2019年

8月25日

"ひとりでは無理" 社員第一主義が実を結ぶ

ゲストは株式会社天彦産業の代表取締役社長・樋口友夫さん。
竹原さんとは旧知の仲でビジネス業界では有名な方です。
改めてどんな事業をされているのでしょう
「鉄を扱っています。
鉄といってもビルや家に使う特殊鋼がメインです。
商社があってからの一次問屋がうちになります。
お客さんは大小の町工場もあるし自動車を作るのに使ったり。
車では重要部品に使われています」

経営のやり方をみんなが注目するという株式会社天彦産業。
『日本でいちばん大切にしたい会社(坂本光司著)』にも掲載されました。
会社は創業から何年になるのでしょう?
「145年になります。
3代目が親父、4代目が長男。
その苦しい様を見てきているんですよね。
私は6人兄弟の末っ子。
長男から私という継承は珍しいと思うんです。
ある日、兄貴から突然「やれ」と言われて(笑)。
この会社に来た時が28歳。
そう言われたのは55歳の時でした。
やれと言われたから仕方ない。
自身もなかったですが、その時から経営者ひとりでは会社は無理だと思っていました。
だからきっちりと社員と人材を作っていかねばならないと思ったんです」。

経営者ひとりでは会社を動かせない。
その真意とは。
「社長就任の初日に社員を集めて宣言したことがありました。
"俺ひとりにやらしたらこの会社がつぶれる"と。
私は大型トラックも運転できないし、鉄板も切れない。
そんな人間にやらせたらいけないと思ったんです。
だから社員一人ひとりが責任を持って仕事をしてもらいたいという意味です。
実は10年後にも同じことを言いました。
私の会社は社員第一主義なんです」。

多くの会社がお客様第一主義だった中、社員第一主義を掲げる。
さらにダイバーシティの取り組みが評価されている経営100選にも選ばれています。
そんな中、ある出来事が...。
「経産省の方が会社に来られましてね。
話をしていたら"アベさんが来られます"と言われまして。
急にアベさんと言われてもピンと来ない(笑)。
改めて聞くとあの安倍首相。
びっくりしましたね。
そこから2週間後に来られるということで、家族にもこのことは内密。
3日と経たずに警察が来て社内や近辺を隅々までチェック。
近所では"刑事事件や"と噂が立っていたみたいです(笑)」。

国が注目する企業ということですよね。
「安倍首相も元々神戸製鋼の方。
鉄を扱うという男性社会の中に女性が活躍している企業だからということで安倍さんも注目していただいた。
うちの女性社員は安倍首相とのお話の中、"ものづくりに参加したら楽しい"と語ってくれましてね。
嬉しかったですね。
おかげさまでメディアにもたくさん露出しました。

真摯な取り組みが実を結ぶ。
会社の歴史は次週に続く...。

竹原編集長のひとこと

早くから社員第一主義を掲げて実践。 時代の先取りでしたね。