巻の1の歌をご紹介していますが、今回は2番。舒明天皇が自ら香具山に登って国見をした時の歌です。「とりよろふ」は、あちらこちらからものが集まって満ち足りているという意で、この歌では、沢山ある山々の中で、天の香具山が、とりわけ良いというニュアンスを含んでいます。その香具山に登って見渡すと、国原からは煙が立っている・・これは、かまどの煙のことで、豊かな収穫があったことを示し、海原からカモメが飛び立つということは、魚が沢山いることを意味しますから、豊漁を示唆しています。「あきつ島」は、収穫の豊かな地のことで、「あきつ島」であるところの大和の国は素晴らしい!と歌っているのです。天皇にとって、国土の様子を見る国見は大切な仕事で、統治の根源でもありました。

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上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【2022年5月7日 放送分】
2022年5月7日
【巻】…1・1

【歌】…籠(こ)もよ み籠(こ)持ち 掘串(ふくし)もよ み堀串(ぶくし)持ち この丘に 菜摘(なつ)ます子 家告(の)らせ 名告らさね そらみつ 大和の国は おしなべて われこそ居(を)れ しきなべて われこそ座(ま)せ われこそは 告らめ家をも名をも

【訳】…カゴも良いカゴを持ち、ヘラも良いヘラを持ち、この丘で若菜を摘んでいるお嬢さん方、家をおっしゃい、名前をおっしゃいな。そらみつ大和の国は全て私が治めている。すみずみまで私が治めている。私から名乗りましょう、家のことも名前のことも
【解】…番組ではこれまで、多くの万葉歌をご紹介してきましたが、5月からしばらくは、出発点に立ち戻って、巻の1に収められた歌をご紹介していきます。今回は、まさに最初の歌。巻の1の1番、雄略天皇が自身で作った御製歌です。歌の中で雄略天皇は、若菜摘みをしている女性たちに、こう呼びかけます「家はどこか、そして名前は何というのかおっしゃってください」。古代では、家と名前をセットで聞くのは、求婚するということです。歌の後半で雄略天皇は、「自分は、大和の国をすみずみまで治めている者だ」と宣言し、「家のことも名前のことも、私から名乗ろう」と歌っています。これに対して女性たちはどう反応して、その後、どうなったのかは分かりません。ただ、この歌で重要なのは、雄略天皇が求婚したことではなく、自分が大和の国の覇者であると名乗っていること。国を治める上で、天皇がこのように宣言するのは、政治を上手く運ぶ上で、何より大切なことなのです。

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上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【2022年4月30日 放送分】
2022年4月30日
【巻】…11・2786

【歌】…山吹のにほへる妹が 朱華色(はねずいろ)の赤裳(あかも)の姿 夢(いめ)に見えつつ

【訳】…山吹のように照り輝く妹が、ハネズ色の赤裳を身につけた姿でいる。その姿が夢に見えながら

【解】…「山吹のにほへる妹」とは、山吹が黄金色に輝くように、恋人の姿が照り輝いている様。その恋人は、赤裳、つまり赤い巻きスカートを身にまとっています。赤裳といっても、ハネズ色とのことですから、少しピンクがかった赤色です。とても具体的な描写ですが、これは、作者が夢で見た恋人の姿。現実に恋人がいて、その彼女を夢で見たという歌なのか、それとも、理想の女性像が夢に現れたということなのか、よく分かりません。夢を歌った作品は沢山残っていますが、このように色鮮やかな描写は、まるで現代に詠まれたものであるかのような感覚にさせられます。

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上野誠の万葉歌ごよみ-歌ごよみ
【2022年4月23日 放送分】
2022年4月23日
【巻】…8・1435

【歌】…河蝦(かはづ)鳴く神名備(かむなび)川に影見えて 今か咲くらむ 山吹の花

【訳】…河蝦が鳴く神名備川に影が見えて、今頃咲いているであろう、あの山吹の花は

【解】…神名備川は、神名備山という山を流れている川のことです。その神名備川に山吹の影が見えるというのは、川面に山吹の花が映っていて、黄色い花が照り輝いている様子を表しています。目を転じれば、実物の花も美しく、川面と相まって見とれるような風景が広がっていたのではないでしょうか。ただ、作者の厚見王(あつみのおほきみ)は、その風景を直に見ているのではなく、今頃はこうなっているだろうなあ、と想像して歌っているのです。かつて訪れた時の光景が、よほど印象強かったのではないでしょうか。

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