2020年

11月29日

ピンチはチャンス 大失敗賞で得た糧で前に進む

今週のゲストは太陽パーツ株式会社 取締役会長・城岡陽志さん。
竹原編集長とは新聞記者時代からのお付き合いなのだとか。
改めてお仕事の内容を伺っていきましょう。
「仕事の内容ですが、金属・樹脂の素材を部品加工する業種です。
設計から加工まで一貫して作ります。
通常は製造と販売の分野は分かれているのですが、メーカー機能として技術を上げていく。
消費者機能はお客様に対して提案能力がある。
この両方を併せ持った会社がお客様にとって一番いい会社だと思いまして、そこを目指しました。
メーカー機能をもちながら商社の機能を持っています。
言うのは簡単なんですが、頑張っています(笑)」。

具体的な事業はどんなものがあるのでしょうか?
「ひとつは部品の事業部、もうひとつは住宅設備機器。
キッチン、バス、トイレなどですね。
キッチンの高い場所にあるものの出し入れが簡単な『スムースダウンウォール』 キッチン吊り戸で使いにくい奥のスペースを有効活用できる『プルダウンラック』など設計から手がけております」。
太陽パーツ株式会社の製品がリスナーさんのお宅にもあるかもしれませんね。
「うちはものづくりの黒子企業と言ってまして、うちの名前は一切出ません。
表に出ると言うことは自社ブランドですから利益が大きい。
でもリスクも大きい。
全国に営業所も要りますし、ヒット商品を出し続けなければならない。
大体3割打てたら大成功。
それも大変なことです。
うちはそうでなくてお客様が求めるものを作っていく黒子企業として頑張ろうと思っています」。

MBSとも関わりがあったのだとか。
「『せやねん!』の番組企画で風車を鉄骨で作りました。
高さ10mほどの本格的なものです。
愛媛に運んで据え付けました。
元々風光明媚な場所なんですが、今でも観光地として人気ですよ。
こういった企画は嬉しいですね。
ものづくりの駆け込み寺として色んなことをやらせてもらっています」。

他にどんなものを作られたのでしょうか?
「ある企業の会長さんがお孫さんのためにと"ゆりかご機"を作って欲しいという依頼がありました。
それに乗せるといい感じに揺れるような。
一応、作りまして、販売にまでは至りませんでしたが...。
ある時、外国人がみたユニークな試みをしている会社を紹介する番組の企画がありました。
うちの社員がその"ゆりかご機"に豆などを入れて波の音を出す"安眠機"にしましょうと。
番組でウケたみたいですね(笑)」。
でもこういった提案を一蹴せずになぜ試みへまで?
「こういったことが技術の蓄積になるんですよね。
遊び心でやっていくことでこの体験、経験がノウハウになります。
社員のレベルも上がります。
目先の損得だけ考えるとやらなくていいことかもしれませんが、仕事をするなら楽しくやりたいですもんね」。

太陽パーツ株式会社には大失敗賞というものがあるのだとか。
「社員から車のアクセサリーを作ったことがありました。
作って売り込みに行くと即採用。
また新たなものを作って売り込めばまた採用。
次々と商品を作っていったのですが、半年後、どんどん返品が増えていったのです。
あの業界、お店はいわゆる"たな貸し"。
場所を貸してくれてそこに商品を置いてくれるけれども売れなければ商品を入れ替えるというシステム。
こちらはそれを知らずに新商品作っては納品していたものですからあっという間に5,000万円の赤字。
社内の雰囲気も暗くなって提案してきた社員も下を向いている。
好きな言葉で"ピンチはチャンス"とあるんですが、これはどうしたものかと思いまして"大失敗賞"として笑って済ませようと考えました。
色んな褒賞を渡す時があるのですが、それと同時に渡します。
当時、大失敗賞は1万円でしたが受賞した社員はそれでネクタイピンを買いました。
クジラのデザインでした。
"クジラは一旦深く沈むけれども上がってくる"
そんな思いを込めたネクタイピン。
ある時に中国・上海に工場を出す時に予定していた人が都合で行けなくなりました。
その時に大失敗賞を受賞した社員が手を挙げて中国へ。
大きな結果を残してくれました。
大失敗賞第1号は役員の第1号でもあるんです。
前向きにチャレンジしてから何かノウハウを残したか、が大切です。
ちなみに私も設備投資に失敗して大失敗賞を受賞してますけどね(笑)」。

会社の歴史は次週に続く...。

竹原編集長のひとこと

失敗を失敗で終わらせない。
そこから何を掴んで進んでいくか。
ユニークな賞をもっておしえていただいていますね。