2018年

6月 3日

市場は自分で作る PIGの可能性

ゲストはポリユニオン工業株式会社の代表取締役・大工貞晋さん。
社名にある“ポリユニオン”。
これはいったい?
「昔は社名と作っているものが一致しなかったんですけどね(笑)。
私たちは以前、シャトルを作っていました。
織物を横糸を打ち出すものです。
それを作ることで、なんでもやれるようにつけたような記憶があります。
現在は“PIG(ピグ/ポリピック)”というものを作っています」。

そのPIGとは?
「ものを輸送する時にパイプが効率がいいですよね。
パイプ、ポンプ、電気があると輸送できます。
パイプは使っていると必ず何かが溜まったり経年劣化もあります。
トラブルを事前に防ぐためにPIGを使って掃除をしてやるんです。
パイプが詰まるとポンプに負荷がかかる。
そうすると電気代がかかってしまいます。
お掃除するとスムーズになるんですよね」。

そのPIGですが、主にゴムや発泡ポリウレタンでできています。
大きくは砲弾型、ボール型、くびれがある円柱型、ブラシがついたものなど。
使う場所によって形状が違うそうです。
「大きいものでは内径1mほどのパイプに入れるPIGもあります。
入り口と出口があれば、長距離も可能です。
長いところでは100kmもの距離を通ってくれます」。
その長い距離を通すとなると、どこを通っているかわからないのでは?
「圧力計をつけているので、計算してどこを通っているかわかります。
長い道のりを旅してきたPIGは可愛いもんですよ(笑)」。

このPIGを作っておられるポリユニオン工業株式会社。
作り始めた頃は?
「私たちは後発メーカーなんです。
元々PIGはアメリカで生まれたものだったんですが、私たちが違うところは国産のPIGを作っているというところ。
アメリカは広い国土に長いパイプが走っていますからPIGの設計思想が違うんです。
逆に日本は曲がりや分岐するパイプが多い。
そこを通すにはアメリカ産のものでは合わないんですよね。
国産のPIGを作ったのは私なんです」。

今では堺市の土居川の浄化、栽培漁業センターや水族館にも導入。
ポリユニオン工業株式会社の国産PIGは多くのシーンで活躍しています。
「市場は自分で作るものがと思っています。
言わば、PIGを使って広報をしている。
仕事がすなわち広報にもなっているのです。
例えばパイプの中をPIGでクリーニングをして、PIGの表面に塗料をつけてパイプ内を通して樹脂を塗るなんてこともします。
長いもので20cmのパイプ内を2500mも塗装しました。
PIGの新しい用途ですよね。
施工してから長年立ちますが、クレームはいただいておりません。
理論上、100年も耐えることができます」と胸を張る大工社長。

自ら開拓し、作り上げたPIG。
PIGの可能性を広げることが仕事につながり、広報にもなる。
可能性は未来へつながっていきます。

竹原編集長のひとこと

アメリカで生まれたものを日本に合うように研究開発。
場所にあった商品ですからさらに可能性が広がりますね。