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〒530-8304 MBSラジオ
「上野誠の万葉歌ごよみ」 |
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【2021年10月30日 放送分】 |
2021年10月30日 |
【巻】…10・2179
【歌】…朝露ににほひそめたる秋山に 時雨(しぐれ)な降りそ あり渡るがね
【訳】…朝露に照り輝いている秋山に 時雨は降ってくれるなよ、そのままでいて欲しいから
【解】…紅葉と露を取り合わせた歌。「にほふ」は、嗅覚ではなく、照り輝いている様を表す視覚表現です。色づいた葉は、もちろんそれだけで十分美しいですが、朝露に濡れると、光沢が出てさらに輝きを増します。それを目の当たりにした作者が思ったのは、「時雨よ降ってくれるなよ」。雨で紅葉が散ってしまうのを怖れたからでしょう。言い換えれば、瞬間の美を惜しむ心がこの歌を生んだと言えます。ところで、歌の左注には「柿本朝臣人麻呂の歌集に出ず」となっています。この歌は、元々、柿本人麻呂歌集に入っていて、万葉集を編纂する際に、転載されたもの。ただ、柿本人麻呂歌集に収められていたからといって、人麻呂が作った歌かどうかは分かりません。
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