2021年

4月18日

超解像顕微鏡の自動化は未来の研究スタイル

今週のゲストは株式会社ZIDOの代表取締役CEO 安井真人さん。
その新規性、独自性が認められ池田泉州銀行の2020年度イノベーション研究開発助成金の大賞を受賞された企業です。
「人と同じことをしていても仕方ないので、研究も人と違うことをしようと思いまして」と安井社長。
どんなビジネスで大賞を受賞されたのでしょうか。
「超解像顕微鏡の自動化で大賞をいただきました。
ものすごく細かく見える顕微鏡のことです。
超細胞顕微鏡を手動で使って細胞を探していたんですが、それを自動化したら効率が上がると思いました。
手動作業は暗闇の中でパソコンを操作して細胞を見て、ようやく見つけて撮るという作業を丸一日。
その作業で10本ぐらいの動画が撮れるんです。
それを繰り返して1週間がかかってようやく全体のデータが取れるというものでした。
それが自動になると1日数千の撮影ができて解析も自動。
とても手軽になります」。

このとんでもない効率化に日本のみならず海外からの問い合わせが多いのだとか。
「このシステムによって新しい研究が進んでニーズが出るのではないかと思います。
研究者からしても朗報だと思いますね。
私自身も研究者の立場からすると、これはいいなぁと思います。
まずは研究者に使ってもらってさらに研究開発を進めると、新たな可能性が出てくるのではないかと思います」。

安井社長自身はどんな研究がスタートだったのでしょう?
「もともとは理化学研究所の上田昌弘さんの研究室にいました。
そこで超解像を研究していました。
いつか自動化に漕ぎ着けたいと思いながら、これがなかなか...。
私のバックグラウンドが機械を専攻していまして、ハード寄り。
この自動化はソフトウェアが大切なんですが、
ハードが動き始めて最後まで動かないと意味がないんです」

研究開発は苦労なさったのでは?
「3週間ぐらいで出来ました。
部屋にこもって枠組みができて"これならいける" と思って。
土台があってシステムを組むだけだったので」。
ハードとソフトをわかっているからこそ成せる技。
謙遜されていますが、たった3週間で完成とは驚きです。

このシステムですが、ウイルスに使うことができるのでしょうか。
「投薬してみてウイルスの分子が止まると薬が有効なのか分かります。
きっと開発のスピードが上がるでしょうね。
あと計算機のコストが安くなったことでデータを取りたいというニーズが増えてきそうです。
弊社のソフトにも人工知能が使われていて、この細胞のデータを取りたいと伝えておくと自動でやってくれます。
社名の『ZIDO』とは『自動』なんです。
バイオとか入れたくなかったんですよね。
"オートメーション"や"自動"を入れたかったんです。
色々な可能性があるので事業を固定化したくなかったというのもあります。
自動で解析するZIDOです」。

会社の歴史は次週に続く...。

竹原編集長のひとこと

なかなか身近にない超解像顕微鏡の話でしたが、
実はこれからの私たちの暮らしや必要なものの研究に役立つ素晴らしいもの。
更なる進化が楽しみですね。