2021年

2月14日

屈指の古紙再生技術とキャッチーな製品

先週に引き続き、ゲストは大和板紙株式会社の代表取締役社長・北村貴則さん。
紙と板紙の違いのお話から、デザイナーさんとのお仕事で柔軟な発想が生まれ新しい紙を生み出しているお話などを伺いました。
今週は改めて会社の歴史を伺っていきましょう。

「創業は1952年。創業者は私の父で現会長です。
元々、父の母方が古紙、製紙の仕事をしていました。
そこの原料を売っていたそうです。
債権者として関わりがあって、周りの業者の方々の応援があって、今の元になる仕事をスタートしたそうです。
当時、23歳だったそうです」

最初から板紙を手掛けておられたのでしょうか?
「当時はそんなに種類もありませんでしたね。
箱や仕切る紙、俗にいうボール紙を手がけていました。
会社の転機としては某印刷メーカーからのお仕事がきっかけでした。
ある時に"名古屋から西の地域でその会社から出る紙の処理をできないか"という依頼がありました。
先代を男と見込んでの話だったそうです。
時代と共に紙の製品が変わってきている頃です。
牛乳パック、酒パック、洗剤のパック。
そこも含めて全てという意味だったんですよね。
いろんなものが開発されるたびに"できない"とは言わない。
それを処理、再生するために機械の設備をする。
その積み重ねでのおかげでそれが自ずとノウハウになりました」。
今や"大和板紙が再生できなければ産廃しかない"と言われるまでの再生能力。
能力、技術は国内屈指です。

処理が難しい紙はどんなものなのでしょうか?
「難処理古紙といいまして、業界では結構使われる言葉です。
例えば化粧品のパッケージはアルミを蒸着させているのでキラキラしています。
見た目は美しいのですが、難処理古紙にあたります。
処理しなければ産業廃棄物になりますので、綺麗な商品箱の周りを包む輸送箱を再生紙で作っているんです。
難処理古紙を再生させて、もう一度同じメーカーで使ってもらう循環システムもあるんです。
作る責任、使う責任ですね。
好評をいただいていまして、いろんなメーカーさんも循環システムを取り入れたいという問い合わせをいただいています」。

お仕事の進め方のこだわりはあるのでしょうか?
「再生紙を"環境にいいでしょ"と謳っている時期もありました。
でもある時、環境問題の押し売りはやめようと思いました。
第一に"おしゃれだから""かっこいいから""可愛いから使いたい"と思ってもらいたいんです。それでいて環境にやさしい。
嬉しいことに商品の一つがクリエイティブディレクターの佐藤可士和さんの目に止まったこともありました」。
その進め方、考え方がデザイナー琴線に触れ、現在、デザイナーズ会員は1800人を超えたそうです。

これからのビジョンはどう見ておられますか?
「SMAPの歌ではないですが、No. 1よりOnly One。
会長はもともとワンマンで強いリーダーシップを持っている人です。
同じように勝負するつもりもありませんし、かないません(笑)。
会社としてはみんなに勉強してもらって自分の役割を持ってもらいたい。
一番は売り上げで僕の代で給料を倍にしたいですね。
そして、将来の子どもたち希望を持てる地球にしたい。
先代も言っていましたが、"人や地球も喜ばせなあかん"。
近い人でいうと、私の最愛の妻が今日、2月14日誕生日なんです。
ハッピーバースデー(笑)」。

時代にあった紙の再生技術に加え柔軟あアイデアとデザイナーとのネットワーク。
大和板紙株式会社の挑戦は続きます。

竹原編集長のひとこと

単に再生だけじゃなく強い付加価値がある。
その価値がみんなの求めているものならそれは全ての人が嬉しいことですよね。
需要と供給がしっかりと結びついています。