2018年

7月 1日

新しい概念 “1枚から作る既製品”

ゲストは株式会社ドゥ・ワン・ソーイングの代表取締役社長・土井順治さん。
“ソーイング”といいますと縫い物。
具体的にお仕事はどう言った内容なのでしょうか?
「私たちはいわゆるワイシャツ、カッターシャツを作っています。
“ドレスシャツ”というのが正式名称なんですけどね。
今年で66年目になります」。

こちらの会社はスーツの相棒、カッターシャツをお作りになっている会社です。
「私どもは量産型の工場だったんですが、私が社長になった十数年前から“1枚から作る既製品”というオーダーシャツに切り替えました。
世の中に既製品は多くあります。
それはそれで素晴らしいクオリティですが、果たしてそれが個々に合うのか、と。
さらに既製品のシャツを作り込んで店頭に並べても全て売れるとは限らないですよね。
売り切るためにはどうしたらいいか…。
そこで考えたのが、お客さんがいいと思えるものを1枚から作ればいいと思ったんです」。

ありそうでなかった斬新なアイデア。
それが生まれた背景は?
「もともとは工賃の仕事をしていたんです。
これだけ作れば、これだけ儲かるといった具合です。
景気のいいときはたくさんの注文をいただきます。
ロットを追求をすることが通例なんですね。
しかしバブル崩壊後、売れない時代に入ったらロットを少なくしようという動きが出てきました。
そうすると原価がかかるし、手間もかかる。 
売れないものを作るよりも必ず売れるものを作ろうという発想になったわけです。
だから“1枚から作る既製品”というわけです」。

製品に対してのこだわりを教えてください。
「一口にシャツといってもいろんな考え方があるんです。
役者でいうとスーツが主役でシャツは脇役。
ひとつのスーツスタイルを醸し出すための助演役者です。
日本に入ってから歴史があるものでもありますから、設えも継承して伝えていく。
シャツのルーツは下着と言われているんですね。
素肌に直に着る。
そうすると裏の縫い目が体に当たってしまいます。
だからストレスがない縫い方をするように心がけています」。
他にも襟やカウスの表と裏、さらに芯地を調整してつっぱりがないようにするなど、工夫がなされています。

会社の経営、そして製品の生産。
その道のりはいかがでしたか?
「厳しい時代もありましたね。
平成6年ぐらいに、明日会社がなくなるという可能性もありました。
業界全体が疲弊していたんですね。
きっかけはクイックレスポンスでした。
求められる時にその量を早く作る。
このやり方には良いことと悪いことがありました。
それに対応すべく新しく工場を5億円かけて作りました。
これで工賃も上がる、生産も上がる。
しかし、その時には仕事が中国に出ていってしまっていたんです…。
待ちの姿勢では経営は成り立たないと思いましたね」。

そんなことから誕生したオーダーシャツ。
小売店、エンドユーザー、お客さんの三法よしという方法も同時に生まれました。
「2週間前後のお時間をいただきますが、お客様の満足のいく商品を作らせていただきます。
小売店も在庫を抱えなくていいし、こちらも商売をさせていただけます」。
現在は日本全国で650店舗で取り扱いがあるそうです。

従業員の方はお若い方が多いそうですね。
「高齢化に伴って外国人に頼っていた時期もありました。
現在は技術を日本の若い方に引き継いで守って行きたいという思いから、地元の高校などを回らせていただいて、お話をさせてもらっています。
その甲斐あって社員の平均年齢は29.8歳です。
私の父は職人を抱えて仕事をしていました。
その時から時代は変わりましたが、もっと縫製従事者を認められたいという想いがあります。
それが私の指針の一つになっています」

こだわりのオーダーメイドに若い力。
シャツ一枚にかける情熱は受け継がれ、さらに広がって行きます。

竹原編集長のひとこと

既製品の新たな切り口だと思います。
新たなビジネスチャンスを見つけ広げるエネルギーは素晴らしいですね。

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